THE DEEP SHOW
東野幸治 vs 星野リゾート代表
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2025年11月12日

東野幸治がPIVOT初参戦。「白い悪魔」と呼ばれる東野ならではの毒とユーモアある質問で星野佳路氏の本音と素顔をあぶり出す。波乱の人生から学ぶ金言とは。 <ゲスト> 星野佳路|星野リゾート代表 慶應義塾大学経済学部を卒業後、米国コーネル大学ホテル経営大学院修士を修了。 帰国後、91 年に星野温泉旅館...
東野幸治がPIVOT初参戦!星野リゾート代表が明かす、「教科書通り」に会社をV字回復させた型破りな経営哲学と問題解決術

日本全国に個性豊かなリゾートを展開し、高い顧客満足度を誇る星野リゾート。その躍進を牽引する代表、星野佳路氏は、幼少期からの宿命、実父との激しい対立、そして会社を追放されるというドラマティックな半生を歩んできた。しかしその困難な道のりの中で、「教科書通り」という独自の経営哲学を確立し、奇跡のV字回復を実現した。ここでは、星野氏の型破りな経営哲学から、困難を乗り越え企業を成長させるための実践的な問題解決術、そして来るAI時代への鋭い洞察まで、その真髄に迫る。

Q. 星野佳路氏の経営哲学「教科書通り」とはどのような考え方か?
星野氏は自身の感覚や経験則に頼らず、統計的に証明された経営学の理論や論文を経営判断の絶対的な拠り所とすると述べた。大学時代に体育会活動に没頭し学業を疎かにした経験から、自身には経営感覚がないと認識していた。そのため、経営上のあらゆる課題に対し、世界の経営学者が研究し確立したメソッド、すなわち「教科書」を参照する。多くの企業研究に基づき論理的に証明された手法は、極めて高い納得感を与えると説明した。自身の直感や一時的な閃きではなく、客観的な根拠に基づく意思決定こそが、リスクを最小限に抑え確実な成果に繋がると星野氏は信じる。

Q. 「4代目」として育った生い立ちから、コーネル大学留学を決意した背景にあるものは何か?
星野氏は幼い頃から祖父に「孫の吉晴」ではなく「4代目」と紹介され、自然と家業を継ぐ後継者としての意識が芽生えた。中学生で親の方針により上京し、慶應義塾大学ではアイスホッケーに打ち込み、主将としてリーグ優勝を経験するほどのめり込んだという。しかし、体育会生活のために学業を疎かにしたことに強い後悔を抱いた。この反省から、いずれ継ぐことになる旅館業を体系的に学ぶ必要性を痛感。卒業後は、世界のホテル業界で権威とされる米コーネル大学ホテル経営大学院への留学を決意した。ここで「経営の教科書」の重要性に出会ったことは、彼の経営人生において最も重要な転機の一つであったと振り返る。

Q. 改革の途上で実父との激しい対立が勃発し、会社を追放されたという衝撃的な事実の真相とは何か?
コーネル大学で学んだ星野氏が会社に戻った当時、父が率いる旅館は典型的な中小企業のワンマン経営であった。高度経済成長期には有効だった父の経営手法は、バブル崩壊後の需要停滞期においては限界を迎えていたと星野氏は見ていた。特に「やる気のない社員は本人の責任」とする旧来の人材に対する考え方が問題であるとし、現代においては「やる気のない社員がいる責任は経営者にある」と指摘。緩やかな修正を試みたが、父を含む旧経営陣は耳を傾けなかった。結果として経営方針を巡る父との対立は決定的となり、「お前も出ていけ」と会社を追放されるに至った。しかし星野氏にとって、この追放劇は社内外の人間に対して、「自身が経営者一族ではなく、社員側の人間である」ことを証明する重要な機会となった。

Q. 社外追放後、いかにして会社へ復帰し、「所有から運営へ」という革新的な戦略を確立したのか?
会社追放後、星野氏は外資系金融機関で不良債権の回収業務に携わり、バブル崩壊後の観光業界の実態を肌で経験した。この経験は、将来の経営戦略を考える上で大きな糧となったと述べる。社外にいる間も社内外へ積極的に情報発信し、経営課題や会社のあるべき姿を訴え続けた。結果的に、社外株主の支持を得ることに成功し、株主総会で多数派の支持を獲得。経営の主導権を握る形で会社へ復帰を果たした。この時、親子の確執はビジネス上の戦いとして決着し、和解にも繋がったと明かした。復帰後の大きな決断として、旅館・ホテルの「所有」が過剰になっていく市場環境で、所有リスクを抱えることなく「運営」に特化するビジネスモデルへと事業ドメインを変更した。
Q. リゾナーレ八ヶ岳をV字回復へと導いた独自の「問題解決術」とは具体的にどのようなものか?
「所有から運営へ」の戦略転換後、最初に手がけたのが経営不振に陥っていたリゾナーレ八ヶ岳の再生であった。多くの経営者が「失った顧客」ばかりを分析するのに対し、星野氏は「こんな状況でも、なぜか今もこのホテルに来てくれている顧客は誰か?」という視点に着目した。現地スタッフとのコンセプト会議を通じて、このホテルの特徴は首都圏から2時間半圏内に位置し、広大な敷地を持つという強みを発見。現状利用してくれている顧客を分析すると、「12歳以下の子供連れファミリー層」が残存していることが判明した。そこで、この層に徹底的にフォーカスし、客室、レストラン、アクティビティといった資源を集中投下。結果的に3年で黒字化を達成し、運営特化戦略の有効性を証明したと説明した。

Q. 顧客からの小さな不満、「シーツのよれ」に星野氏が読み解く「問題の本質」と改善策とは何か?
サービス業においては、顧客からの小さな不満の中にこそ、本質的な改善のヒントが隠されていると星野氏は強調する。「シーツがよれている」という指摘があった際、担当の従業員を叱責するだけでは問題の根本解決にはならないと指摘した。そのシーツのよれには必ず複数の理由が絡んでおり、例えば「洗濯業者の品質管理」や「搬入経路の効率の悪さ」、さらには「清掃スタッフの人員不足」など、一見無関係に思える要因が連鎖している可能性もある。問題の表面的な部分に目を向けるのではなく、「なぜよれるのか?」という疑問を深く追求し、原因を構造的に把握することで、「問題が起きない仕組み」を構築することが重要である。この地道な積み重ねが、企業全体のサービス精度を高め、結果的に会社を強くすると語った。

Q. AI時代に「ブランドは通用しなくなる」という星野氏の予測。来るべき次の戦いはどう展開されるか?
星野氏はAIが社会に深く浸透する将来において、従来の「強いブランド」の価値が相対的に低下すると予測する。これまでのマーケティングでは、強力なブランドが消費者の選択を強く促す力を持っていたが、AIが個々の顧客に最適な情報を提供し、最適な選択肢を推奨するようになれば、その流れが変わると指摘した。顧客自身がブランドを選ばず、AIが提示する最適なものを選択するようになる時代が来るとの見解を示した。そのため、今後の競争は「いかに人間の顧客に選ばれるか」から「いかにAIに選ばれるか」へとシフトすると警鐘を鳴らす。AIのアルゴリズムや評価基準を深く理解し、それに適応したサービスを提供することが、次なる時代の企業の生き残りの鍵となると星野氏は結論付けた。