
テンバガーを狙える日本株3選/四季報のプロ・瀧澤信が教える2025年後半の投資戦略
四季報のプロが教えるテンバガーを狙える日本株3選

Q. 現在の相場環境はどのような状況で、どのように対応すべきですか?
今の相場環境は非常に不安定な状況が続いています。世界的にお金の量が経済の規模に比べて過剰になっていることが大きな要因です。リーマンショック以降、そしてコロナ禍で大量の資金が市場に供給されましたが、その回収が進んでいません。この余剰資金の多くがアメリカの金融市場に流れ込み、バブル的な状況を作り出している可能性があります。

この状況では、市場の上昇も暴落も起こりやすくなっています。2023年8月や2024年4月に起きた暴落も、本来ならそれほど大きな反応を示さないような出来事でも、市場基盤の脆弱さから大きく下落するといった現象が起きています。
こうした環境下では、投資戦略をディフェンシブにシフトすることが重要です。サッカーに例えるなら、ロングパス1本で1点取って1-0で勝つような守備重視の戦略が適しています。ポートフォリオの大部分を安定した大型株で構成しつつ、一部に成長期待の高い中小型株を少量配置するバランスが理想的です。
隠れ資産で超ディフェンシブに!財務安定+αの銘柄を探せ
Q. ディフェンシブなポートフォリオを組む際のポイントは何ですか?
通常のディフェンシブ銘柄は財務が安定していて収益が安定している企業ですが、より安全性を高めるためには「隠れ資産」を持つ企業を探すことがポイントです。隠れ資産とは、企業のバランスシートに実際の価値よりも低く計上されている資産や、まだ市場に評価されていない潜在的な価値のことです。
例えば、古くから不動産を保有している企業は、その土地を取得時の価格でバランスシートに計上していることが多く、現在の市場価値との間に大きな含み益が生じていることがあります。この隠れ資産を考慮すると、表面上のPBR(株価純資産倍率)よりも実質的には割安である可能性があります。
また、国策に乗っている企業や大きな社会的トレンドの追い風を受けている企業も、将来的な成長が期待できるディフェンシブ銘柄として有望です。
東京電力と中部電力―電力不足とJERAの隠れ資産
Q. 具体的なディフェンシブ銘柄の例を教えてください。
東京電力
東京電力は震災以降、原発問題などで評価が低く、PBRは0.23倍と1倍を大きく割り込んでいます。しかし、現在のAIブームによるデータセンターの急増で電力需要が高まっており、業界全体に追い風が吹いています。
さらに東京電力の隠れ資産として注目すべきは「JERA」です。これは東京電力と中部電力が50%ずつ出資して設立した日本最大級のエネルギー会社で、総資産8.5兆円、売上3.7兆円、国内LNGタンク容量の3割を占める未上場企業です。もしJERAが上場すれば、時価総額は2兆円以上になる可能性があるとの試算もあります。一方、東京電力の時価総額は約6,421億円に過ぎず、このJERAの価値が株価に十分反映されていない状況です。
中部電力
中部電力も東京電力と同様に、JERAの共同出資者としての隠れ資産を持っています。加えて、配当利回りが約4%と高く、安定した配当収入も期待できる点が魅力です。
住友金属鉱山―実は金山を持つ資源株
Q. 他にも隠れ資産を持つ銘柄はありますか?
住友金属鉱山は、PBRが0.49倍と割安で、配当利回りも約4%と高水準です。最近は貿易摩擦や資源価格の影響で業績が一時的に落ち込みましたが、同社の大きな隠れ資産は九州に保有する金山です。

この金山の埋蔵量は約150トンと言われており、最近新たな鉱脈も発見されました。この金の価値を現在の金価格で換算すると、約2兆5,000億円という試算もあります。一方、住友金属鉱山の時価総額はそれをはるかに下回っており、この金山の価値が株価に十分に反映されていないと考えられます。
さらに、この金山は佐渡金山よりも多くの金を産出しており、まだ埋蔵量も豊富にあるとされています。1980年代には「これから銀座」氏によって注目され相場を形成しましたが、現在ではその記憶も薄れ、評価が低くなっています。
SBIホールディングス―リップルの上場に期待
Q. 金融系でディフェンシブな銘柄はありますか?
SBIホールディングスは、一見ディフェンシブに見えない積極的な投資会社ですが、PBRは0.99倍程度で、配当利回りは4%を超えています。同社の隠れ資産として注目されるのは、早い段階から投資していた暗号資産「リップル」です。
SBIの北尾社長は、リップルを将来的に上場させたいという意向を示しており、上場すれば何兆円もの価値になる可能性があると示唆しています。この潜在的な価値は現在のSBIの時価総額1兆2,400億円には十分に反映されていないと考えられます。
業績も好調で、金融の変革を進める革新性も持ちながら、高配当という安定要素も備えた、守りと攻めのバランスが取れた銘柄といえます。
10倍株を探せ!中小型株で1点狙いの攻め方
Q. 守りの中にも攻めの要素を入れるならどのような銘柄がいいですか?
ディフェンシブなポートフォリオの中に少量の攻めの銘柄を入れる場合、中小型株がおすすめです。特に、以下の条件に当てはまる銘柄が有望です:
1. 時価総額が小さい(理想は100億円前後)
2. 営業利益が毎期20%以上伸びている
3. 国策や社会的トレンドの追い風を受けている
時価総額が小さい理由としては、東証の改革により時価総額100億円未満の企業は上場廃止になる可能性があるため、そうした企業は自力で時価総額を上げるか、M&Aなどの策を講じる必要があり、株価に好影響を与える可能性があります。
ただし、中小型株は0になるリスクもあるため、ポートフォリオ全体に占める割合は小さく抑え、複数の銘柄に分散投資することが重要です。
具体的な攻めの中小型株3選
Q. 具体的にどのような中小型株が有望ですか?
ヤプリ
ノーコードでアプリを開発するサービスを提供する企業で、時価総額は約170億円。売上は前期55億円から今期予想62億円、来期予想70億円と安定成長しています。営業利益は5億円から7億円、10億円と急成長し、増益率は36%、29%と高水準です。最近は株価が低迷していましたが、直近では上昇傾向にあり、動き出す兆候が見られます。

ククレブ・アドバイザーズ
法人が保有する不動産に特化したソリューションを提供する企業で、時価総額は約180億円。PBRは9倍、PERは43倍と高評価されていますが、売上は12億円から26億円、37億円と急成長し、営業利益も4億円から6億円、8億円と拡大、2期平均増益率は44%と非常に高い水準です。
同社は上場企業向けのサービスで成長してきましたが、今後は未上場企業にも展開する予定で、市場の大幅な拡大が期待できます。既に株価は順調に上昇しており、順張り的な投資対象といえます。
笑美面
老人ホームや介護施設を紹介するマッチングサービスを提供する企業で、時価総額はわずか36億円。PBRは4.9倍、PERは16倍と割安ではありませんが、売上は10億円から20億円、30億円と倍増し、営業利益も2億1,000万円から2億6,000万円、4億円と急拡大しています。
少子高齢化という日本の社会問題に対応するビジネスであり、成長が期待できる一方で、時価総額が100億円を下回っているため、上場廃止リスクもあります。しかし、社会的ニーズが高いサービスを提供していることから、成長余地は大きいといえます。
隠し財産の探し方
Q. 隠れ資産や有望銘柄を自分で探すにはどうすればいいですか?
隠れ資産を見つけるには、決算説明会での発言や有価証券報告書などをチェックすることが重要ですが、専門知識がないと難しい面もあります。
別の探し方として、8月末の概算要求の締め切り前後に各省庁が公表する来年度予算案をチェックするという方法があります。そこから国がどの分野に投資するかを読み取り、関連銘柄を探すことができます。例えば、かつて話題になった海底レアアースの探査などもこうした情報から見つけることができます。
日々のニュースにアンテナを張り、政策動向や社会トレンドを把握することで、隠れた価値を持つ企業を発見できる可能性が高まります。
