PIVOT TALK POLITICS
自維政権発足後のシナリオを大予測
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2025年10月20日

10月20日21時より、選挙ドットコム編集長 鈴木邦和氏を迎え、自維政権発足後のシナリオを予測しました。 <ゲスト> 鈴木邦和|選挙ドットコム編集長 1989年生まれ、東京大学工学部を卒業後、2012年に政治サイト「日本政治.com」を起業。2017年 東京都議会議員に初当選し、1期務める。現在...
高市新政権発足で日本政治はどう変わるか?支持率、政策、政界再編シナリオを専門家が分析
自民党と日本維新の会が連立合意に至り、高市総理を擁立する新政権が誕生する見通しとなった。この政治の大きな動きは、有権者の支持構造や各党の戦略、そして今後の日本政治の姿にどのような影響を与えるのだろうか。選挙ドットコム編集長の鈴木邦和氏が、最新のデータと洞察に基づき、その全貌を深掘りする。

Q. 高市新政権はどの程度の支持を得られる見込みか?
高市新内閣の予測支持率は50%であった。これは、石破内閣発足時の43%を上回る一方、岸田内閣の約60%や菅内閣の7割と比較すると低く、いわゆる「ご祝儀相場」としては中程度の水準にとどまるだろう。この調査は維新との連立合意前に行われたものであり、政権の安定性を評価する層からの支持が今後上乗せされる可能性は十分にある。

特に注目すべきは、高市内閣の支持率の構成だ。強く支持すると答えた層が30%を占め、どちらかといえば支持する層の20%を上回っている。これは一般的な内閣の支持率では稀な構造である。この強く支持する30%の「岩盤支持層」は、仮にスキャンダルや逆風が吹いても離反しにくく、政権の安定した基盤となるであろう。
Q. 高市新政権の発足により、自民党の支持層はどのように変化したのか?
高市内閣の50%の支持率に対し、自民党単独の支持率は23%と低迷を続けている。しかし、この数字の裏側では、自民党支持層に大きな質的変化が生じている。公明党との関係変化などにより、自民党を支持してきた穏健派・中道寄りの高齢者や女性層が離反している。彼らの一部は立憲民主党など、他党へ支持を移した可能性がある。
一方で、高市氏を強く支持する保守的な現役世代や男性層が、参政党や国民民主党から自民党に回帰している動きが顕著だ。参政党の支持率が前回の調査から3.8ポイントも低下するなど、高市総裁誕生を機に支持層の「保守化」と「若返り」が起きていることがデータから読み取れる。また、高市氏の強力な「ネット地盤」は、SNSのアルゴリズム上も極めて強く、選挙戦略においても大きな武器となるであろう。

Q. 自民・維新連立政権の政策運営はどのようになるのか?
自民・維新・改革の会の三会派は、衆議院で過半数(233議席)を超える234議席を確保しているものの、参議院では過半数に5議席足りない。しかし、これは国会運営において大きな問題とはならない。公明党、国民民主党、立憲民主党、賛成党のいずれか1党でも自民・維新と連携すれば、衆参両院で法案の可決に必要な議席数を確保できるため、政策ごとに柔軟に連携相手を変える「部分連合」が可能となるからだ。
このような構造により、連立政権は幅広い政策分野で協力者を募ることができ、多様な課題に取り組める可能性がある。ただし、自民・維新の連立は、大阪での事実上の選挙区調整が背景にあり、維新は地盤を固めつつ連立で失うものが少ない一方、自民党ももともと議席を獲得しにくい選挙区を譲る形であるため、比較的スムーズな合意形成が可能であったと言える。しかし、従来の自公連立のような盤石な関係性とは異なる側面も持ち合わせているだろう。
Q. 「議員定数削減」はなぜこの政権の最重要テーマとして浮上したのか?
日本維新の会は、その党勢を回復させるため、自らが得意とする「身を切る改革」の象徴である「議員定数削減」を連立合意に強く盛り込んだ。彼らは、他党がこの提案に反対することで国会が停滞する状況を作り出し、それを「改革対抵抗勢力」という対立軸として演出し、解散総選挙の大義名分にしようと画策している可能性がある。
この議員定数削減案(衆議院の比例代表を50議席削減する案)は、各党に異なる影響を与える。シミュレーションによると、公明党と共産党は25%減、賛成党と保守党に至っては67%減と、少数政党に壊滅的な打撃を与える可能性が高い。しかし、自民党への影響は議席の9%減、立憲民主党も6%減と軽微である。この結果は、自民党にとって維新の要求を呑むこと自体が、競合する少数政党を弱体化させ、自らの影響力を温存する「一石二鳥」の側面を持っていたことを示唆する。高市総理自身には議員定数削減への強い思い入れはないとされるが、この改革が結果的に自民党に有利に働くため、受け入れやすかったものと考えられる。
「企業団体献金の禁止」については、維新の当初の要求にもかかわらず、「総裁任期中に結論を得る」という表現に後退し、事実上骨抜きにされた経緯がある。これは自民党にとってハードルの高いテーマだったため、議員定数削減と引き換えに受け入れた妥協点と考えられる。このような綱引きの結果、「議員定数削減」が新政権発足直後の主要論点となっているのだ。

Q. 主要な経済政策や社会保障改革はどれくらい実現する見込みがあるのか?
物価高対策については、自民・維新の連立合意に食料品の消費税ゼロの検討、給付付き税額控除の導入、所得税減税、ガソリン暫定税率の廃止など、幅広い選択肢が羅列されている。しかし、これらの政策はまだ具体的な方向性が固まっておらず、各党との調整や財源の問題をクリアする必要があるため、実際の着地点は不透明な状況だ。
社会保険料改革、特に「1人あたり年6万円の引き下げ」を目指す維新の目標は、数兆円規模の財源削減が必要であり、実現へのハードルは極めて高い。医師会をはじめとする既存の利権団体からの強い抵抗が予想され、この分野での骨太な改革は一筋縄ではいかないだろう。今回の自民・維新連立は、従来の自公連立のような強固な協力体制とは異なり、短期的な枠組みと見られており、2~3年で終わる可能性も指摘されている。そのため、国の形を変えるような抜本的な骨太改革が次々と実現するとは考えにくい状況だ。
Q. 長期的に見て、日本の政治構造はどのように変化していくのか?
今回の政局を通じて、立憲民主党が現状で政権交代の軸になり得ないという現実が露呈した。中道勢力である国民民主党や公明党との間で外交、安全保障、エネルギー、憲法といった基幹政策について合意形成が困難であるためだ。共産党などの左派勢力との連携だけでは、有権者のイデオロギー分布(中道が約55%、リベラル層は15%程度と見積もられる)から見て、過半数を獲得するのはほぼ不可能と言える。このため、当面の間、日本の政治は自民党を基軸とし、その時々の政策課題に応じて協力するパートナーが変わっていくという、流動的な多党制的な様相を呈すると予測される。
有権者の民意が多様化し、政党の多党化が進む現状では、二大政党制を前提とした現在の小選挙区比例代表並立制は見直しの時期に来ている。意思決定のスピードと民意の丁寧な反映はトレードオフの関係にあるが、テクノロジーを活用することで民意を効率的に集約できる現代においては、ある程度政党数が限定される多党制(例:中選挙区制)が現実的な選択肢となる可能性も議論されている。このような根本的な選挙制度改革への議論は今後加速するであろう。
Q. 早期の衆議院解散はあり得るのか?
自民・維新の連立合意では、臨時国会の会期末(12月)までに議員定数削減の議員立法を成立させると明確にうたわれている。もし、この審議が停滞し、行き詰まる事態になれば、維新は「抵抗勢力」との対立を演出し、これを大義名分として高市総理に解散を迫るシナリオが浮上するだろう。現状では早期解散の可能性は五分五分と見ており、12月の政局の動きには特に注意が必要だ。