
先祖の探し方。ここ数年で革命的にラクになった
先祖探しが革命的に簡単になった!あなたも今日から家系図作りを始めよう
近年、先祖探しを取り巻く環境が劇的に変化している。かつては手間と時間がかかり専門家の領域だった家系調査が、今や一般の人でも手軽に始められるようになった。その背景には2024年3月に始まった「戸籍の広域交付制度」と、急速に充実してきた「国会図書館デジタルコレクション」という2つの革命がある。

行政書士の丸山学さんに、先祖探しの魅力と最新の方法について聞いた。
Q. 先祖探しの目的とは何ですか?
自分のルーツを探すということは、自分の拠り所となるものを探すことであり、つまるところ「自分探し」といえるでしょう。
特に戦後、法律的な「家」の制度がなくなり、何十年も経った今、多くの人が昔のことをよく知らない状況になっています。血が繋がっていなくても、家族の文化やDNAは受け継がれています。戦前と戦後で日本社会は大きく変わりましたが、その前に何があったのかを知りたいという欲求が高まっているのです。
Q. 2024年3月に始まった「戸籍の広域交付制度」とは何ですか?
これは先祖探しにとって革命的な制度です。以前は先祖の戸籍を取るには、その本籍地のある役所に請求する必要がありました。人は転籍や転居を繰り返すので、先祖の戸籍を集めるには多くの役所と連絡を取らなければなりませんでした。
しかし広域交付制度によって、1つの役所で日本全国の戸籍が取れるようになりました。これにより先祖探しの労力は10分の1程度になったといえます。
Q. もう一つの革命「国会図書館デジタルコレクション」とは?
2022年末頃から急速に充実し始めたサービスで、国会図書館が所蔵する数百万冊の書籍をデジタル化し、全文をテキスト検索できるようにしたものです。

戸籍で判明した先祖の名前を検索すると、思いがけない情報が出てくることがあります。例えば、医者だった先祖の記録に趣味まで書かれていたり、パリ万博に出展していた先祖の記録が見つかったりします。普通のGoogle検索では出てこない情報が、このデジタルコレクションでは見つかるのです。
Q. 先祖探しはどこまで遡れるのですか?
戸籍制度を使えば、基本的には5代前くらいまで遡ることができます。現在取得可能な最も古い戸籍は明治19年式のもので、これを取れば江戸時代後半を生きていた先祖の名前が判明することもあります。
明治19年式の戸籍が廃棄されてしまっている地域もありますが、その場合でも明治31年式などの戸籍からある程度遡ることができます。
Q. 先祖の戸籍を取得するにはどうすればいいですか?
最寄りの役所に行き、戸籍の広域交付制度を利用して取得できます。費用は1通450円程度で、1つの家系を全て取っても1万円以下で済むことが多いです。

運が良ければ、一度の役所訪問で全ての戸籍を取得できる場合もあります。ただし、役所によって対応が異なり、後日来庁が必要な場合もあります。
Q. 戸籍以外に先祖探しに役立つ資料はありますか?
墓石も重要な情報源です。古い墓石には命日だけでなく、俗名や「源」「平」「藤原」といった本来の姓を示す文字が刻まれていることがあります。例えば「佐々木」という墓石に「源」という字があれば、源氏の佐々木氏族だったことがわかります。
また、江戸時代の資料として「宗門人別帳」があります。各村の庄屋や名主が全世帯を記録したもので、戸籍で判明した人物のさらに上の世代が記載されていることもあります。武士の場合は「武鑑」という記録があり、給料や出身地などが記されています。
Q. 戸籍の読み解き方のコツはありますか?
戸籍制度の優れている点は、明治時代から完全なリンクシステムが構築されていることです。戸籍には必ず「従前戸籍」の情報、つまりその人がどこの戸籍から来たかが記載されています。
特に明治時代の戸籍には、上部に文章が書かれていることがあり、そこに重要な情報が含まれていることがあります。本籍地が記載されていますが、さらに以前の本籍地の情報が書かれていることもあるので、注意深く読む必要があります。
また、戸籍を読み解くと、知らなかった再婚の事実や認知の記録など、様々な家族の歴史が明らかになります。時には想像と異なる事実に出会うこともあるので、受け入れる覚悟も必要です。
Q. 家系図はどのように作ればいいですか?
自分で作成するなら、Excelや家系図作成ソフトを使用できます。基本的には婚姻している男女を横の二重線で結び、その下に線を引いて子供を書きます。婚姻していない場合は一本線で結ぶこともありますが、親族に見せる場合は配慮が必要です。
家系図には名前だけでなく、戸籍から判明した情報や職業なども書き込むと、より充実した内容になります。例えば医師の家系なら、「○○病院勤務」や江戸時代には「○○藩の医師」といった情報を記載できます。
Q. 家系調査をプロに依頼する場合の費用はどれくらいですか?
戸籍だけで分かる範囲の調査なら、10万円から15万円程度です。国会図書館での調査も含めると20万円台になることもあります。さらに戸籍を超えた江戸時代の調査となると、数十万円から100万円以上になる場合もあります。
依頼者は40代から50代の方が多く、最近は女性の比率が増えて3〜4割程度になっています。きっかけとしては、親が亡くなって聞ける人がいなくなったときに調査を始める方が多いようです。
Q. 調査した家系の記録をどう保存すればいいですか?
家系図をデジタル保存するだけでなく、紙の記録として残すことも重要です。特に効果的なのは、調査結果を本にして国会図書館に納入する方法です。

頒布目的で作成した本は、法律上、国会図書館に納入する義務があります。本として納入すれば、日本国が半永久的に保管してくれるため、300年後の子孫がその記録を見ることができます。自分の家系図や家族の歴史を本にすることで、貴重な記録を失うリスクを減らせます。
Q. 先祖探しを始めるなら今がチャンスなのはなぜですか?
古い戸籍には保存期間があります。以前は廃棄可能期間が80年でしたが、現在は150年に延長されています。しかし10数年後には明治時代の戸籍が廃棄される可能性もあります。
また、物理的に戸籍が廃棄されてしまうと、二度と取り戻せません。自分の先祖の記録が残っているのに、知らないうちになくなってしまう可能性があるので、できるだけ早く取得しておくべきです。
後の世代になって「なぜ取っておいてくれなかったのか」と言われないためにも、今すぐ行動することをおすすめします。