PIVOT TALK FOOTBALL
W杯放映権スクープ/代表メンバー選考
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2025年11月7日

ミムラユウスケ氏、垣内一之氏を招いて、ドコモ・DAZNによるW杯放映権スクープと6日に発表された代表メンバーについて考察しました。 <ゲスト> ミムラユウスケ|スポーツライター 2006年7月にスポーツライターとしての活動をはじめ、2009年1月にドイツへ渡る。ドイツを中心にヨーロッパで取材。20...
W杯放映権の舞台裏、エージェント再編、そして日本代表の新戦術。サッカービジネスと強化の最前線とは?
サッカー界は今、世界的に大きな変革の時期を迎えている。次期ワールドカップの放映権を巡るドラマや、米国ファンドによる代理人業界の再編といったビジネスサイドの動きは、我々の想像を超えるスケールで進行しているのだ。一方で、日本代表は新たなW杯に向けて若手の抜擢や戦術オプションの模索を続けている。本稿では、動画内容を基に、これらの動きの現状と未来について、専門家の視点から深掘りする。
激変するサッカービジネスと日本代表の強化戦略の最前線を、Q&A形式で詳しく解説していく。
Q. 次回のワールドカップ放映権は、どの企業が獲得する見込みか?
次期ワールドカップ(W杯)の日本における放映権は、ドコモのストリーミングサービス「Lemino」と「DAZN」の共同体制で獲得が確実となった。これは、すでに電通がFIFAに対して正式な返答をしており、この決定が覆ることはない。今後、両プラットフォームで合計104試合のW杯が視聴可能になる。詳細な権利配分についてはこれから詰める段階だが、全試合を有料のストリーミングサービスで提供する形となるため、日本のサッカー視聴環境は大きな転換点を迎えるだろう。
Q. 博報堂が一度は優先権を得たW杯放映権は、なぜ電通・ドコモ連合に落ち着いたのか?
当初の入札では、博報堂とAmazonの連合が約400億円で電通を上回る金額を提示し、優先交渉権を獲得した。しかし、博報堂はW杯のような大規模イベントの放映権に関して、各放送局へのサブライセンス販売のノウハウが不足しており、約400億円の投資回収が困難と判断。最終的に権利を手放すことになった。その後、長年の実績を持つ電通がドコモとDAZNの連合をまとめて交渉にあたり、約300億円で権利をまとめた経緯がある。
これは、FIFAが近年、広告代理店を挟まず、DAZNのようなグローバルな配信プラットフォームと直接契約を結ぶことで、独自コンテンツ制作の自由度を高めたいと考えている流れにも合致する。
Q. W杯を独占的に放映するDAZNのサービス品質は向上したのか?
次回のW杯は、日本時間の午前中に試合が集中するため、従来のテレビ視聴よりもスマートフォンなどでのストリーミング視聴が主流となる。こうした状況において、配信プラットフォームの品質は非常に重要だ。
DAZNはサウジ資本の投入を受け、昨年開催されたクラブW杯の放映権獲得を契機に、サーバー増強など大規模なインフラ投資を進めてきた。これにより、サービスの安定性が大幅に向上し、過去の試合アーカイブが充実するなど、以前指摘されていた課題が改善されている。FIFAもDAZNの技術的向上を評価しており、W杯放送における安定した視聴環境の提供が期待されている。
Q. 世界のサッカーエージェント業界ではどのような「青田買い」ビジネスが進行しているのか?
世界のサッカーエージェント業界では、アメリカの投資ファンドが欧州の代理人事務所を買収・投資する動きが加速している。これにより、選手はあたかも金融商品のように見なされ、将来の移籍金からリターンを得ることを目的としたビジネスモデルが主流となりつつある。資金提供を受けたエージェントは、潤沢な資金を元に有望な若手選手の獲得と育成を強化する。
13歳で「ネイマールの再来」と称されるカウアン・バジーレのように、才能ある選手にはプロ契約年齢に達する前からエージェントが投資を行い、生活や育成環境を支援する「青田買い」が一般化している。選手がまだ未成年で正式な代理人契約ができない場合でも、肖像権管理などの形で実質的な支援を行うのが通例だ。かつて存在した選手保有権の複数クラブや企業での分割(パッセード)は人身売買にあたるとして禁止されたが、依然として抜け道は存在する。
Q. 米国資本によるエージェント買収の動きは日本のサッカー界にどのような影響があるのか?
この世界的なエージェント業界再編の波は、日本のサッカー界にも押し寄せている。日本の多くの代理人事務所に対し、海外の投資ファンドや大手エージェントからのM&A提案が相次いでいるという。現時点では買収された事例はほとんど聞かれないものの、今後、巨大資本の傘下に入る事務所が出てくる可能性は十分にある。
日本の代理人事務所が海外大手エージェントの傘下に入れば、その巨大なネットワークを活用し、日本人選手の海外移籍がより容易になるだろう。これは選手にとって海外で活躍する機会が増えるメリットをもたらすが、一方でJリーグにとっては若く有望な選手が早期に流出し、リーグの空洞化を招くリスクも懸念される。海外資本の流入は、日本サッカーの育成・強化、そしてビジネス構造全体に多角的な影響を与えるものとみられている。
Q. 今回の日本代表選手選考において若手抜擢や26人枠の可能性はどのような狙いがあるのか?
今回の日本代表メンバー選考では、若手選手に「チャレンジ枠」を設ける意図が明確であった。後藤啓介、北野颯太ら3名の新戦力を招集したが、これは目先の結果以上に、将来のW杯を見据え、トップレベルの空気を経験させる長期的な育成戦略がある。実際に、天皇杯準決勝に残ったクラブの主力選手を招集しないといった配慮も行われた。
また、森保監督が会見で次期W杯の本大会登録人数が「26人になる」と発言したことも注目すべき点である。これはFIFAからの内示があったと推測され、過去の23人枠と比較して選考の幅が大きく広がることを意味する。26人枠となれば、長友佑都のような経験豊富なベテラン選手が精神的支柱やムードメーカーとしてチームに貢献する機会も高まる。主力選手に関しても、森田英正のようにクラブと協会が連携し、コンディションを最優先して招集を見送るなど、本大会で最高のパフォーマンスを発揮させるための戦略的判断が行われている。
Q. ガーナ戦・ボリビア戦における久保建英の起用法と日本代表の課題とは何か?
ガーナ戦、ボリビア戦での日本代表の戦術と久保建英の活かし方は重要な焦点となる。久保は自身の意識を「周りを活かす」ことから「自分の良さを最大限出す」ことへと変化させていると語る。この久保の才能を最大限に引き出すため、新たな攻撃オプションの模索が必要だ。例えば、町野修斗をリンクプレーが得意な「9.5番」として最前線に置き、久保と鎌田大地を2シャドーに配置する布陣が考えられる。町野は所属クラブでも2シャドーで結果を出し始めており、このユニットは攻撃の創造性を高めるだろう。
また、右ウイングバックのポジション争いも激しい。守備貢献度の高い堂安律が一番手だが、攻撃のジョーカーである伊東純也、そして本職である菅原由勢も候補である。対戦相手や戦術に応じた使い分けが求められるだろう。一方で、長年の課題である「生粋の左サイドバック」の不在は依然として残る。これが、4バックではなく3バック(5バック)システムに頼らざるを得ない原因の一つとなっており、戦術の柔軟性を欠く要因である。ガーナ戦にはベストメンバーを起用し、ボリビア戦で若手や新戦術を試す起用法が妥当と言える。