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【半導体市場で勝ち続ける秘密】やる気を出させる5つの手段
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2025年7月25日

平均年収1350万円、驚異の定着率99.1%を誇る東京エレクトロン。組織力の源泉「やる気重視経営」から、「攻めと攻めのガバナンス」まで、社長の河合利樹氏が語り尽くす。 <ゲスト> 河合利樹|東京エレクトロン社長・CEO 1986年東京エレクトロン入社。Tokyo Electron Europe L...
半導体製造装置業界をリードする東京エレクトロンが世界市場で勝ち続ける理由とは?社員を「家族」と考え、やる気を最大限に引き出す経営手法の秘密に迫る。

Q. 日本の半導体産業で明暗が分かれた理由は何ですか?
半導体産業は技術革新が早く、市場変化も激しい業界です。この特徴をよく理解し、適切に対応できたかどうかが明暗を分けました。日本企業がITバブル崩壊やリーマンショック時に投資を控えている間に、台湾、韓国、アメリカの企業はR&D投資を続けていました。
半導体業界ではムーアの法則に沿って技術革新が進んでいくため、たった1年間投資を止めるだけでも大きな差になります。経営者は市場特性を深く理解した上で、適切な成長投資を継続することが重要です。
Q. 市場変動の激しい半導体業界でリスク管理はどうしていますか?
中期計画や成長戦略を立てる際、「ストレステスト」を実施しています。これは売上が半分になっても利益を確保し、社員にボーナスを支払えるかを検証するものです。
東京エレクトロンの歴史では、ITバブル崩壊とリーマンショック時に2年かけて売上が半分になった経験がありますが、1年で半分になったことはありません。それでも厳しい条件下でシミュレーションを行い、経営の柔軟性を確保した上で成長投資を計画しています。社員は家族であり、いずれ成長する半導体市場で彼らの能力を最大限活かせるよう準備しています。
Q. 東京エレクトロンの離職率の低さはなぜですか?
日本国内の離職率は0.9%程度で、定着率は99.1%です。グローバルでも離職率は2%強と非常に低い水準を維持しています。これは「やる気重視経営」の成果です。

「会社の成長は人が鍵」という考えのもと、能力のある人材を採用した上で、いかに彼らのやる気を引き出すかを重視しています。能力×やる気がパフォーマンスになるという方程式を大切にしています。
学生からのエントリー数は2万5000人にも上り、昨年は500人を採用しました。優秀な人材が集まる中で、彼らのやる気を最大化することが経営の核心です。
Q. 多様性についてはどのように考えていますか?
「3G」を多様性確保の柱としています。
1. ジェネレーション(世代):ベテラン社員の経験と若手の新しい視点をバランスよく取り入れる
2. ジェンダー:様々な性別の視点を活かす
3. グローバル:国際的な視野を持つ人材の活用
これらの多様性を通じて、企業の成長とデジタル化・脱炭素という世界的課題の両立を目指しています。
Q. 5年間で1万人の人材を確保するという計画は実現可能ですか?
現在の採用ペースを見ると、計画以上に進んでいます。毎年2000人以上の人材が増えている状況です。
ただし、東京エレクトロン単独での人材育成には限界があるため、「ワークフォースデベロップメント」として幅広い取り組みを行っています。サプライチェーン全体でのパートナー企業のサポート、さらには未来の人材育成のため、社員が大学で講師を務めるなど教育支援も積極的に行っています。
Q. 優秀な人材を引きつける企業の条件は何ですか?
「攻めと攻めのガバナンス」が重要です。

一つ目の「攻め」は業績面です。ワールドクラスの利益率を追求し、その成果を社員に還元します。これは単に利益を追求するのではなく、お客様が求める付加価値の高い製品とサービスを提供することで達成します。中期計画では3兆円以上の売上規模で35%以上の営業利益率を目指しています。
二つ目の「攻め」は一般的に「守り」と言われる分野です。安全、品質、コンプライアンス、エンゲージメント、情報セキュリティなどの領域をただ守るだけでなく、これらを磨き上げて競争力に変えていく姿勢です。特にエンゲージメント(やる気重視経営)は重要な要素です。
Q. やる気を引き出す5つのポイントとは何ですか?
1. 自分の仕事や会社が世の中の役に立っていると実感できること
2. 自分の会社の将来に不安がないこと
3. 失敗を恐れずにチャレンジする機会があること
4. 公平な人事評価とグローバルで競争力のある報酬
5. 良好な職場のコミュニケーション(風通しの良さ)
特に5つ目については、年間20回程度の社員集会や座談会を世界18カ国95拠点で行い、直接対話の機会を大切にしています。
Q. 東京エレクトロンの社風はどのようなものですか?
一言で言えば「フラット」です。役職で呼び合うことがなく、互いに敬称を付けずにコミュニケーションをとる文化があります。
東京エレクトロン独自のカルチャーとして、半導体の技術革新への貢献、利益を成長投資につなげる循環、「社員こそ価値創出の源泉」という考え方、全てのステークホルダーとのエンゲージメントを通じたデジタルとグリーンの追求などがあります。
また、チームワークを重視し、失敗に対して寛容でありながら、その原因をしっかり分析して次につなげる文化があります。これらは「テルバリュー」という行動規範として全社員に共有されています。
Q. グローバル企業のトップに求められる資質は何ですか?
世界一を目指す「アンビション」、信頼関係を築く「トラスト」、チームの力を引き出す「コラボレーション」が特に重要です。
世界一というのは、単に規模や売上だけでなく、営業利益率、従業員エンゲージメント、安全性能など様々な面での最高水準を目指すことを意味します。
また信頼関係については、顧客や取引先との間で絶対に競合しないなどの明確な原則を持つことが大切です。

コラボレーションに関しては、一人では仕事ができない半導体製造装置業界の特性から、チームビルディングと信頼関係が不可欠です。「自分の能力の限界を会社の成長の限界にしたくない」という考えのもと、人を大切にする経営が重要になります。
Q. どうすれば若い人はアンビション(大志)を持てるようになりますか?
アンビションは、自分だけでなく周囲の人を幸せにしたいという思いから自然と生まれてきます。自分自身も幸せになりたいと思うのは当然ですが、それだけでなく、家族や恋人、同僚など自分を取り巻く人々をハッピーにしていくことが、結果的に自分の幸せにもつながり、大きな志を育む源になります。