
新NISA変更案明らかに:子ども解禁?
税制改正で新NISAはどう変わる?未成年や債券投資の可能性も検討中
金融庁が8月末に税制改正要望を提出し、新NISAについて様々な変更が検討されていることが明らかになりました。合同会社フィンウェル研究所代表の野尻哲史氏に、新NISAの現状と今後の変更点について聞きました。

Q. そもそもNISAの目的は何?
「貯蓄から投資へ」という言葉をよく耳にしますが、日本の個人金融資産の半分以上が預金で、アメリカは逆に半分近くが有価証券です。しかし、日本の預金の約65%、有価証券の約67%は高齢者が保有しています。

実は国が求めているのは、銀行預金から有価証券へのお金の振り替えではなく、収入から直接投資に流れる仕組みを作ることです。2014年のNISA導入、2017年のiDeCo(個人型確定拠出年金)、その後の積立NISAなど、このパイプを太くしようとする施策が続いています。
2024年にスタートした新NISAは、特に現役世代の資産形成を促進するものとなっています。
Q. 新NISAの1年目の実績はどうだった?
2023年の旧NISA残高は年初の13兆円から年末には18兆円に増加。この間、買付額は5兆円超、売却額は4兆2000億円、値上がり益は4兆5000億円でした。
対して2024年の新NISAでは、年初の18兆円から年末には34兆円へと大幅に増加。1年間の買付額は17兆円と、前年の残高とほぼ同額という驚異的な数字になりました。売却額は2兆3000億円、旧NISAからの売却は4兆5000億円、値上がり益は5兆6000億円です。
特に40代の投資行動が新NISAの形を象徴しており、現役世代がどんどん投資するための良い仕組みになっていることが数字からも明らかです。
Q. 高齢者層と現役世代で投資行動に違いはある?
40代と70代を比較すると、2023年末の残高はどちらも3兆円超とほぼ同じでした。しかし、1年間の買付額は40代が3兆5000億円、70代が2兆円強と差があります。また、旧NISAの売却は高齢者層の方が多い傾向にあります。
結果として2024年末の残高は大きく開き、高齢層はお金が外へ出ていく傾向があります。旧NISAが満期を迎えるたびに売りが出るため、このお金が新NISAに戻ってくるようにすることが課題です。
Q. 税制改正要望では新NISAについてどんな変更が検討されている?
金融庁が8月29日に提出した税制改正要望では、新NISAについて大きく3つの項目が挙げられています:

1. 子供支援の一環として積立投資枠における対象年齢等の見直し
未成年者もNISA口座を使えるようにする案が検討されています。
2. 様々な資産運用のニーズに応えるための対象商品の拡充
新しいタイプの指数や債券など、商品の選択肢を増やすことが検討されています。
3. 非課税保有限度額の当年中の復活
現在は売却すると翌年まで枠が復活しませんが、売却した年に枠が復活するよう変更する案が検討されています。
Q. 未成年者へのNISA拡大にはどんな意味がある?
未成年者の将来の資産形成は早く始めるほど良いという側面があります。また、親の生活資金と子供の教育費を分けて管理できるメリットもあります。
夫婦二人でそれぞれ年間360万円、合計720万円のNISA枠に加えて、子供の枠も使えるようになると、一般家庭ではそこまで投資する余裕がないという現実もあります。ただ、祖父母が孫のために資金を出すような使い方も考えられます。
Q. 子供自身が投資する場合、投資教育は必要?
小さな子供に投資教育は必ずしも必要ありませんが、金融経済教育として、お小遣いの使い方や記録の付け方などから教えていくことは大切です。12〜13歳になったら投資教育も良いですが、金融経済教育の一部として投資を理解することが重要です。
Q. 対象商品の拡充ではどんな商品が追加される可能性がある?
NISAに関する有識者会議の中間取りまとめでは、主に2つの提言があります:
1. 新しいタイプの指数の追加
アジア株指数やヨーロッパ株指数など、今まで対象になっていない地域別の指数を検討しています。
2. 安定的なキャッシュフローを生み出す金融商品の追加
債券を中心とした投資信託など、より多様な選択肢を提供することが検討されています。
イギリスのISA(Individual Savings Account、NISAの元となった制度)では預金もできるなど、将来的には商品の選択肢がさらに広がる可能性もあります。
Q. 地域別指数を追加するメリットは?
世界株式指数などのグローバルファンドだけでなく、地域別の指数があると、「アジア株は最近調子が悪いが、ヨーロッパ株は好調」など、地域ごとの状況が見えやすくなります。初心者はグローバルファンドで良いですが、投資に慣れてきた人には地域別の選択肢があった方が良いでしょう。
Q. 債券の追加は誰にとってメリットがある?
若い世代には必ずしも必要ではありませんが、現役で積み立ててきた40〜50代の人々が、10年後に資産が大きく成長した時点で、ハイリスク・ハイリターンからローリスク・ローリターンの商品に切り替えたいと考えるでしょう。そうした選択肢を増やすことで、今の現役世代が将来的に資産配分を調整しやすくなります。

Q. 非課税保有限度額の当年中の復活とは?
現在は売却すると、その分の枠は翌年まで復活しませんが、改正されれば売却した年に枠が復活します。例えば住宅ローンの頭金のためにNISAの一部を売却した場合、同じ年にまた投資できるようになり、老後資金の形成など別の目的での投資がしやすくなります。
この改正は現役世代と高齢層の両方にメリットがあります。より柔軟な資産運用が可能になるでしょう。
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新NISAは特に現役世代にとって有効な資産形成手段となっています。今回の税制改正要望が実現すれば、より幅広い年代で、より多様な商品に投資できるようになり、日本の「貯蓄から投資へ」の流れをさらに加速させる可能性があります。
