2026超予測
2026年超予測:都心不動産の価格下落が始まる
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2026年1月3日

上昇が続いている都心の不動産。インフレ、円安、金利上昇、規制変化などにより、2026年の不動産市場はどう変化するのか?オラガ総研の牧野知弘代表と、TERASSの江口亮介CEOに超予測してもらった。 <ゲスト> 牧野知弘|オラガ総研 代表 東京大学卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)、BCGを経て、...
激動の2026年 不動産市場は上がるか、下がるか?インフレ・金利・規制が織りなす行方
2026年の不動産市場は、歴史的な転換期を迎える可能性がある。インフレの進行、金利の変動、為替の動向、そして政府による規制強化が複雑に絡み合い、市場の方向性を大きく左右する見込みだ。
本稿では、オラガ総研代表の牧野知弘氏とTERASS代表の江口亮介氏が提示する、不動産市場を巡る多角的な視点を紹介し、来るべき年にどのような展開が待ち受けているかをQ&A形式で深く掘り下げる。
これまでの常識が通用しない状況で、不動産の価値や投資判断はどのように変化するのだろうか?

Q. 2026年の不動産市場はどのような年になるか?
2026年は、マクロ経済と政府の政策が不動産市場の主要なドライバーとなる一年と予測される。
特に重要なポイントは以下の三点だ。第一にインフレがどこまで進行するか。第二に金利と為替の動向、特に日銀の利上げと円安がどのように進展するか。そして第三に、不動産価格の高騰に対し国や自治体がどのような規制を導入するかだ。
これらの要因が複合的に作用し、市場全体が大きな変化の渦中に置かれるだろう。一部には価格上昇を期待する見方がある一方で、調整局面への移行を示唆する声も聞かれる。
Q. 18兆円の積極財政は不動産市場にどう影響するのか?
高市政権による18兆円超の補正予算、いわゆる「積極財政」は、市場への資金供給を通じてインフレをさらに加速させる可能性がある。過去のコロナ対策予算の一部が株式や不動産に流入したように、今回も一定の資金が不動産市場に流れることで価格を押し上げる要因となることが想定される。
現在の日本は主要先進国中で最も高いインフレ率を記録しており、物価上昇が止まらない状況だ。このような実質金利がマイナスの環境下では、現金の価値が目減りするため、富裕層はインフレヘッジとして不動産などの実物資産への投資を活発化させる傾向がある。この富裕層の資産防衛行動が、不動産価格の底堅さ、さらには上昇を後押しするとの見方がある。

Q. 金利上昇と円安は不動産価格にどのような影響をもたらすか?
日銀の利上げにもかかわらず、日本の巨額な財政赤字と経済成長の弱さから、円への信任は依然として低く、円安状態が長期化あるいはさらに悪化する可能性も指摘されている。外国人投資家にとって日本の不動産は「バーゲンセール」に見えるため、外資による買い需要は引き続き高まるだろう。
一方で円安には負の側面も存在する。輸入品である建築資材の価格高騰を招き、建築費の上昇を加速させる。また、円の価値が下がれば、日本で働く外国人労働者の魅力も低下し、深刻な人手不足が建設現場を直撃する恐れがある。これらは結果として、不動産価格のさらなる高騰を招く一因となる。

国内の金利上昇は、不動産投資の構造に直接的な影響を与える。リスクが最も低いとされる国債の利回り(リスクフリーレート)が上昇すると、不動産投資家はリスクに応じたより高い「期待利回り」を求めるようになる。銀行の調達金利も上昇するため、不動産購入におけるローン金利も引き上げられることになる。これまでの低い金利で投資判断を下していた多くの投資家は、新たな期待利回りを確保するため、家賃収入を上げるか、あるいは物件価格を下げるかの選択を迫られる。賃料を簡単に引き上げられないエリアでは、結果として不動産価格に強い下落圧力がかかる可能性がある。例えば、東京都心の一部の高収益物件を除けば、利回りを確保するために売買価格を調整する必要に迫られる状況は広範囲に及ぶことが予測される。
Q. 国や自治体による規制強化はどのようなものか?不動産市場にどう作用するか?
不動産価格の過熱感に対し、国や自治体は介入姿勢を強めている。規制の焦点は大きく三つだ。

外国人による不動産取得:国土交通省は実態調査を開始しており、価格を歪める要因と見なされる外国人購入に対して何らかの規制をかける可能性がある。
短期転売(転売ヤー対策):買収後短期間での転売に対する規制が検討されている。特に国民民主党は「超短期譲渡課税」の導入を提言している。これは、平成バブル期に2年未満保有物件の売却益に重税を課した先例があり、導入されれば投機的な取引が激減するだろう。財務省も税収増が見込めるため導入しやすい。
相続税対策目的の購入への評価厳格化:マンションなどを利用した相続税節税スキームに対し、税制調査会で議論が進んでいる。特に相続発生直前の購入物件は、現在の評価基準ではなく時価評価されることで節税効果を排除する動きがある。これにより、マンションを購入する形での相続対策の旨味は大きく薄れるだろう。
これらの規制は、過度な投機的取引や節税目的の需要を抑制し、市場の過熱を冷ます「重し」となることが予想される。
Q. すでに市場に異変が起きているエリアはあるか?具体的な事例は?
東京の湾岸エリアなど、一部の人気エリアではすでに市場の調整局面が始まりつつある。ある不動産仲介業者の話では、過去3ヶ月で「買いたい」という需要が半減し、一方で「売りたい」として市場に出る在庫が4倍に急増した。これは不動産価格が下落する典型的な前兆であると牧野氏は指摘する。
価格高騰が続いたことで、多くの購入層が高値についていけなくなっており、強気な価格設定をする売り手と購入検討者との間に乖離が生じ、取引が成立しにくい状況にある。結果として、現金化を急ぐ一部の売り手から価格を引き下げ始めることで、価格全体が収斂し始める現象が起きている。
具体的な事例として、港区の有名マンション「三田ガーデンヒルズ」では、引き渡し直後に分譲価格の約2倍となる坪2400万円超で売りに出されたが、現在は坪1700万円台まで売り希望価格が下落している。また「晴海フラッグ」でも、売り出し物件が約200戸、賃貸希望物件が約400件も出ており、これらがなかなか捌けていない。これらの状況は、特に供給が過多な一部エリアで、過熱した市場が調整局面に入ったことを鮮明に示している。
さらに外部要因として、中国の不動産不況が悪化の一途を辿っていることから、中国人投資家が本国での損失を補填するため、日本国内に保有する不動産を売却するリスクが浮上している。また、中国政府が自国の富裕層による海外不動産取得に規制をかける可能性も指摘されており、中国マネーの引き揚げが価格下落を招く懸念もある。
Q. 投資家や一般購入者は今後どのような点に注意すべきか?
湾岸エリアなどの特殊な事例は全体市場の「暴落」を意味しないという見方もあるものの、前述の金利上昇や政府規制の動きが全体に波及する可能性は十分に存在する。今後、購入を検討する者にとって最も注意すべき点は「暴落待ち」戦略の落とし穴である。
価格下落を期待して購入を先延ばしにする「暴落待ち」は、その間の賃貸住宅の家賃支払いという「待つコスト」を伴う。そして、もしその間に金利がさらに上昇すれば、たとえ物件価格が多少下がったとしても、住宅ローンによる総支払額は結果的に増大する可能性が高い。実際、住宅ローンの固定金利はすでに4%〜5%に達しており、金利上昇リスクはもはや甘く見てはならない状況だ。
したがって、物件価格の動向だけでなく、金利の動きを複合的に分析し、自身の資金計画と照らし合わせたバランスの取れた判断が不可欠となる。都心に近い物件を求める場合は、現在の高値圏から少しずらしたエリアを検討するなど、戦略的な選択眼が求められるだろう。