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過去10年で受験者倍増。会計士キャリアの最前線
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2025年11月11日

三大資格として名を馳せる公認会計士。過去10年で受験者が倍増するなど、高い人気を誇っている。会計士キャリアは今後も盤石なのか?監査法人以外にどんなキャリアがあるのか?CPAエクセレントパートナーズの国見健介CEOに最新事情を聞いた。 ▼プロフィール 国見健介|CPAエクセレントパートナーズ代表 慶...
【独占業務からCFO・M&A・グローバルまで】AI時代も高まる公認会計士の価値とキャリアの最前線
公認会計士は、監査や税務といった独占業務に加え、CFO、M&A、IPOコンサルティングなど、多様なキャリアパスが注目されている専門職だ。世界共通言語である会計・ファイナンスの知識を背景に、日本国内に留まらずグローバルな舞台での活躍も可能である。近年、会計士の価値はますます高まり、AI時代においてもその需要は衰えないとされている。この資格がなぜこれほど魅力的なのか、その実態と未来について深掘りする。

Q. 公認会計士のキャリアは具体的にどのくらい多様なのか?
公認会計士は監査や税務といった法律で定められた独占業務を有するが、それ以外にも非常に幅広いキャリアを選択できる。CFO(最高財務責任者)、M&A(企業の合併・買収)のアドバイザリー、IPO(新規株式公開)コンサルタント、企業の経理・財務担当者など、その選択肢は多岐にわたる。士業の中でも特に多様なキャリアパスが存在し、会計・ファイナンスの知識が世界共通言語であるため、国内に留まらずグローバルな活躍も可能となる。
Q. 公認会計士試験制度の最新動向と受験者層はどのような傾向にあるか?
公認会計士試験は、短答式(予選)と論文式(決勝)の二段階制を採用している。短答式試験は年2回実施され、いずれかに合格すれば論文式試験に進める。論文式試験で不合格となった場合でも、短答式試験の合格は2年間免除されるため、再挑戦がしやすい設計になっている。これは、社会人が学習しやすいよう配慮された結果でもある。

受験者数は過去10年間で1万人から2万人以上に倍増し、合格者数も年間1,600名超に増加した。合格者の約9割が20代で、平均合格年齢は24歳と非常に若年化が進んでいる。これは、終身雇用制度への価値観の希薄化や、手に職をつけたいという若者の志向の変化が背景にある。出身大学別合格者数では慶應義塾大学が50年連続でトップであり、早稲田、中央、明治大学などが続いている。
Q. 監査法人での給与水準やキャリアパスはどのように変化しているか?
監査法人では、まず3年間の実務経験を積むことで公認会計士の資格登録が可能となる。給与は初任給が月33万円~35万円程度からスタートし、勤続6~7年目には年収1,000万円に到達するケースが一般的である。さらにキャリアを重ねパートナー(共同経営者)に昇進すると、年収は1,500万円から始まり、上位パートナーでは3,000万円~4,000万円以上も目指せる。
かつては監査法人に長く勤務することが主流であったが、近年では3~5年で3~4割が監査法人を離れ、次のキャリアを選択する傾向がある。パートナーへの道は約15年を要するため、より早期に高収入や裁量権を求めてコンサルティングファーム、M&Aのアドバイザリー、事業会社のCFO候補、あるいは独立開業といった道を選ぶ者が増えている。監査は「守り」の仕事であり、「攻め」の志向が強い会計士には他のキャリアが魅力的に映る場合も多い。
Q. 会計・ファイナンス人材が現在、不足している主な原因は何か?
日本の会計・ファイナンス人材は需要10に対して供給が3~4という深刻な人手不足にある。これは複数の要因に起因する。まず、日本の公認会計士試験制度が「監査人育成」を目的としているため、米国のように「入口を広く開け、実務で経験を積む」形とは異なり、合格者が増えにくい構造である点が挙げられる。合格者を増やした時期には、「難関資格なのに監査法人に入れない」という不満が噴出し、制度が元に戻された経緯もある。資格と就職が密接に結びつく日本独特の文化も影響している。

もう一つの大きな原因は、日本の会計教育が簿記から始まることだ。多くの学生が「借方・貸方」といった記帳の地味なイメージから会計に興味を抱けず、会計やファイナンスが持つ本来の面白さや戦略性が伝わりにくいため、進路として選ばれることが少ない現状がある。
Q. グローバルなキャリアを目指す際、日本の公認会計士資格は有効か?
会計は世界共通言語であるため、公認会計士の専門知識はグローバルに通用する。特に日本企業の海外進出に伴い、海外子会社の財務管理を担うCFO人材の需要が高まっている。監査業務に関しては各国独自の国家資格が必要な場合が多いものの、CFO、M&A、コンサルティングといった分野では、日本の資格や実務経験が大きく役立つ。

しかし、グローバルな活躍を明確に志向するなら、USCPA(米国公認会計士)の取得も有力な選択肢となる。USCPAは合格率が日本の会計士試験よりも高く(30〜40%)、難易度も低い。世界で通用する代表的な会計資格の一つであり、近年日本国内でもその認知度と評価が高まっている。インドのように中小企業を含めた全企業に監査が義務付けられている国もあり、日本人会計士が活躍できるフィールドはますます広がっていると言えよう。
Q. 女性にとって公認会計士のキャリアは魅力的か?
公認会計士は女性が非常に活躍しやすい職業の一つである。専門職であるため男女間の処遇に差がなく、能力や実績が正当に評価される。海外では会計士の約半数が女性であるが、日本では10%台後半に留まっており、伸びしろが大きい分野だ。
この職業はライフステージに合わせた柔軟な働き方が可能であり、大きな魅力である。独立して週3勤務やリモートワークを選ぶことができるほか、夫の転勤で海外に同行しても仕事を見つけやすい。産休・育休からの復帰も比較的容易で、キャリアを中断させることなく長期的に継続できる利点がある。さらに、近年は女性社外役員(監査役など)へのニーズが急増しており、専門性を活かしながらハードワークではない働き方を選択することも可能だ。
日本では依然として会計に対する「簿記」という地味なイメージが先行しており、その先のCFOやM&Aといった華やかなキャリアが認知されていないことが、女性受験者が少ない要因の一つと考えられている。この現状を改善し、魅力的なロールモデルを示すことが、女性の活躍をさらに後押しする上で重要だ。
Q. AI時代において公認会計士の仕事はどう変化し、どのような価値を持つのか?
AIの進化により、現在の定型的な会計業務の7~8割は将来的にAIに代替される可能性があると予測されている。しかし、公認会計士の仕事がなくなるわけではない。むしろ、AIがルーティンワークを担うことで、会計士はより付加価値の高い業務に集中できるようになるだろう。
例えば、高度なM&A戦略の策定、複雑な国際税務の対応、個々の企業状況に応じた財務コンサルティングなど、AIでは判断しにくい複雑な問題解決や戦略的思考が求められる分野において、人間の専門家としての価値は一層高まる。企業の経営判断という極めて多角的かつ不確実性の高い領域は、AIに完全に置き換えられることはないとされるため、公認会計士資格を持つ人材のAI失業リスクは極めて低い。むしろ、会計・ファイナンス業界は変化への適応力が強く、AI時代においても魅力的で将来性の明るい分野であり続けると言える。