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日本の命綱!海底ケーブルの強靱化戦略とは
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2025年12月2日

我々の日常で使っているSNS、クラウド、ウェブなどに欠かせないのが海底ケーブルだ。国際通信99%を担う海底ケーブルが島国日本の命綱。しかし、世界で海底ケーブルの切断が年100件超。中には意図的な攻撃の疑いも。日常を支えるインフラの知られざる脆弱性と、日本の経済安保が直面する課題の核心に、三菱総合研究...
米国海底ケーブル規制と日本の経済安全保障
現代社会の基盤であるインターネット通信を支える海底ケーブルを取り巻く国際情勢は近年複雑化している。特に米国が「海外の敵対勢力」から海底ケーブルを守る新規則を採択し、地政学的リスクが顕在化した。これは同盟国である日本にも波及し、独自の対策が急務となっている。

Q. 米国FCCが採択した海底ケーブル新規則とは何か?
米国の連邦通信委員会(FCC)は、海外の敵対勢力から海底ケーブルを守るため、2025年8月から新規則を適用する。主な目的は米国への海底ケーブル陸揚げ規制である。
中国、ロシア、イラン、北朝鮮などの特定国や、Huawei、ZTE、中国通信大手3社といった脅威とされる企業による米国への陸揚げは禁止される。米国企業がこれらの敵対国へ陸揚げすることも制限対象だ。
容量リース契約(IRU契約)や規制対象機器・サービスの利用にも厳格な制約が設けられる。これは米国の海底ケーブルシステムからの敵対勢力排除を目指す包括的かつ厳格な措置である。

Q. 日本は米国の新規則からどのような影響を受ける可能性があるか?
米国は同盟国の通信網セキュリティを一体的に向上させるべきだと考え、日本に対しFCCと同様の措置を講じるよう要請してくる可能性が高い。
日本は米国とアジア諸国を結ぶ重要な「ハブ」であるため、日本のケーブル網脆弱性は米国の安全保障に直結するとの認識がある。これにより日本に独自の対策が求められるだろう。

Q. 日本のサプライチェーンの脆弱性とは具体的に何か?
日本では特定の国の企業による海底ケーブルプロジェクト参画を明確に規制する法制度がない。結果、国内の国際海底ケーブル25本のうち、過半数の13本に米国の規制対象である中国やロシアの企業がオーナーとして参画している。
これは日本のサプライチェーンが安全保障上の脆弱性を抱えていることを示唆する。日本は自国の脆弱性を評価し、所有体制の見直しや陸揚げ拒否など具体的措置を検討する必要がある。
Q. 日欧間の海底ケーブル接続を確保するために日本が検討すべき新ルートは何か?
日本と欧州間の主要な通信ルートは中国やロシアを経由するものが多く、米国の新規則下で利用が困難になる可能性があるため、代替のセキュアなルート確保が日本の急務だ。
北極海ルートは短距離だが、海氷の影響で高コストが課題となる。有力視される代替案は、障害多発地域である南シナ海を回避し、日本・グアム・東南アジアを結ぶ新ルートである。
このルートはGAFAMのデータセンター戦略と合致し、東南アジア諸国(インドネシア、マレーシア、タイなど)の需要も取り込めるため、経済合理性と安全保障を両立させる可能性がある。グアムは通信ハブとして重要性を増している。
Q. 海底ケーブルの障害発生時の復旧体制に課題はあるか?
海底ケーブルの障害は年間100~200件と多発するため、全てを未然に防ぐのは非現実的であり、障害発生時の迅速な復旧体制整備が極めて重要となる。
現状では復旧まで平均50日かかる場合もあり、短縮が課題だ。特に障害多発地帯を通る日本関連ケーブルが多く、複数のケーブルが同時に切断される大規模障害への対応能力も求められる。

Q. 日本の海底ケーブル修復船の現状と、増強への課題は何か?
日本企業が運航するケーブル船は7隻だが、日本近海で保守を主に行うのは実質3隻のみである。平時であれば対応可能だが、複数のケーブルが同時に切断される有事には保守需要に対応しきれない可能性がある。
ケーブル船は特殊であり世界的に不足しているため他国からの支援も期待薄だ。新造には170億円程度の高額な投資が必要であり、過去の需要激減経験から民間単独での大規模投資は難しい。

Q. 政府は海底ケーブルの安定運用のため、どのような支援をすべきか?
日本政府は必要なケーブル船の数を検証し、不足が判明し民間企業単独での投資が困難であれば、資金拠出などで民間を支援し、船隊増強を図る短期的な設備投資(CAPEX)支援を行う必要がある。
長期的な視点では運用コスト(OPEX)削減支援も重要である。米国は運行費用補助、フランスは税制優遇(第二船籍制度)を導入済みだ。リスクの高い事業でも安定して継続できるよう、政府は長期的な視点で支援策を講じるべきである。