
ミラノ・コルティナ五輪 前編
2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪を徹底予測!日本勢のメダルラッシュに期待
2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪が日本選手にとって歴史に残る大会となる可能性は極めて高い。
開催地のイタリアは、猪谷千春氏や荒川静香氏が過去の冬季五輪で偉業を達成した縁深い地であり、今大会でも多くのドラマが期待されている。
専門家たちが予想する日本勢の超予測とともに、各競技の注目ポイント、そしてメダルラッシュの背景を探る。

Q. 2026年ミラノ・コルティナ五輪は、日本選手にとってどのような特別な大会となるのか?
2026年冬季五輪の舞台はイタリアであり、開催地の一つであるコルティナは1956年にいがや千春が日本冬季五輪史上初のメダルを獲得した地だ。アルペンスキー界では「神聖な場所」として認識されている。
また、ミラノ近郊のトリノは2006年に荒川静香が金メダルを獲得した、日本のフィギュアスケート界の「聖地」と言える。

70年ぶり、あるいは20年ぶりに主要開催地となるこれらの場所で、日本勢にとって過去の偉業が再来する追い風となる可能性が高い。
近年の五輪では、IOCの方針により男女混合団体種目が増加傾向にある。これにより、個々の選手の力だけでなく、国全体の選手層の厚さやチームとしての総合力がメダル獲得の鍵を握る。日本チーム全体の力が試される大会となるだろう。
Q. 近年目覚ましいスノーボード日本勢の強さの秘密は何か?
スノーボード日本勢は近年目覚ましい成長を遂げ、北京五輪までは平野歩夢のみであった金メダルだが、ここ4年で若手が一気に台頭し選手層が格段に厚くなった。2025年世界選手権ビッグエアでは、女子が1位から4位まで、男子も1位と2位を独占するほどである。
この強さの源泉は、世界トップレベルの「技の難度」にある。男子では5.5回転(1980度)が主流となり、女子でも村瀬心椛選手が4.5回転(1620度)を成功させるなど、技術レベルで世界を牽引する。五輪で勝利を掴むには、最高難度の技に挑戦し、かつ着地まで完璧に決める「クリーンさ」が極めて重要だ。難度を下げて守りに入る安全策は世界のトップ争いでは通用しない。
エクストリーム競技の文化として、新しい技や高難度の技に挑戦すること自体がリスペクトされる。選手はメダルの結果だけでなく、自身の限界を突破し、競技の歴史を創ることを目指している。この挑戦文化と選手層の厚さ、そして練習環境の変化が、日本勢のメダルラッシュを可能にする要因である。
Q. フィギュアスケート男子でメダル獲得の鍵となる要素は何か?また、鍵山優真選手に勝機はあるのか?
男子フィギュアスケートの五輪金メダル獲得には、ある「勝利の方程式」が存在する。21世紀の五輪王者の中で、ソチの羽生結弦選手という例外を除き、全員が五輪前に世界選手権の優勝経験を持つ。五輪前年の世界選手権と五輪シーズンのグランプリファイナルを制覇するパターンが、最も確実な王道ルートとされる。
絶対王者と目されるアメリカのイリア・マリニン選手はこの条件を満たし、4回転を7本組み込む異次元の技術で他を圧倒する。彼に唯一挑むことができるのが、日本の鍵山優真選手である。鍵山選手が金メダルを獲得するためには、現在3本の4回転の本数を4本に増やし、彼の得意とする演技構成点で上回ることが必要だ。
鍵山選手のフリー曲は、荒川静香選手がトリノで金メダルを獲得した際に使用した「トゥーランドット」であり、開催国イタリアの作曲家プッチーニのオペラだ。地の利を活かせる選曲は大きな武器となるだろう。また、佐藤駿選手もグランプリファイナル3位の実績からメダル候補に浮上しており、日本男子が同時に複数のメダルを獲得する可能性も現実味を帯びている。
Q. フィギュアスケート女子ではどのような選手が有利となるのか?坂本花織選手や新星中井亜美選手に期待される点は何か?
女子フィギュアスケートは男子と特性が異なり、過去の実績が必ずしも五輪の結果に直結しない。本番にコンディションを完璧に合わせ、「その日の調子」が最高の選手が勝利を掴む傾向が強い。これは男子に比べ、本番一発勝負の要素が極めて強いことを意味する。

金メダル最有力候補の一人である坂本花織選手が勝つための絶対条件は、ショートプログラムで1位となることだ。彼女は主要な国際大会でショート首位に立つと、フリーで逆転を許さない「先行逃げ切り型」の強みを持っている。坂本選手のフリー曲「愛の讃歌」はヨーロッパのファンに馴染み深い選曲であり、ショートでリードを奪いこの曲で観客を魅了できれば、金メダル獲得に大きく近づく。
一方、シニア1年目の中井亜美選手は、今季世界2位の自己ベストと大技トリプルアクセルを武器に持つ。プレッシャーのない「無欲の挑戦者」として、サプライズで金メダルを獲得する可能性も秘めている。チャンピオンとしてのプレッシャーをコントロールする坂本選手と、失うもののないチャレンジャー中井選手という、メンタル状態の異なる両者の戦いにも注目が集まるだろう。
Q. ペア「りくりゅう」の金メダルは、なぜ歴史的な快挙となるのか?
三浦璃来・木原龍一組、通称「りくりゅう」は、世界選手権を制した実績を持つ金メダル最有力候補である。日本のフィギュアスケート界は長年、カップル競技が不得手とされてきた。特にペアでは、筋骨隆々とした中国やロシアのペアが有利とされた中で、「りくりゅう」はしなやかなジャンプと卓越したスケーティングでその常識を覆した。
体格的に不利とされる日本選手が金メダルを獲得すれば、日本のフィギュアスケート史を塗り替える歴史的快挙となるだろう。
Q. 実況アナウンサーが語るオリンピックの舞台裏とは?「奇跡とは言わせない」といった名言はどのように生まれたのか?
オリンピックのような大舞台で選手が最高のパフォーマンスを発揮するには、極限のプレッシャーコントロールが必要である。特に採点競技では、「これを決めればメダルだ」と結果を意識した瞬間に力みが生まれ、失敗に繋がることがある。他の選手の得点や歓声に左右されないよう、イヤホンで音楽を聴き、自分の世界に入り込む選手も少なくない。

実況アナウンサーの名言も、多くは用意されたものではない。高橋大輔選手が銅メダルを獲得した際の実況「全ての道はバンクーバーへと通じていた」は、メダル確定ではない状況で、どちらの結果にも対応できるよう熟考された言葉選びの妙であった。
ラグビーW杯2019年の名実況「もう奇跡とは言わせない」は、アナウンサーが「選手たちの血のにじむような努力の成果を安易な”奇跡”という言葉で片付けさせたくない」という強い思いが、試合終了の瞬間に衝動的に生まれた言葉であった。長年の取材を通じて選手と共有した思いが、視聴者の気持ちとシンクロし、歴史に残る名言となる。五輪においても、アナウンサーの「魂の叫び」に注目することは、競技をより深く楽しむことに繋がるだろう。
Q. スキージャンプやその他の競技における日本のメダル展望はどのようなものか?
スキージャンプでは、絶対的エースの小林陵侑選手に加え、二階堂選手が台頭し、男子のツートップ体制が確立した。これにより個人だけでなく、これまで難しかった男子団体での優勝も現実味を帯び、「夢の全種目制覇」への期待が高まる。
スキークロスは、これまで日本勢がメダルを獲得したことがない種目だが、須賀川選手の世界選手権3位という結果から、初のメダル獲得という「歴史の1ページ」を刻む可能性がある。
また、フィギュアスケート男子のイリア・マリニン選手が5回転ジャンプを練習している情報もあり、今大会は4回転時代から次の次元へと競技が移行する歴史的転換点になるかもしれない。
