健康新常識
安静が腎臓を壊す/1日寝ていると2歳老化/腎機能強化メソッド/ウォーキング/簡単エクササイズ【上月正博】
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2025年10月14日

成人の5人に1人が慢性腎臓病。「安静が腎臓を悪化させる」「1日寝ていると2歳年を取る」と腎臓専門医・上月正博氏が警鐘を鳴らす。名医が実践する腎機能強化メソッドとは。 <出演> 上月正博 腎臓専門医/医学博士/リハビリテーション科専門医 三田友梨佳 フリーアナウンサー 森本晋太郎 お笑い芸人 <参...
腎臓専門医が明かす!運動で腎機能アップの新常識
驚きの事実:1日の安静で2歳も老化する!?

Q. 慢性腎臓病は日本の成人の何人に影響していると言われているの?
日本では成人の約2,000万人が慢性腎臓病だと言われている。これは実に成人の7人に1人という高い割合だ。しかも多くの人が自覚症状のないまま病気が進行してしまう危険性がある。

Q. 腎臓病の新常識とは何?
最新の医学研究で明らかになった驚きの新常識がある。それは「腎臓リハビリは安静禁物・運動推奨」という点だ。かつては腎臓病患者には安静が推奨されていたが、この30年の研究でその常識が完全に覆された。むしろ適切な運動をすることで腎機能が改善し、透析導入を先延ばしできるという研究結果が出ている。
Q. なぜ運動が腎臓に良いの?
運動が腎臓に良い理由は大きく4つある。
1. 血圧や血糖値の低下、炎症の抑制効果がある
2. 腎臓に行く血管(輸入細動脈)と出る血管(輸出細動脈)が広がり、腎臓にかかる圧力が減って腎臓が長持ちする
3. 軽い運動によって活性酸素が除去される
4. 腎機能だけでなく、心臓病や脳卒中などの病気も予防できる
つまり腎臓を守る運動は、全身の血管や臓器も守る効果があるのだ。
ウォーキングはゆっくりお散歩とは全く違う
Q. ウォーキングと普通の散歩はどう違うの?
多くの人が「ウォーキング=ゆっくり歩く」と誤解している。しかし腎臓に効果的なウォーキングは、ただゆっくり歩くだけでは不十分だ。
腎臓専門医の上月正博医師によると、効果的なのは「息が少し切れる程度の中強度の運動」。つまり、話をしながら歩くとちょっと息が切れる程度のペースがちょうど良い。脈が20〜30程度増える運動が最も腎臓に効果的だという。
Q. どのくらいの頻度や時間でウォーキングすべき?
理想的な運動量は、週に150〜180分。これを週5回なら1回30分、週3回なら1回60分程度を目標にするとよい。いきなりこの量を始めるのは難しいかもしれないが、少しずつ増やしていくことで腎臓病の予防や治療に役立てることができる。
上月医師は「夫婦で朝の散歩をするときも、15分後に合流する約束をして、その間はそれぞれのペースで歩くとよい」とアドバイスする。絆は深まらないかもしれないが、腎機能はしっかり高まるという。
オフィスでもできる!簡単エクササイズ
Q. 忙しくて時間が取れない人でもできる運動法は?
日常生活の中でも簡単にできる運動がある。オフィスでの休憩時間や自宅でも実践できるエクササイズを上月医師が実演してくれた。
①バンザイ体操
1. 両手を万歳の形に上げる
2. 息を吸って、息を吐きながら5秒かけてゆっくり下ろす
3. これを4〜5回繰り返す
②かかと上げ
1. かかとを上げる
2. 息を吸って、息を吐きながら5秒かけてゆっくり下ろす
3. これを4〜5回繰り返す
③簡単スクワット
1. 息を吸って、息を吐きながら5秒かけて少しだけしゃがむ
2. 5秒かけて戻す
3. この時、膝を足先よりも前に出さないように注意
4. 必要なら何かに捕まりながら行う
④股関節ストレッチ
1. 片足を前に出し、5秒かけて前に伸ばす
2. 左右交互に行う
Q. 年齢を感じさせない歩き方のコツは?
年齢を重ねると歩幅が小さくなり、トボトボした歩き方になりがち。これは太ももやお尻の筋肉が弱くなることが原因だ。全身の筋肉の約60〜70%は下半身にあるため、下半身を鍛えることで効率よく筋肉量を増やせる。
「フロントランジ」と呼ばれる運動が効果的だ。片足を前に出し、なるべく大きく一歩を踏み出す動きを繰り返すことで、歩幅を広げる筋肉を強化できる。
目覚めにぴったり!寝起きのレッグレイズ
Q. 寝ながらできる効果的な運動は?
朝起きてすぐベッドの上でできる「レッグレイズ」も効果的だ。
1. 仰向けに寝た状態で息を吸う
2. 息を吐きながら、足首を曲げて足をお腹(へそ)の方に近づける
3. 5秒かけてゆっくり上げ、5秒かけてゆっくり下ろす
4. これを3〜5回繰り返す
5. 上級者は足を床につけずに5回繰り返す
上月医師によると「これを5回やると目が完全に覚める。そのあとシャワーを浴びればパッチリ目覚める」とのこと。ただし無理は禁物で、翌日筋肉痛になる可能性もあるので、徐々に回数を増やしていくのがコツだ。

驚くべき研究結果:安静は逆効果
Q. なぜ安静が腎臓によくないと分かったの?
1966年のアメリカの研究で、20歳の男子大学生にベッドで安静にした生活を送らせたところ、たった21日間で体力が大幅に低下した。そのレベルは、40年後の60歳の平均的な体力に相当するものだったという。
これは「1日の安静で2歳分老化する」という衝撃的な事実を示している。特に高齢者では、2週間の入院で歩けなくなるケースも珍しくない。80歳の人が2週間安静にすると、計算上は108歳相当の体力になってしまうのだ。
Q. 透析患者の運動療法はどのように変わったの?
日本には約35万人の透析患者がいる(国民の約360人に1人)。透析治療では従来、安静が重視されていたが、それが筋力低下を招いていた。
上月医師らは約20年前から透析中に自転車こぎができる装置を導入。透析中は片手は動かせないが、両足は自由に動かせるため、ベッド上で自転車をこぐ運動を行うことで体力維持ができることを発見した。この研究成果は2022年に世界で初めて診療報酬として認められるまでになった。

透析患者の中には「透析をしに来ているのではなく、健康管理で体力をつけるために来ている」と言う人もいて、中には日本百名山に挑戦する人も出てきたという。
慢性腎臓病のステージと食事療法
Q. 慢性腎臓病にはステージがあるの?
慢性腎臓病はG1からG5までの5段階(G3はさらにAとBに分かれる)に分類される。血清クレアチニンを測定することで、計算上GFR(糸球体濾過量)が分かり、ステージを判定できる。タンパク尿が出ている場合は、GFRが60以上のG1、G2の段階でも慢性腎症と診断される。
Q. 食事制限はどのように変わってきているの?
塩分制限はどのステージでも6g未満が目安だ。タンパク質制限はステージが進むにつれて厳しくなるが、最近は低タンパク米が市販されているため、食事制限が以前より楽になっている。
通常の米には一膳で4〜5gのタンパク質が含まれるが、低タンパク米ではわずか0.2g程度まで減らすことができる。これにより、おかずはあまり制限せずに食べられるようになり、家族と別メニューを作る必要もなくなった。
Q. 腎機能は改善することもあるの?
適切な運動と食事療法を組み合わせることで、G3BからG3Aへ、G3AからG2へと腎機能が改善するケースもある。諦めずに生活習慣を見直すことで、腎機能の悪化を食い止め、場合によっては改善することができる時代になっているのだ。
上月医師は「腎臓を守る食事や運動は、脳血管や心臓も守ります。全身の血管・臓器を守ることになるので、ぜひ実践して長生きしてください」と締めくくった。