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金・銀・プラチナまだまだ上がる理由
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2025年10月14日

金・銀・プラチナの価格高騰。まだまだ上がり続けるのか?おすすめポートフォリオとは?貴金属スペシャリストの池水雄一氏に話を聞いた。 <ゲスト> 池水雄一|貴金属スペシャリスト 上智大学卒業後、住友商事入社。クレディ・スイス銀行、三井物産を経て、2019年より「日本貴金属マーケット協会(JBMA)」代...
金・銀・プラチナ価格、史上最高値更新は続くのか?専門家が語る「大転換」期の投資戦略
金、銀、プラチナなど貴金属の価格が高騰を続けている。これらの貴金属は一時的なバブルにあるのか、それとも長期的な「大転換期」の序章に過ぎないのか。本記事では、貴金属市場のスペシャリストが、現在の市場を牽引する背景、各貴金属の動向、そして個人投資家がどのように向き合うべきかを解説する。
特に、円安が進む日本において、資産保全やポートフォリオのリバランスを考える上で、貴金属への注目は高まっている。歴史的な瞬間を目の当たりにしている今、市場の「なぜ」を深掘りし、最適な投資戦略を明らかにする。
Q. 金価格高騰の背景には何があるか?
金価格はドル建て、円建てともに史上最高値を更新中である。米中対立により株式市場が大幅に下落する局面でも、金は逆行高を見せるなど、従来の金融商品とは異なる動きを呈している。これは、貴金属の地位が大きく変化している兆候と言えよう。
当初は中国が金の買いを主導していたが、現在の高騰は主に欧米のファンドマネージャーが牽引する。彼らの多くが未だポートフォリオに金を取り入れておらず、この機会に乗り遅れることを恐れる「FOMO」心理から、買いを急いでいるのである。日本でも円安やインフレ懸念から、個人の金投資が過熱している現状にある。
このような買いの背景には、長期的な法定通貨(ドルや円)の価値希薄化に対する不信感が根本的に存在する。過去50年間でドルの価値が100分の1になったように、通貨の価値が減少する中で、金が価値の保存手段として再評価されているためだ。この「通貨への不信」が、特に若い世代の投資行動に影響を与えていると指摘する声も大きい。
Q. 銀(シルバー)が金以上に勢いよく上昇する要因は何か?
銀(シルバー)価格は金以上の勢いで高騰し、1980年代の歴史的高値である52ドル20セントを突破した。この異常な高騰の背景には、ロンドンの専門市場において物理的な「現物不足」という深刻な事態が発生しているからである。
この現物不足の深刻さを示すのが「リースレート」、つまり銀を借りる際の金利だ。現在の銀のリースレートは1ヶ月で30%にも達しており、これはトルコリラなどの高金利通貨に匹敵する水準である。通常、貴金属のリースレートは非常に低い。この高金利は、市場に流通する銀が極度に品薄状態であることを如実に示していると言える。
銀の現物不足は、米国が中国に対し関税を課すという懸念が生じた際、ロンドンの銀在庫が大量にニューヨーク市場へ移送されたことに端を発する。現在、この裁定取引を狙い、高くなったリースレートでも採算が合うため、トレーダーたちは船ではなく、費用がかさむ飛行機を使って銀をニューヨークからロンドンへ輸送している。この需給逼迫状況は数ヶ月続くと予想されており、価格の上昇圧力が当面続く見込みだ。銀需要の約半分を占める工業需要(太陽光パネルなど)は代替が効きにくく、価格が上がっても需要が落ちない点も価格を押し上げる要因となる。
Q. プラチナも注目すべき貴金属か?その特徴と将来性はどうか?
プラチナも銀と同様に現物不足が深刻化し、価格が高騰している。リースレートは一時40%まで上昇し、現在も13%と高い水準を維持する。これにより空売り(ショート)に大きなコストがかかるため、市場での下落圧力が生じにくく、価格が下支えされやすい状況だと言えるだろう。
プラチナ価格には約900ドルという強力な下値支持線がある。これはプラチナ鉱山の生産コストであり、この水準を下回ると多くの鉱山が採算割れとなるため、供給が大幅に減少する。これにより、過去5年間はこの900ドル付近で買い、1000ドルで利確する戦略が有効であった。現在はそのレンジを突き抜け、価格が急上昇している状態にある。
プラチナの歴史的高値は2008年の2300ドルだが、現在の価格はこれにはまだ届いていない。当時の高騰は南アフリカでの電力不足による供給停止が原因であり、供給不安が価格に大きく影響することを歴史が示している。自動車触媒や水素社会における電極材としての工業需要は今後も堅調であり、EV(電気自動車)へのシフトの勢いが鈍化している現状も相まって、プラチナは2008年の高値再試を視野に入れる可能性を秘める。
Q. 金・銀・プラチナに今から投資するならどのような戦略が良いか?
金・銀・プラチナへの投資を検討する場合、どれか一つに絞るのではなく、「全部買い」でポートフォリオを組むことが専門家によって推奨される。各貴金属にはそれぞれ異なる特性があるため、分散投資がリターンを高める効果的な手段となるためだ。年のパフォーマンスを見ると、プラチナが83%、銀が81.5%、金が58%と、それぞれの魅力があることがわかる。
具体的な配分としては、まず長期的に見て安定して価値が上昇すると考えられる金をポートフォリオの核に据えるべきだ。例えば、投資資金の半分以上を金に充てるのが良いだろう。そして、価格の爆発力が期待できる銀とプラチナをサテライト的に加える。銀やプラチナは工業需要の強さから、必要な時に現物がなくなると価格が急騰しやすい性質を持つ。これにより、ポートフォリオ全体でレバレッジ効果が期待でき、投資の楽しみが増すと指摘されている。
現在の貴金属市場は、株価が下落した際には安全資産として買われ、株価が上昇した際にはインフレヘッジや通貨安への備えとして買われるという、有利な局面を迎えている。かつては株安時には金も売られる傾向があったが、この法則も変わりつつあり、金を持たないリスクの方が高く意識されるようになった。そのため、資産の一部として貴金属を組み入れない理由は、今や見当たらないと言えよう。
Q. 現在の貴金属高騰は一時的なバブルか、それとも大転換期の始まりか?
貴金属価格の現在の高騰は、一部でバブルではないかと指摘されることがあるが、専門家の見解では「一時的なバブルではない」とされている。むしろ、法定通貨の価値が希薄化し続ける中で、世界の資産の置き場所が変化する「歴史的な大転換期」の序章に過ぎないと捉えるべきである。
世界的な金融緩和により、通貨供給量が増加する一方、金の生産量は限られている。このような状況下で通貨の価値が実質的に減少しているため、金の相対的な価値は向上していく傾向にある。例えば、1971年に35ドルで交換できた金が、現在では4100ドルを支払わなければならないことからも、この長期的なトレンドは明らかだ。これは今後50年も続くと予想される根源的な変化である。
従来のポートフォリオでは金の比率は5%から10%程度が推奨されることが多かったが、この大転換期においては20%以上に引き上げることが合理的だとされる。多くの投資家、特に若い世代は、将来への危機感を抱き、資産の保全先として貴金属を評価し始めている。現在の貴金属の急激な値上がりは、こうした構造的な変化が背景にあるため、バブルとは異なる性質を持つ、まだ初期段階の上昇だと解釈すべきだ。
Q. 日本の個人投資家が貴金属に投資する際、最も賢明な方法とは何か?
日本人投資家にとって、貴金属投資は円安と貴金属価格上昇の「ダブルの恩恵」を受けられる可能性があり、非常に有利だ。自身が保有する円の価値が下がっている中で、貴金属がドル建てでも円建てでも上昇することは、資産保全の観点からも重要となる。
投資方法としては、現物購入、投資信託、ETF(上場投資信託)が挙げられる。初心者で気軽に始めたい場合は、ショッピング感覚で現物を購入することも魅力だが、手数料や保管費用を考慮するとコスト面で不利な場合がある。株式投資経験者であれば、個別の銘柄と同じように取引できるETFや、純金ファンドなどの投資信託が有利だ。特にこれらの金融商品は、2024年から始まった新NISAの成長投資枠を活用できるため、税制優遇を受けながら効率的に投資ができる点で推奨される。NISA枠が空いている場合、そちらから始めるのが賢明である。
現在の急騰局面では、毎月一定額を投資する積立投資(ドルコスト平均法)だけでなく、目標とするポートフォリオ比率に達するために、ある程度まとめて投資する「一括投資」も有効な戦略となる。余剰資金がある場合、思い切った投資判断が大きな利益につながる可能性も示唆された。長期的な視点から、自身のポートフォリオに貴金属を戦略的に組み入れることが、現在の市場環境で成功するための鍵となるだろう。