健康新常識
腎臓を壊す大敵/テレビじゃ言えない/2000万人が慢性腎臓病/腎臓を傷める食べ物・守る食べ方12カ条【上月正博】
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2025年10月12日

健康業界のトップランナーが「新常識」を紹介する番組。成人2000万人が慢性腎臓病で、世界的問題となっている。腎臓専門医・上月正博氏が意外な要因と、腎臓ケアの方法を教える。 <出演> 上月正博 腎臓専門医/医学博士/リハビリテーション科専門医 三田友梨佳 フリーアナウンサー 森本晋太郎 お笑い芸人 ...
2000万人が気づかぬサイレントキラー!「慢性腎臓病」から腎臓を守る新常識

Q. 進行する「国民病」、慢性腎臓病のサイレントな脅威
成人の約5人に1人が慢性腎臓病、実に2000万人が罹患していると言われる。過去10年間で患者数は500万人増加し、特に高齢者では80代で2人に1人がこの病を抱えているのが現状だ。しかし、腎臓病の恐ろしさはその自覚症状の少なさにある。痛みやだるさなど軽微な兆候に気づかないまま進行し、ある日突然、医師から「透析が必要だ」と告げられるケースも少なくない。慢性腎臓病は単に腎臓だけの問題にとどまらず、全身の血管の動脈硬化を加速させる。そのため、透析に移行する前に心筋梗塞や脳梗塞を発症し、命を落とすリスクを高めることが明らかになっている。放置すれば心不全や認知症のリスクまで上昇させる、まさにサイレントキラーと呼ぶべき国民病である。

Q. 無自覚な進行を防ぐために日頃から注意すべきサインや指標
自覚症状が少ない慢性腎臓病では、定期的な健康診断が極めて重要となる。特にチェックすべき指標は「クレアチニン値」と「尿蛋白」だ。クレアチニン値は腎臓の老廃物排出能力を示し、この数値が高い、または尿蛋白が3ヶ月以上続く場合、慢性腎臓病と診断される。さらに、日常生活で現れる兆候として「尿の泡立ちが続く」、「尿の色が茶色がかっている」、「夜間の頻尿」がある。これらのサインは腎臓からのSOSである可能性があり、見逃してはならない。また、年齢が50歳以上であることに加え、①疲れやすい、②味の濃い料理が好き、③甘いものが好き、④加工食品をよく食べる、という項目に4つ以上当てはまる場合は、慢性腎臓病のリスクが高い可能性がある。初期段階でむくみは稀な症状だが、原因不明の「だるさ」は腎臓機能の低下によって貧血や有害物質が蓄積している可能性を示すことがある。

Q. 安易な服用は寿命を削る?意外な「痛み止め」の落とし穴
ドラッグストアで手軽に購入できる市販薬、特に頭痛薬、生理痛薬、解熱薬といった「痛み止め」には注意が必要だ。これらの薬を1〜2ヶ月間継続して服用すると、腎臓に構造的な変化を引き起こし、機能にダメージを与える可能性がある。痛み止めは腎臓への血流を減少させる働きに加え、腎臓の間質と呼ばれる組織を線維化させ、一度損傷すると回復が難しい。湿布薬も例外ではなく、用法・用量を守らず複数枚を広範囲に貼ると、有効成分が血液に吸収されて腎臓に影響を及ぼす恐れがある。高齢患者で整形外科から痛み止めを処方されているケースでは、これが腎機能低下の原因となることが少なくない。完全に痛みをゼロにすることに固執せず、痛みが半分から3分の1程度に和らぐならば良しとする考え方が、腎臓の健康を守る上では大切だ。痛み止めの中でもカロナール(アセトアミノフェン)は腎臓への影響が比較的少ないとされるが、それでも連用は避けるべきである。長期的な頭痛などで薬が手放せない場合、だんだんと薬が効かなくなり、服用量が増えるという悪循環は非常に危険だ。また、抗生物質の一部や抗がん剤も腎臓に負担をかけるが、こちらは病状に応じてやむを得ず使用される場合がある。
Q. 「体に良い」が落とし穴!サプリ・漢方薬の慎重な利用
健康食品である「サプリメント」や伝統的な「漢方薬」には、「体に良いもの」というイメージがあるかもしれない。しかし、現状、腎臓の機能を改善する、または「腎臓に良い」と断言できるサプリメントは存在しない。例えば、安易な痩せ薬や、筋肉増強目的のタンパク同化ホルモン剤は、腎臓に深刻なダメージを与え、動脈硬化を早めることが知られている。さらに漢方薬にも注意が必要だ。漢方薬は複数の成分を組み合わせたもので、体に合わない成分や予期せぬ副作用によって、腎機能の低下だけでなく間質性肺炎といった重篤な症状を引き起こすリスクがある。特に、多くの漢方薬に含まれる「甘草」は、血圧を上昇させる作用があるため、高血圧患者は安易な摂取を避けるべきだ。特定の効果を謳う健康食品に頼るよりも、医師が処方する薬剤の方が安全性、効果ともに確立されている場合が多い。不確かな情報に基づき、自己判断で安易にサプリメントや漢方薬を摂取するのではなく、バランスの取れた食生活や「運動」を積極的に取り入れることの方が、はるかに安全かつ腎臓にとって有益なアプローチだ。運動は多くの薬剤を服用するのと同等の多様な効果を身体にもたらす。
Q. 毎日の選択が未来を決める!腎臓に優しい食習慣のポイント
腎臓の健康を左右する食生活において、特に注意すべきは「塩分」、「糖質」、「リン」の過剰摂取である。リンは糖尿病や高血圧と同様に腎機能を悪化させる三大要因の一つだが、特に加工食品に含まれる「無機リン」は吸収率が非常に高く、腎臓に大きな負担をかける。カップ麺や冷凍食品など、手軽に摂取できる食品には無機リンが多く含まれるため、摂りすぎには十分な注意が必要だ。例えばカップ麺を食べる際には、一度湯切りをして新しいお湯を注ぐことで、リンや塩分を減らす工夫ができる。また、ソーセージや笹かま、はんぺんなどの練り製品、プロセスチーズといった加工品も塩分やリンが多いため、日々の摂取は控え、ご褒美として楽しむ程度にするのが賢明だ。逆に腎臓に優しいのは、できるだけ加工されていない自然な食材。野菜、赤身肉、魚、卵、豆腐などが推奨される。健康な腎臓を持つ人にとっては、カリウムが豊富なイモ類やバナナが余分なナトリウム排出を助ける効果があるため、積極的に取り入れたい食材である。しかし、腎機能が悪化した場合は、それらの食材に含まれるカリウムやタンパク質が「毒」になる可能性もあるため、病状に応じた専門家からの指導が不可欠だ。食事療法は病気のステージによって推奨される内容が真逆になることもあるため、自己判断はせず、医師や管理栄養士の指示にしっかり従うことが非常に重要である。

Q. タンパク質神話にご用心!過剰摂取が招く腎臓への負担
近年、健康や筋力維持のために「タンパク質をたくさん摂るべき」という認識が広まっている。しかし、タンパク質の過剰摂取もまた腎臓に負担をかける要因となり得る。健康な人であっても、過剰なタンパク質摂取は腎臓内の血管に圧力をかけ、濾過機能に負荷を与え続けることで、少しずつ腎臓の機能を損なう可能性を秘めている。効率的なタンパク質摂取の目安は、1回に約30gとされており、これ以上一度に摂取しても吸収されにくい。そのため、1日3食に分け、毎食20~30g程度のタンパク質を均等に摂るのが最も効率的だ。特に、夕食から朝食まで時間が空くと、体はタンパク質を分解し続けるため、朝食でのタンパク質補給は非常に重要となる。プロテイン飲料やヨーグルトなどを活用し、体重1kgあたり1.0~1.3gを目安に、日中にまんべんなくタンパク質を摂る食生活を意識することが、腎臓への負担を軽減し、効率よく筋肉を維持するための鍵である。つまり、むやみに大量に摂取するのではなく、適切な量を、適切なタイミングで摂ることが腎臓の健康維持につながると言える。
Q. 不治の病から回復へ、日本発の「腎臓リハビリ」最前線
かつて「不治の病」とされてきた慢性腎臓病だが、近年、その治療には明るい兆しが見え始めている。食事療法や運動療法を取り入れた「腎臓リハビリテーション」という概念が確立され、進行を抑制し、場合によっては腎機能の改善も期待できるようになった。この画期的なアプローチは2011年に日本で世界初の学会が設立され、現在、日本がその分野を世界的にリードする存在となっている。糖尿病患者の増加に伴い、慢性腎臓病はアメリカや中国をはじめとする世界各国で深刻な問題となっており、その対策は世界的な喫緊の課題だ。日本の腎臓リハビリテーションは、食事や運動といった日常的な取り組みで腎機能を守り、維持改善に導くという新たな道を開拓した。医師だけの努力にとどまらず、患者自身が生活習慣を工夫することで、腎臓を長持ちさせることが可能だ。この日本発の「世界最先端の内容」は、世界の慢性腎臓病患者に新たな希望をもたらしている。