PIVOT TALK POLITICS
維新・藤田共同代表に問う「成長戦略」
(604)
6,310回視聴
2025年10月30日

自民党と維新の連立合意から1週間。連立入り条件として掲げた12の政策は一体どのように実現されていくのか。社会保険料の引き下げや食品消費税削減の実現可能性、副首都構想と大阪都構想の違いなど、維新・藤田共同代表に今後の施策について聞いた。 ▼プロフィール 藤田文武|日本維新の会 共同代表 筑波大学体育...
与党・日本維新の会が見据える改革:経済、社会保障、国家の未来図
日本維新の会は与党入りを果たし、国政における役割を一段と重くしている。与党化後、高市総理との間で連立合意「12本の矢」が締結された。その矢の一つ一つが日本の未来を左右する重要政策である。共同代表の藤田氏は、この激動の1週間に政策協議に奔走したと語る。本記事では、「12本の矢」の進捗状況から、維新が目指す国家像を藤田共同代表に深掘りする。

Q. 与党入り1週間の心境と、多忙な中で最も注力する政策課題は何か?
連立協議は昼夜を問わず行われ、非常に多忙な日々であった。トランプ大統領来日といった外交日程も続き、ホッとする間もなく次へと進む。約束した政策の早期実現が重要であり、今後もさらに意識を数段上げて取り組む必要がある。当面は国民生活に直結する経済・財政政策、未来に向けた成長戦略、そして喫緊の社会保障改革に特に注力する構えだ。
Q. ガソリン税暫定税率廃止の進捗と財源確保策の議論の行方はどうか?
ガソリン税の暫定税率廃止は、高市総理のもと最優先課題として取り組む。減税を財源と安易に紐付ける論理は不当だ。暫定税率なのだから、財源探しに固執せず直ちに廃止し国民負担を軽減すべきだ。実施時期が年明けにずれ込んでも、その間の国民負担軽減のため補助金でつなぐ措置を講じる。財源は増税ではなく、効果の薄い既存制度の徹底的な見直し、すなわち歳出改革によって確保する。例えば賃上げ税制は既に賃上げ傾向にある企業への「追い銭」であり、年間1兆円を超える政策効果の薄い支出だ。これを真っ先に廃止し減税財源とする。この歳出改革は「日本版DOGI(政府効率化局)」を通じ、片山財務大臣が主導する予定である。

Q. 飲食料品の消費税ゼロは実現可能か?また、人口減少社会における維新の成長戦略の具体的な内容を教えてほしい。
飲食料品の消費税ゼロ化は、インフレに苦しむ国民生活を直接支援し、特に低所得者層への逆進性対策としても有効である。恒久的なゼロ化が理想だが、導入ハードルを下げるため「2年間限定」として、経済状況に応じた見直し余地を残す。財源確保は増税でなく、経済成長と税収増を前提とした長期視点で政策を進めるべきだ。維新の成長戦略の核心は、人口減少社会における「テクノロジーの社会実装」と「省人化」にある。安易に外国人労働者に頼らず、技術革新を促し、既存技術を速やかに社会へ導入することに重点を置く。例えば自動運転技術は物流の人手不足解消に貢献できる。現状では法規制が社会実装を阻害し、海外に遅れをとっている。規制を撤廃し、技術が社会で活用される環境を整えることで、国際的な競争力を高める考えだ。
Q. 喫緊の課題である社会保障改革はどのように進められ、現役世代の負担軽減は実現されるのか?
社会保障改革は、短期的な物価高騰対応と中長期的な構造改革を両立させる。医療・介護現場はインフレで経営が逼迫しているため、インフラ維持の観点から診療報酬上乗せ等の短期的な支援は必要である。しかし中長期的には、2040年には80兆円に達すると予測される医療費の増加を抑制しなければならない。そのための構造改革として、まず医師会の影響力が強い中医協(中央社会保険医療協議会)の構成を見直し、患者や看護師など多様な関係者の声が反映されるよう透明性と公平性を確保する。さらに、OTC類似薬の保険適用除外、民間保険や自由診療との役割分担、資産のある高齢者層への負担能力に応じた見直しなど、現役世代の保険料負担を軽減する具体的な施策を推進する。社会保障改革は連立合意で最も多くの項目を占めており、維新はここに本腰を入れて取り組む所存だ。

Q. 憲法改正の緊急事態条項の必要性は何か?政府への権力集中という懸念に対し、どのように応えるか?
緊急事態条項の目的は、政府に強大な権力を与えることではない。むしろ大規模災害やテロといった緊急時に、権力の行使範囲をあらかじめ明確に規定することで、恣意的な権力乱用を防ぎ、国民の自由と権利を守ることにある。コロナ禍での民間店舗への休業要請は、ルールがない中で行われた国家の介入であり、公共の福祉と個人の自由のバランスを崩した実例と言える。事前に権限の上限(キャップ)を憲法に定めることは、無秩序な状況を回避し、予測可能性を高めるために不可欠だ。国会機能維持のための議員任期延長、および行政の緊急政令という二つの柱で、議論を進めていく。この規定があることで、政府の行動が「抑制」され、国民生活の混乱を最小限に抑えることに貢献する。

Q. 維新の主張する「身を切る改革」として、企業団体献金の扱いや衆議院定数削減はどこまで実現可能か?
企業団体献金の改革は、政党の資金源が多様なため、各党間で意見が対立し、連立協議でも特に難航した論点の一つだ。一部の規制強化案には抜け穴が多く、本質的な解決にはつながらない。企業献金に限らず、政治団体からの寄付や政党の事業収入など、あらゆる政治資金の流れを対象に、透明性と厳格性を高める包括的な規制を第三者委員会で議論すべきだと考える。衆議院議員の定数1割削減も重要な改革である。これは国民に負担を求める前に、まず政治家が自ら範を示すという象徴的な意味を持つ。維新のマニフェストでは3割削減を掲げるが、まず与党として1割削減を目標に臨時国会中に議員立法での法案提出を目指す。これは自民・維新で達成可能な公約であり、提出に至らなければ約束不履行と見なす。定数削減は自身の身分に関わるため議員からの抵抗は強いが、総裁直轄組織の設置など、自民党側の本気度も見える。将来的には、中選挙区制の再導入を含めた選挙制度改革も視野に入れ、国会のあるべき姿を議論していく必要がある。
Q. 東京一極集中是正を掲げる副首都構想とは、具体的にどのような機能と意義を持つ構想か?
大阪都構想は大阪内部の統治機構改革であるのに対し、副首都構想は東京一極集中を是正し、日本全体の国土バランスと経済活力を高める国家レベルの構想である。目的は大きく二つ。第一に、首都直下地震等の大規模災害発生時における国家機能のバックアップ拠点の確保だ。行政・政治機能の一部を平常時から移転・分散させ、危機管理体制を強化する。第二に、東京以外の経済圏を活性化させ、多極分散型の経済成長を実現することだ。関西経済圏が持つ潜在力を最大限に引き出すため、特区制度や税制優遇措置を活用し、経済的集積を創出する。副首都としての機能を大阪・関西圏で十全に発揮するためには、広域行政を効率的に一元化する組織(大阪都構想が目指したもの)が前提となる。これは東日本大震災後にも議論された古くて新しい課題であり、単なる議論で終わらせず、具体的な「形」にすることが今求められている。