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インフレ時代の米国株投資:テック株×エネルギー株、バーベル戦略を実践せよ
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2025年11月18日

今後もなぜ米国株は最強なのか?どうすればS&P500を上回るパフォーマンスを記録できるのか?米国株投資のプロで、元フィデリティ投信投資調査部長のポール・サイ氏に「投資の3つのステップ」を中心に話を聞いた。 <ゲスト> ポール・サイ|ストラテジスト 台湾系アメリカ人。UCLA機械工学部卒、カーネギー...
長期投資の極意「買ったらそのまま持ち続ける」を紐解く
株式市場の変動は激しく、特に暴落時には多くの投資家が不安に駆られ、冷静な判断を失うことがしばしばある。そんな時、「買ったらそのまま持ち続ける」というシンプルな戦略は本当に有効なのか、それとも市場の波に翻弄されず売るべき場面もあるのか。長期的な視点を持つ成功する投資家たちは、暴落時にどのような意思決定を下し、どのように優良企業とそうでない企業を見分けているのだろうか。また、変動の大きい市場で勝ち抜くための情報収集術や、今後期待される投資戦略、そして日本人投資家が持つ固有の強みについても深掘りしていく。
Q. 市場暴落時、どのように対応すべきか?売るべきではないというのは本当か?
市場暴落時、最も重要なのは投資ストーリーの有効性を確認することだ。企業をなぜ選んだのか、その根拠が揺らいでいない限りは、慌てて売却する必要はない。むしろ、質の高い企業を安価に手に入れられるバーゲンセールと捉える視点が求められる。資金に余力があるならば、将来のリターンを期待して買い増す好機ともなる。
人間の心理は高値で買って安値で売る傾向があるため、メディアの扇動的な報道に惑わされず、批判的な視点を持つことが肝要である。市場の急落時は、「何もしない」という選択がしばしば最善の行動となるのだ。

Q. 投資ストーリーが崩壊した「ダメな会社」を見抜くにはどうすればよいか?
投資ストーリーの崩壊した会社は、長期的な視点で見ると価値が低下するリスクがある。見抜くポイントの一つは、「一過性のブームに依存していたか」だ。
ペロトン(フィットネスバイク):コロナ禍の巣ごもり需要という一時的な追い風で急成長したが、パンデミックが収束すると需要が減少した。収益源がハードウェア販売に大きく依存していた点が弱みで、安定収益となるサブスクリプションの比率が低ければ、ブーム終焉後の逆風は避けられない。

もう一つのポイントは「競合他社に対する持続的な競争優位性があるか」だ。
Zoom(ビデオ会議サービス):コロナ禍で爆発的に普及したが、Google MeetやMicrosoft Teamsなど、強力な競合が存在し、技術的な模倣が容易である。明確な差別化要因や高い参入障壁がなければ、市場の成熟と共に競争激化に見舞われる可能性がある。
人気が過熱している時こそ、その企業が一時的な現象に過ぎないか、長期的な成長性や競争優位性を持つかを冷静に分析することが重要となる。
Q. 投資において人間の心理やメディアの情報とどう向き合うべきか?
人間の本能は、好調な時に楽観的になり、不安な時に悲観的になるようプログラムされている。このため、「高値掴み、狼狽売り」という誤った投資行動に繋がりやすい。メディアも読者の注意を引くために、時に情報を煽ることがある。この心理的偏向や情報の波に流されず、「これは本当だろうか?」と常に疑うクリティカルシンキングの視点を持つことが投資の成功には不可欠である。
Q. 質の高い投資情報を得るための効果的な情報収集術とは?
信頼できる情報を得るためには、複数の情報源を比較検討することが重要だ。単一の新聞やニュースサイトに頼らず、ウォール・ストリート・ジャーナル、エコノミストなどの多様な媒体から情報を得るべきである。特定の主張に偏った情報に安易に飛びつくのではなく、情報が本当に正しいかを自ら考える習慣が現代の投資家には必須だ。
また、人脈からの情報も欠かせない。過去の同僚との投資会議や、ロータリークラブのような異業種交流会を通じて、メディアには出てこないリアルな一次情報を得る機会は多い。日々の生活の中にも投資のヒントは隠されている。例えば、訪れた店舗や利用したサービスのビジネスモデルを「どうやって儲けているのか」と探究する姿勢は、次の投資チャンスを見つける思考力を養う。

Q. 今後10年機能する「バーベル戦略」とは具体的にどのような投資方法か?
「バーベル戦略」とは、一見対照的な性質を持つテクノロジー株とエネルギー株をポートフォリオに組み込むことで、リスク分散を図りつつ長期的なリターンを狙う戦略である。
テクノロジー株:高い成長性が期待できる一方、金利変動に敏感でボラティリティが高い傾向がある。
エネルギー株:インフレに強く、比較的安定している。先進国が抱える巨額な負債を考慮すると、デフレよりもインフレが進む可能性が高いため、インフレヘッジとして機能する。
これら二つの資産クラスは逆相関の関係にあることが多く、一方が下落してももう一方がポートフォリオを支え、全体としての変動リスクを抑制する効果が期待できる。例えば、テクノロジー株が上がる日はエネルギー株が下がる、といった動きが見られる。

特にエネルギー業界は、近年の環境規制強化により乱暴な設備投資が抑制され、供給過剰による価格暴落が起きにくくなった。加えて、AI技術の発展による電力需要の増大も、安定的な電力供給源(原子力など)を持つエネルギー企業にとって追い風となっている。
この戦略はウォーレン・バフェットが日本の商社株に投資していることにも通じる。商社はエネルギー権益を多く持ち、インフレヘッジとなるためだ。日本人投資家は、米国のテクノロジー株と日本の大手商社株を組み合わせることで、手軽にバーベル戦略を実践できる。
Q. 日本から優良な米国株を見つけるには、どのようなアプローチが有効か?
以前は言語の壁が大きな障壁であったが、現代ではAI翻訳ツールの進化により、その壁は劇的に低減した。これを活用し、米国のニュースや企業の開示資料、一次情報に直接アクセスすることが有効である。英語の原文を理解できるに越したことはないが、AIを補助として活用することで情報収集の幅が格段に広がるだろう。
また、日本国内にいながら海外の情報を得るには、海外とビジネス取引のある日本のグローバル企業に勤める友人や知人との交流を増やすことも重要だ。自動車業界や大手商社など、海外に拠点を持ちビジネスを展開する人々のリアルな声は、メディア報道にはない生きた情報源となり得る。ソフトバンクのような国際的な投資企業の動向を追うことも、世界のトレンドを知る上で参考となる。
最終的には、英語や中国語といった語学の習得が投資家としての情報収集力を飛躍的に向上させる最も確実な自己投資だ。言語スキルがあれば、より多くの一次情報に触れ、深い理解を得ることが可能になる。

Q. 日本人投資家が長期投資で有利とされる理由とは?「日米ハイブリッドFIRE」の魅力は何か?
日本人は「節約」が得意であり、かつ「我慢強い」という文化的な特性を持つ。これはFIRE(Financial Independence, Retire Early)達成に必要な二つの車輪である「節約」と「投資」のうち、節約においてはすでに強力な優位性を持つことを意味する。さらに、市場の短期的な変動に一喜一憂せず、長期で持ち続ける「我慢強さ」は、まさに長期投資家に求められる資質だ。日本人はこの潜在能力を十分に持っているにもかかわらず、バブル崩壊時の経験から投資を「投機」と誤解し、本来の長期投資の精神を忘れがちだと言える。
物価が安く、食事が美味しく、医療制度も充実した日本に暮らしながら、貯蓄を成長率の高い米国株に投資し、効率的に資産を増やす「日米ハイブリッドFIRE」は、日本人にとって最も合理的で実現可能な戦略の一つである。日本の生活水準を享受しつつ、世界の成長の恩恵を最大限に受けるこのアプローチは、将来の経済的自由を手にするための「最強の戦略」と言えるだろう。
短期的な投機ではなく、長期的な視点で企業の成長を信じ、粘り強く投資を続けること。この基本に立ち返れば、日本人投資家は文化的な優位性を活かして大きな成果を上げられるはずだ。