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米国株最強論:S&P500に圧勝できた理由
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2025年11月17日

今後もなぜ米国株は最強なのか?どうすればS&P500を上回るパフォーマンスを記録できるのか?米国株投資のプロで、元フィデリティ投信投資調査部長のポール・サイ氏に「投資の3つのステップ」を中心に話を聞いた。 <ゲスト> ポール・サイ|ストラテジスト 台湾系アメリカ人。UCLA機械工学部卒、カーネギー...
S&P500を圧倒する投資術:ポール・サイが語るAI時代の「最強の投資戦略」
S&P500を3.4倍も上回るという驚異的なリターンを叩き出した、投資家ポール・サイ氏。その背景には、ファンダメンタルズのトレンドを早期に捉え、特定の局面でAIのような大型テクノロジー株に集中投資するという戦略があった。彼が考えるAI時代の「最強の投資戦略」とはどのようなものなのか、Q&A形式でその投資哲学を探求する。
AIが私たちの社会や経済に劇的な変化をもたらすことは不可避な流れだ。ホワイトカラーの仕事の削減から企業の収益構造まで、あらゆる局面で変革が起こりつつある。この大きな潮流の中で、個人投資家はいかにして成長の果実を享受し、資産を守るべきか。サイ氏の明快な見解から、そのヒントを得られるだろう。

Q. S&P500に圧勝できた秘密とは何ですか?
S&P500を3.4倍上回るリターンを達成できた最大の理由は、ファンダメンタルズの大きなトレンドを早期に掴み、それに合わせてポートフォリオを調整できた点にある。まず、インフレ懸念から割安だった石油会社への投資を行い、大きなリターンを得た。次に、AIブームの到来を予見し、テクノロジー株へ移行した。特に、母校カーネギーメロン大学でのAIに関する講義を通じて、従来の統計的手法とは異なる「これは違う」という確信を得たことが、AI銘柄への投資の大きなきっかけとなった。
私の投資判断は次の3ステップに基づいている。まず、良い投資ストーリーを持つ優れた会社を見つけることだ。次に、優れた会社を皆が悲観し、株価が安い時に買うこと。そして、購入後は投資ストーリーが続く限り、そのまま持ち続け、何もしないことである。この3ステップをNVIDIAへの投資で実践し、2年で株価を10倍以上にしたのである。

Q. NVIDIA株価10倍でも売らないのはなぜですか?
投資の売買判断は、株価の変動ではなく、その会社の「投資ストーリーが継続しているか」によって行う。NVIDIAの場合、AIというストーリーがまだ長く続く。株価が上昇してもすぐに売りたがる心理は理解できるが、本質的な成長物語が続いている限り保有を継続すべきである。
特に成長段階の企業にとって、売上成長が最も重要である。利益を多く出すことは再投資をしていない証拠であり、むしろマイナスと考えるべきだ。多くの成長企業は、得られた利益を惜しみなく再投資に回し、さらなる売上成長を追求する。売上が鈍化した場合、その企業は成熟株となり、株価の評価が調整される傾向にある。現在のAI銘柄は依然として成長段階にあるため、PER(株価収益率)を過度に重視する必要はない。一時的な決算やアナリストの予想に一喜一憂する短期的な戦略は、個人投資家にとって強みがないため不向きである。ソフトバンクグループの孫正義氏がNVIDIA株を売却した件も、AI自体に悲観したからではなく、OpenAIなど、より初期段階のAI企業に資金を投じることで、より大きなリスクとリターンを追求するためであり、AIの長期的なトレンドへの確信は揺らいでいないと認識している。

Q. GAFAMはAI時代にもまだ成長するのでしょうか?
GAFAM(Google、Amazon、Facebook(Meta)、Apple、Microsoft)は、AI時代でもまだ成長余地があると考えている。マーケットの評価は短期的に変動しがちで、Metaの株価が「AIへの投資過多」を理由に下落したと思えば、Googleが「AIに出遅れる」と懸念されるなど気まぐれである。しかし、長期的なポテンシャルは依然として高い。
中でもMetaが、最も良い投資ストーリーを持っていると考える。膨大なユーザーデータを保有している上に、マーク・ザッカーバーグというオーナー経営者が率いているため、AIに対して大胆かつ迅速な投資判断を下せる。これは、サラリーマン社長が経営する企業では難しい判断である。独裁的なリーダーシップは、正しい方向に向けば大きな推進力となる。
Q. 「悲観時に買い、長期保有する」という原則をどう実践すればよいですか?
市場が悲観的になっているときに買う勇気を持つには、「投資ストーリーへの強い確信」「長期的な視点」「分散投資によるリスク管理」の三つが重要である。投資家自身が深く調べ、そのストーリーに心から納得していること。そして、短期的な価格変動に動揺せず、数年単位の長期ホライゾンで投資を考えること。さらに、複数の銘柄に分散投資することで、個別のリスクを軽減できる。これらが揃えば、「下がったら買い増す」という積極的な行動につながる。

Appleの例も興味深い。AppleはAIでは他社に遅れを取っているという評価もある。しかし、iPhoneという強力なプラットフォームをもち、顧客の信頼を得ている点は揺るぎない強みである。Appleの戦略は「最も完成度の高い製品を後から出す」というものであり、AI分野でもキャッチアップしてくる可能性は十分にある。AIへの遅れという悲観的な見方も、むしろチャンスと捉えることができる。
Q. AIがホワイトカラーの仕事を奪う未来は本当に来ますか?
AIによるホワイトカラーやエンジニアの仕事の削減は、大規模になる可能性が高いと考える。ソフトウェア企業が製造業に比べて本質的に有利なのは、一度作れば追加コストがほぼかからない「オペレーティングレバレッジ」の高さと、人件費の調整のしやすさにある。AIの導入は企業の生産性を向上させ、それに伴い人件費削減(リストラ)は合理的判断とされる。金融業界においても、情報収集や資料作成といった業務がAIによって自動化されており、効率が向上する一方で、雇用は奪われる見込みだ。例えば、ジュニアアナリストが行っていた大量の資料分析作業は、AIが数分で完了させてしまうだろう。

AIによる知的労働の自動化が進めば、ホワイトカラーがお金を稼ぐのが難しくなる可能性がある。これは、AI(資本)を持つ者と持たざる者(労働者)の間に新たな格差を生むことを意味する。したがって、AI関連資産、すなわちAI関連企業の株式を保有することは、現代社会を生き抜く上での自己防衛、あるいは投資を通じた必須の「自己防衛」と捉えるべきである。まったくAI関連資産を持たないことは、特にホワイトカラーの人々にとってはリスクであると認識している。
Q. AIバブルはいつか崩壊するのでしょうか?
AIバブルは簡単には崩壊しない。株価は短期的には上下するかもしれないが、AIのファンダメンタルズという大きなトレンドは継続すると考える。世界の主要国の指導者や大手テック企業のトップたちが、AIを国家や企業の競争力を左右する極めて重要な要素と見なしているため、国家レベルでの投資競争は止まることがないだろう。これは短期的なブームではなく、数十年スパンで進む長期的な変化なのである。
AIの応用分野は、弁護士業務の効率化や新薬開発など、無限に広がっている。現在のAIはまだ序盤であり、長期間の投資が必要だが、一旦実用化されれば新薬の「ブロックバスター」のように爆発的な価値を生み出すポテンシャルを秘めている。過去の工業革命が「道具」、インターネット革命が「情報流通」を革新したのに対し、AIは「知恵そのもの」を増幅させる技術である。知恵に対する需要は人間社会に無限に存在するため、その経済的インパクトはインターネット革命をはるかに超えるものになるだろう。

Q. なぜ日本に住んで米国株に投資するのが最強なのですか?
社会の安定性を重んじる日本では、米国のような徹底した利益追求はなされない。解雇を抑制し、社会の和を重視するため、成長の鈍化や非効率も生じやすい。しかし、安定した社会生活を享受できるというメリットがある。一方、米国では企業が徹底的に利益を追求し、社会問題を度外視することもあるが、その結果として大きな成長が生まれる。この二つの社会の良いところ取りをするのが「日本に住み、米国株に投資する」という戦略である。
これにより、投資家は日本の安定した生活基盤を保ちながら、米国の高成長企業の恩恵だけを享受できる。米国の社会問題が自身の生活に直接影響することなく、そのダイナミックな経済成長の果実を得るという、まさに「最強の人生戦略」であると言える。