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アベノミクス2.0展望:玉木財務大臣誕生なら日経平均5万円も
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2025年10月8日

高市総裁誕生後、大きく上がった日経平均株価。今後も上昇基調は続くのか?今後の注目ポイントは何か?ニッセイ基礎研究所の井出真吾・チーフ株式ストラテジストに展望してもらった。 ▼ゲスト 井出真吾|ニッセイ基礎研究所 主席研究員・チーフ株式ストラテジスト 1993年東京工業大学卒業、日本生命保険入社。1...
「高市相場」の行方を識者が徹底解説!急騰の背景、潜在リスク、そして賢い投資戦略
自民党総裁選での高市氏の勝利は、マーケットに予測不可能なサプライズをもたらした。「アベノミクス2.0」への強い期待感が瞬く間に日本株を押し上げ、日経平均は歴史的な高値を更新し続ける。
しかし、この急激な株価上昇の背景には何があり、その持続可能性はどの程度なのか。 ニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジストの井出真吾氏が、現在の市場の特殊性、潜在的な「落とし穴」、そして個人投資家がこの高市相場を賢く乗り切るための戦略を明らかにする。

Q. 高市総裁の誕生は株式市場にどのような影響を与えたか?
高市氏の自民党総裁誕生は、市場関係者の間でほとんど予想されていなかった。そのため、その決定は完全にサプライズとして受け止められ、マーケットは「アベノミクス2.0」への期待から即座に反応した。特に株式市場では、月曜日の寄り付きからこの期待が強く意識され、日経平均株価は大きく上昇し続けたのだ。
この動きは、これまでの想定株価レンジを大幅に引き上げた。高市総裁誕生前の日経平均は約4万6000円前後で推移していたが、その後わずか2日間で2000円から3000円規模の上昇を見せ、一気に4万8000円台へと切り上がった。市場はすでに高市政権下での政策が経済に好影響を与えるとの見方を織り込んでいると言える。
Q. 現在の株価水準は適正か、それともバブルを懸念すべきか?
現在の4万8000円という日経平均の水準は、バリュエーションで説明できなくはないが、かなり高いハードルを設定している状態にある。これは来年度(2026年度)に日本企業の業績が15%増益を達成することを前提に形成されている。これだけの高成長を継続できなければ、現在の株価は正当化されず、調整局面に入る可能性が高いのだ。
さらに、高市政権が総理大臣になった場合、日銀は利上げをしづらくなると市場は見ている。金融引き締めへの警戒が後退することで、企業の収益力を評価するPER(株価収益率)の許容水準が切り上がり、バリュエーションの面からも株価が上昇しやすい環境が整う。このため、現在の水準が完全にバブルであるとは断言できないと考える。
Q. 株価の急騰と円安はどこまで続くのか?短期的な見通しは?
現在の株価急騰の一因は、市場の下落に賭けて空売りしていた投資家の「踏み上げ」(ショートスクイーズ)である。総裁選で高市氏の勝利を想定していなかった彼らが、予想外の株高を受けて損失拡大を避けるために買い戻しに動き、それがさらなる株価上昇を呼んだ。これは短期的な需給主導の動きと見られる。
急激な円安もまた、ヘッジファンドの需給によって引き起こされた。これまでの円買いポジションを、「アベノミクス2.0」への期待から一斉に解消し、円売りへと転換したことが要因である。この株と為替の極端な需給の偏りは長くは続かず、今週中にはニュートラルな状態に戻ると見込まれる。為替もその後140円台後半から150円前後で落ち着く可能性が高い。

需給が落ち着けば、短期的に見ると株価は現在の水準からさらなる上昇は難しく、調整局面に入る可能性を考慮する必要がある。また、高市氏が利上げに慎重なスタンスを見せ、足元のインフレも落ち着いてきたため、10月の日銀利上げ期待は後退したが、今後の円安進行次第では輸入インフレ抑制のための利上げが再び浮上するリスクも残っている。
Q. 日経平均が下落する「落とし穴」とは何か?市場が懸念すべきリスクは?
今後の株価は、アベノミクス2.0への期待で日経平均5万円を超えるシナリオと、米国経済の状況などによっては4万円程度まで下落するシナリオの両方を想定する必要がある。シナリオを一つに絞るのは危険な状況だ。
最大の落とし穴は、市場の期待が崩れることにある。現在の株価は来年度15%増益という高い期待値の上に成り立っているため、この前提が少しでも揺らげば、株価は急落する可能性がある。例えばトランプ関税の再引き上げなど、市場心理を冷やすような悪材料が出た場合、投資家の目線は一気に長期の期待から足元の業績へとシフトし、株価下落に繋がりかねない。

一方で、高市氏の財政拡張策が英国の「トラスショック」のような債券市場の混乱を引き起こすという懸念は低いと見る。減税策などの政策は段階的に進められる可能性が高く、急激な財政不安を招く事態は避けられると予想する。債券市場のプロはリスクを厳しく見る傾向にあるが、株式市場の視点からはそこまで悲観的になる必要はないと考えている。
Q. 高市新内閣の誕生は今後の市場にどのような影響を与えるか?
今後の市場にとって最大の注目点は、高市氏が組閣する人事である。政策をスムーズに進めるためには、野党との円滑な連携が不可欠だ。派閥色が薄くクリーンな人事が実現すれば政権運営への信頼が高まるが、例えば「裏金議員」などを重要ポストに起用すれば、野党は連携を躊躇し、政権の推進力低下や市場の評価低下につながる可能性がある。
もし国民民主党の玉木氏を財務大臣に起用するようなサプライズ人事があれば、市場は積極財政路線への期待をさらに高め、日経平均は一時的に5万円を目指す可能性すらある。市場は政策の実現性や期待を先読みして動くため、閣僚人事が与えるインパクトは大きいと言える。
また、現在の4万円超えの日経平均は「未知の領域」であるという点も重要だ。過去にこれほど高い株価で株を購入し、塩漬けにしている投資家は存在しないため、株価が上昇した際に「戻り待ちの売り」が出にくい。つまり、売り圧力が利益確定売りのみとなり、株価が天井知らずに上がりやすい需給環境が生まれているのだ。
静かな「アメリカ離れ」や「通貨離れ」の動きも日本株に追い風となっている。インフレやトランプ政権下の不確実性から、世界の投資資金が米国から離れ、法定通貨から実物資産へ流れる傾向がある。その中で、日本株は安定したパートナーシップを結ぶ国として注目され、海外からの資金流入の受け皿になっていると考えられる。
Q. 個人投資家は現在の市場環境でどのような行動を取るべきか?
短期的な調整や下落を挟む可能性はあるが、3〜5年という中長期的な視点で見れば日本株の上昇トレンドは続くと考える。年率7%程度の成長を前提とすると、3年後には日経平均が6万円近くに達することも十分にあり得る。また、日米間の連携強化によって、安全保障だけでなく経済面でも海外から日本への資金流入が続くという背景もその見方を支えている。

もし何らかの要因で日経平均が4万5000円割れや4万円台まで下落するような事態があれば、それは「絶好の買い場」と捉えるべきだ。長期的な上昇トレンドは変わらないため、一時的な下落は賢明な投資家にとって大きなチャンスとなる。
資産配分においては、依然としてS&P500などの米国株の優位性は高い。企業の資本効率やイノベーションのダイナミズムを考慮すると、長期リターンは米国株に軍配が上がると見る。しかし、日本株の魅力も高まっているため、ポートフォリオの一部(例えば2〜3割)を日本株に充てたり、金(ゴールド)のような実物資産を加えるなどして、分散投資を図るのが良い戦略だろう。
最高の買いタイミングをピンポイントで掴むのは非常に困難だ。感情に流されず、積立投資などを活用して定期的に淡々と買い続ける戦略が、長期的な資産形成には最も有効である。多少高く買う場面があったとしても、数年後を見据えれば十分に利益を見込めるはずだ。