
テスタ×木野内栄治/アメリカ株の暴落リスク/自民党総裁選で株価はどう動く?
「小泉氏勝てば株価暴落?」木野内栄治&100億円投資家・テスタが分析する総裁選後の株価

Q. 総裁選挙で株価はどうなるのでしょうか?
株式市場は自民党総裁選という政治イベントに敏感に反応しています。木野内栄治氏(大和証券チーフテクニカルアナリスト)によれば、過去の総裁選の際には株高になる傾向が強いといいます。実際、今回も岸田首相の辞任表明後に日経平均は4万4000円台まで上昇しました。

ただし、この現象は選挙結果によって大きく異なる可能性があります。木野内氏は「小泉氏が勝つことになると、一回日経平均はピークアウトしてしまうかもしれない」と警戒しています。これは小泉氏が改革派と位置づけられ、財政拡張よりも緊縮財政志向が強いとみられているためです。
一方、高市氏が勝利すれば株高が続く可能性が高いとの見方もあります。「高市氏の場合だと金融緩和と財政拡張、これは株主にとって両方ともすごく良い。株の上昇を止める要因がなかなかない」と木野内氏は分析しています。
Q. 政治イベントを受けて個人投資家はどのように対応すべきでしょうか?
100億円以上を運用する個人投資家のテスタ氏は、こうした政治イベントに対して「後出し」の投資戦略を採用しています。「イベント自体をあまり見ない。事前に仕掛けるよりも、後から出た結果に対応する方が勝率が高い」という考え方です。
テスタ氏によれば、政治イベントによって特定の銘柄やセクターが物色され急騰した場合は売りで、逆に期待外れで売られた銘柄は買いで狙うという逆張り戦略が有効だといいます。「選挙によって急上昇した関連銘柄を売りで狙ったり、逆に選に外れた方を後で買いで狙ったりする方が効率が良い」と語ります。
これは現代の市場ではAIやアルゴリズム取引が発達し、イベント発生と同時に反応するのでは個人投資家には太刀打ちできないという現実的な判断によるものです。
Q. 9月のFOMCと利下げに対する市場の反応はどうなるでしょうか?
総裁選だけでなく、9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)も重要なイベントです。雇用統計の結果を受けて利下げ期待が高まっていますが、木野内氏は「FOMCの後は『利下げだから株価上昇』と単純に考えない方がいい」と指摘します。
FRBが「これは大事だ」と積極的に利下げを行えば株価にプラスですが、「データ次第、今後は分かりません」という慎重な姿勢では「がっかり」感が生まれ、株価下落のリスクがあるといいます。
また技術的な面でも懸念材料があります。リバースレポ(MMFがFRBに余剰資金を預けている額)が減少しており、これが一定水準を下回ると、利下げしても短期債の利回りが下がらず、金融市場に効果が波及しない恐れがあると木野内氏は説明しています。
Q. AIと半導体関連銘柄の今後の見通しはどうでしょうか?
8月末に中国でNVIDIAの代替となる半導体が開発されたとの報道がありましたが、木野内氏はこれについて「少しミスリードなところがある」と指摘します。AIチップには学習用と推論用があり、報道はこの違いを明確に区別していない可能性があるといいます。

また、NVIDIAの中国向け売上高はそれほど大きくなく、ゲーム用途も含めて全体の13%程度に過ぎないため、過度に懸念する必要はないとの見方を示しています。
ただし、今年初めのDeepSeekショック(中国のAI企業による衝撃)の時には、米国半導体株が1ヶ月半ほど下落した後に回復したことから、今回も同様の展開になる可能性があります。「1ヶ月やそこらはNVIDIAも下がるかもしれない」と木野内氏は予想しています。
Q. AI関連投資の今後の焦点はどこにあるのでしょうか?
木野内氏によれば、AI関連投資の焦点は「半導体→データセンター→AIソフトウェア」と段階的に移行していくと予想されます。実際に、DeepSeekショック以降、AIソフトウェア関連銘柄が半導体銘柄をアウトパフォームしている傾向があるといいます。
AIソフトウェア関連銘柄としては、サイバーエージェント、ソフトバンク、NTTなどの大型株から、さくらインターネットなどの中小型株まで多様な選択肢があります。
テスタ氏は小型株への投資アプローチとして「自分の中で調べて濃度が高いのを集めて、10個だったら10個全部最小単元で買って、3年後まではこれはどれも売らないと決めてやるとトータルで価値が上がると思う」と語ります。特に需要が増えていく業界では、この「バスケット購入」という手法が有効だと指摘しています。
Q. テスタ氏の米国株投資のアプローチはどのようなものですか?
テスタ氏は米国株に約2億円を投資し、現在は約5億円の価値になっているといいます。興味深いのは、その投資スタイルです。
「10社ぐらいを何年か前から持っていて、同じ10社を3回ぐらい買い増ししたことがある。みんなが知っているようなスターバックスやナイキのような銘柄を持っているだけ」と説明します。
テスタ氏はNVIDIAなどのテクノロジー株ではなく、いわゆる「オールドエコノミー」の安定銘柄を好んで保有。「業種をバラバラにして、最近5年で急騰した銘柄ではなく、10年、20年前からずっとちょっとずつ上がっているような安定したもの」を選んでいるといいます。
これらの銘柄は「ルーラー株」(定規のように一定のペースで上昇する株)と呼ばれ、テスタ氏は「これらの10銘柄は多分死ぬときも持っていると思う」と語ります。これは日本円に対するヘッジや、日本に何かあった場合の保険という側面もあるとのことです。
Q. 日本の投資家は今後どのような点に注意すべきでしょうか?
現在の日本株市場は総裁選という政治イベントと、米国のFOMCによる利下げ決定という二つの重要なイベントを控えています。テスタ氏は「株価の位置が元々高いので懸念点ではある」と指摘し、「日本のファンダメンタル的にそんなにバンバン上げていけるのかという疑問がある」と慎重な見方を示しています。

イベントを前にした投資判断については、「シンプルに強かったら買う、弱かったら売る」というシンプルなアプローチを推奨。「先に読むのはすごく難しい、不可能だと思うので、出てから買ったり、出てから売った方が勝てる」と語ります。
また木野内氏は9月が法人の予定納税締切やクォーター末で資金がタイトになりやすい時期である点も指摘しており、短期的には慎重な姿勢が求められています。
