動かすチカラ Nidec Way
14億人市場に挑む インドビジネス最前線
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2025年8月4日

世界が注目するビジネスにPIVOTが独自取材で迫るシリーズ。今回はNidec岸田光哉社長のインド訪問に密着。成長を続ける同国のビジネス最前線をお伝えする。 <ゲスト> 岸田光哉 Nidec 社長 入山章栄 早稲田大学ビジネススクール 教授 野嶋紗己子 PIVOT MC <目次> 00:00 ダイ...
世界市場のひのき舞台となるインド、Nidecはどうして"車事業"で勝負するのか?
急成長を続けるアジアの大国インド。2024年度のGDP伸び率はプラス6.5%と予測され、今年には日本を抜いて世界4位になるとされている。そんな巨大市場に、総合モーターメーカーNidecが本格進出している。なぜ今インドなのか?岸田光哉社長に聞いた。

Q. Nidecにとってインド市場はどのような位置づけですか?
インド市場はNidecにとって長年期待し続けてきた大きな成長市場です。消費国として非常に大きな成長が見込まれると同時に、ここを中心として世界への輸出拠点になる可能性も大きく開けてくると考えています。

これまでは中国が輸出の基地のような役割でしたが、今後はインドから輸出される国々も多く広がるでしょう。そのため、車関係のグループ会社全体で集まり、車の事業そのものをグループを挙げて「One Nidec」として伸ばしていく拠点として、新工場を立ち上げています。
Q. 今回のインド訪問で何を実感されましたか?
政府関係者や事業パートナー、お客様が相当な決意をもってインドでの成長に力を入れていることを強く実感しました。これからの準備が本当にやりがいのあるものだと感じています。
特に、インドでは部品から原料まで国内で調達して生産を完結させていくことが非常に重要です。商品やアプリケーションが冷蔵庫やエアコン、二輪車、四輪車のどれであっても、部材から国内で調達して作っていくことが現在最も注力すべき点だと再認識しました。
Q. インドでのNidecの事業戦略について教えてください
インドでは5つの柱を中心に戦略を展開しています。2000年代中盤から始めたニムラナ工場を中心に、家電系やエアコン向け、そして車関連の生産を開始し、今回は車関連の第3号棟をオープンしました。

また、プネという都市には「Motion & Energy」事業を展開する巨大キャンパスをオープン予定で、インドでのこの事業が持つ全てのポテンシャルを展開します。
さらに、スリシティでエアコン事業を運営し、バンガロールではR&Dのソフトウェアセンターを設立しました。ここでは技術開発を24時間体制で世界に配信できる体制を整えています。
これら拠点それぞれが重複することなく役割分担しながら、グループ全体でインドでの強みを最大化する戦略です。5つの柱全てにおいて、インドは強化すべき重要領域となっています。
Q. インドで現地企業と協業する上で感じる課題は何ですか?
最大の課題は、インド国内でのサプライチェーン構築です。例えば中国では幅広いサプライチェーンが構築できましたが、インドでも同様のことを実現するために、協力し合って技術を寄せ合う必要があります。
また、現場での技術対応力の強化も重要です。これまでは日本の本社との連携が中心で、技術者や開発者が日本にいて、そこに問い合わせをして解析してもらう形でした。しかし実際の課題は現場で発生するため、エンジニアが現地にいて即座に解決策を提供できる体制が必須です。これは中国事業でも同様でした。
Q. インドの産業政策についてどう見ていますか?
インドは先進国の発展過程と異なり、様々な発展段階が同時に進行している特徴があります。通常、インフラ整備が先行し、その後に産業発展が続くというパターンですが、インドではそれらが全て同時に進んでいます。
電力インフラの整備も必要ですし、一方で他国より進んでいる分野もあります。インフラ整備と産業発展、外資誘致などが同時に行われており、非常に活気ある国だと感じます。

政府との対話では、各拠点をより円滑に運営するためのインフラ整備の要望や、投資を促進するための助成金なども議題となっています。各州政府や中央政府との間で、非常に前向きな議論ができています。
Q. Nidecの強みがインドで特に活きる理由は何でしょうか?
Nidecの「すぐやる」文化がインドのビジネス環境と非常に相性が良いと考えています。インドでのビジネスはトップダウンで意思決定が早いことが特徴です。
例えば、今回の訪問では、クライアント企業との会議で直接要望を受け、その場ですぐに決断することができました。このスピード感ある対応がインドでは高く評価されています。
また、インドの通信インフラの急速な発展も我々の強みを活かせる環境を作っています。5Gが先進国と同様に整備されており、この通信基盤が様々な産業の進化を導いています。これにより、ITやデータセンター、自動運転、モビリティなど多様な領域で新たなイノベーションが期待でき、Nidecのモーター技術がそれらを支える重要な役割を担っています。
Q. 今後のインド事業の展望をお聞かせください
インドにおける開発力の強化と、現地サプライチェーンのパートナーと共に部品を作り上げることが今後のキーワードになります。現在のインド事業は「山登りが始まったばかり」の段階です。
製造拠点としては長く存在していますが、これからは開発も含めてインドの産業の裾野をより深く取り込んでいく必要があります。優秀なエンジニアを現地で確保し、R&D機能を強化することで、より速い意思決定と製品開発を実現していきます。
また、インド国内だけでなく、インドを拠点とした世界市場への展開も視野に入れています。現地のパートナーとともに、日本の技術とインドの強みを組み合わせて、グローバル市場での競争力を高めていく方針です。