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【ニッポンの移民】2070年には人口の10.8%が外国人
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2025年10月28日

2070年には人口の10.8%が外国人に。日本の移民政策とは。外国人の数が増えている理由は何か?ニッポンの移民について是川タ氏に聞いた。 ▼プロフィール 是川タ|国立社会保障・人口問題研究所 国際関係部部長 専門は移民研究、社会人口学。東京大学文学部、同大学院人文社会系研究科博士課程修了。カリフォ...
日本は「移民政策がない」と言いつつなぜ外国人が増えるのか?専門家が語る欧米との決定的な違い
近年、日本の外国人人口は増加の一途を辿っている。政府は「移民政策はない」という姿勢だが、現実との乖離に疑問を持つ声は少なくない。
本記事では、国立社会保障・人口問題研究所の是川夕氏の知見を基に、日本の外国人受け入れの実態、増加の背景、そして欧米の移民問題との本質的な違いをQ&A形式で深掘りする。

Q. 日本の外国人人口は現在、どれくらいの割合を占め、将来どのように変化していくと見込まれるか?
現在、日本に居住する外国人人口は約377万人で、総人口の約3%を占める。特に1990年代以降、「ニューカマー」と呼ばれる新たな層の増加が顕著であった。現在では、彼らが日本の外国人人口の大部分を占めている状態だ。
国立社会保障・人口問題研究所の公式推計によれば、2070年には日本の外国人人口が総人口の10.8%にあたる約940万人に達すると予測されている。
しかし、これは比較的保守的な仮定に基づいた推計である。現状、年間約35万人のペースで外国人人口が増加しているため、このペースが続けば2040年代には外国人人口比率が10%に到達する可能性も十分にあると是川氏は指摘する。

もっとも、この10%という数値でも、現在の欧米主要国の外国人比率(例えばドイツ18.2%、フランス13.8%、先進国平均14.7%)と比較すれば、まだ低い水準であると言えるだろう。
Q. 政府は「移民政策はない」と表明しているが、その実態と実際の受け入れ状況との間にはどのような乖離があるのか?
政府が「移民政策はない」と公式に表明するのは、移民という言葉を非常に限定的に捉えているためだ。これは、来日時にすでに永住許可を与え、日本社会の人口規模や構造を意図的に変えるような政策は行わない、という立場表明であり、一種の「ポジショントーク」と是川氏は解説する。
だが、この認識と現実の間には大きなギャップがある。日本は先進国であり、経済活動の自由に伴い、物や金と同様に「人の自由な移動」も保障している。
実際、日本は留学や就労、さらには日本人の配偶者として入国し、結果的に長く滞在する外国人の存在を許容する、
「フルスペックの人の移動政策」を持っている。これにより、政府が移民政策はないと表明しているにもかかわらず、日本に長く暮らす外国人は着実に増えているのである。
いわば、「移民」を狭い言葉で定義することで、その実態との乖離を生じさせていると見ることができる。
Q. 日本の外国人受け入れ制度は無秩序であるという見方があるが、それは事実か?
日本に対する外国人受け入れに関する見方は「なし崩し的な受け入れ(無秩序)」と「非常に閉鎖的」という、一見すると両極端なものに分かれている。しかし是川氏は、この両者の主張は、日本の制度のある側面を異なる視点から捉えているに過ぎないと述べる。
結論から言えば、日本の受け入れ制度は決して無秩序ではないむしろ、国際的に見てもその基準は厳格だ
日本語の高い運用能力や特定の職務能力など、非常に高い条件を課している点がその厳しさを物語る。
一方、日本の制度は条件の透明性が極めて高いという特徴も持つ。大卒で安定した職に就くなど、提示された明確な条件さえ満たせば、ほぼ例外なく在留資格が得られる。「条件を満たした人が順当に入国できる」この高い予測可能性が、あたかも「無秩序」であるかのように見えてしまうことがあるという。
また、政策のパフォーマンスとして、日本の不法滞在者数は非常に低い
全在留外国人の数パーセント(約7万人強)に過ぎず、大半の不法滞在者も数カ月以内に帰国する。これは欧米諸国で総在留外国人の1〜2割が不法滞在者として長期にわたって定住している状況と比べると、非常に管理が行き届いている実態だ。
つまり、日本は厳格な条件を透明に運用し、結果として規律の取れた外国人受け入れを実現していると言えるだろう。
Q. なぜ、高水準の日本語能力やスキルが求められるにもかかわらず、日本を選ぶ外国人が増え続けているのか?
日本の受け入れハードルは長年変わっていないにもかかわらず、外国人が増えている主な要因は二つある。

アジア諸国の経済発展:送り出し国における教育水準や経済力が向上し、日本の高い条件をクリアできる「中産階級」が増加している。
日本側の労働需要:2010年代以降本格化した日本の人口減少は、年間60万〜70万人規模の労働力減少をもたらし、あらゆる分野で外国人労働者への強い需要を生み出している。
こうした状況下で、日本は来日外国人にとって非常に魅力的な選択肢となっている。特に、「稼げるが人権侵害も起きやすい」とされる産油国などと異なり、
日本は「安全で、長期的に安定して働ける場所」という評価を得ている
この安定性へのニーズは高い。皮肉なことに、日本人にはネガティブに捉えられがちな
「日本型雇用」(終身雇用や内部昇進)が、海外の若者にとっては長期的なキャリア形成のチャンスとして魅力的に映っている
というのだ。
また、是川氏は国際移住の「意欲潜在能力モデル」を挙げ、送り出し国が経済発展を遂げると、当初は移住能力・意欲がともに高まり、一時的に国外への移住圧力が強まるフェーズがあると説明する。現在、ベトナム、インドネシア、ネパール、フィリピンなど、日本への主要な送り出し国がこの段階にあり、今後も日本を目指す人材は増加すると予測される。
Q. 日本の外国人政策と欧米の移民政策にはどのような本質的な違いがあり、それによって直面する課題も異なるのか?
欧米と日本の外国人受け入れは、その根本的なメカニズムが異なるため、直面する課題も異なっている。欧米の移民政策の歴史的経緯は、主に旧植民地から旧宗主国への人の移動に起因している。
そこでは「人権」が受け入れの基盤にあり、仕事の有無よりも、出身や家族の紐帯が重視されてきた
欧米型の移住は「供給主導型(サプライドリブン)」であり、入国者は仕事のスキルに関わらず、人としての権利を基に社会に統合されていく。このため、入国後に失業、貧困、さらにはそれに伴う社会分断といった問題が発生しやすい構造を持っている。

一方、日本の外国人受け入れは「労働(仕事)」を前提とした「需要主導型(ディマンドドリブン)」である
雇用契約がなければ来日できず、来日した外国人労働者は、雇用主が提示する職務要件(日本語能力や専門スキルなど)をクリアする必要がある。そして、失業すれば原則的に滞在資格を失い帰国することになる。
この本質的な違いが、日本と欧米で生じる外国人関連の問題を分ける。
日本では、仕事があることを前提に来日しているため、欧米のような広範囲での失業や貧困、それに起因する社会的分断といった問題は構造的に発生しにくい
現在、日本が直面する課題は、社会保障費への貢献度や外国人増加に対する漠然とした不安といった、欧米とは異なる側面にあると言えるだろう。