
生成AIを活用して、売上を拡大する方法
9,613回視聴
2025年8月25日
生成AIはシリコンバレーの最先端でどう活用されているのか?日本企業は生成AIと相性はいいのか?シリコンバレー在住の投資家で、1000社以上の生成AIスタートアップを研究しているシバタナオキ氏に聞いた。 ▼参考書籍 『アフターAI 世界の一流には見えている生成AIの未来地図』 https://amz...
AIがビジネスと社会をどう変えるのか - 投資家のシバタナオキ氏に聞く
人員削減が進むGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)や大手テック企業。彼らの売上は2桁成長を続ける一方で、従業員数は過去3年間ほぼ横ばい。このパラドックスの背景にあるのはAIの力だ。1人あたりの生産性が飛躍的に向上し、少ない人員で大きな成長を実現している。
日本企業はこの波にどう乗るべきか。AI×ロボットの分野で日本の勝機はあるのか。投資家のシバタナオキ氏に話を聞いた。

Q. GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)など大手テック企業が人員削減を進めていますが、この傾向はどう広がっていますか?
テック大手では顕著な現象が起きています。売上が毎年2桁成長する一方で、従業員数は過去3年ほとんど変化していません。これは過去に見られなかった状況です。従来なら売上成長に比例して従業員も増えていましたが、AI活用によって1人あたりの生産性が向上し、同じ人数でも2桁成長を達成できるようになっています。
この人員削減は単に「人が必要なくなる」というネガティブな意味ではなく、1人あたりの生産性と売上が向上するという意味です。アメリカでは雇用の流動性が高いため、生産性を高めるために優秀な人材でも削減し、1人あたりの生産性を上げるという方針が取られています。
Q. 日本企業はこのトレンドにどう対応すべきでしょうか?
日本は人手不足と言われていますが、大企業にはまだ余剰人員がある部門や会社も多いです。また、働き方改革の影響で「ホワイトすぎる」あるいは「緩すぎる」企業も増えています。
重要なのは、生産性向上の成果が個人に直接還元されるメカニズムです。アメリカと異なり、日本の大企業では「生産性を上げることが自分にどう還元されるのか」という意識が弱い傾向があります。限られた時間で最大の生産性を追求するという強い意思を、日本の大企業の個人に感じることは少ないのが現状です。

この状況を変えるには、トップダウンでの変革が必要です。経営者が強いリーダーシップを持って変えていくしかありません。パソコン導入の時代と同じで、いつかは取り入れなければならないものであり、遅れれば遅れるほど競争環境で不利になります。早めに取り組むことが重要です。
Q. 日本企業のAI活用における危機感はどの程度ありますか?
過去10~15年前と比べると、マネジメント層の危機感は確実に高まっています。少なくとも経営層は「このままで大丈夫なのか」という問題意識を持っている方が多いです。ただし、現場レベルではまだその危機感が十分に浸透していない可能性があります。
本格的な「お尻に火がつく」状況はこれからでしょう。特に2023年に入ってから、経営層がAIに真剣に取り組まないと危険だという認識が広がり始めています。理論的には理解できても、実感としてのリアリティがまだ乏しい状態かもしれません。
Q. AIが具体的にどのような業務を変えていくのでしょうか?
営業分野では、アタックリスト作成からパーソナライズした提案資料やメール作成までAIが支援します。特に注目すべきは「営業コーチング」です。オンラインミーティングの会話内容をAIが分析し、成績が良い営業担当者と成績が振るわない担当者の違いを抽出。売れない営業担当者に対して、「こうすれば売れる」というアドバイスや効果的なトークポイントをAIが提案します。

人事領域では、採用活動支援が大きく変わります。面接時間の設定や履歴書の管理など、細かい事務作業がAIで自動化されます。一次面接をAIが担当するケースも増えています。面接官は最初の5分で合否が分かっても、会社の評判を考えて最後まで面接を行い、評価シートを記入するという非効率な作業をしています。AIが一次面接を代行することで、この問題を解決できます。
また、社員のスキルデータベース構築もAIの重要な活用法です。日本企業では社員が持つスキルや経験を体系的に把握できていないため、適切な人事異動が難しい状況です。AIがこれまでの経験からスキルデータベースを作成し、キャリアパスに合った次のポジションを提案できるようになります。
Q. ヘルスケア分野ではどのようなAI活用が進んでいますか?
ヘルスケアはAI活用が進む代表的な分野です。最も大きいのは創薬で、これまで長期間かかっていた研究開発がAIで大幅に短縮されています。
診療現場では、医師と患者の会話をAIが聞き、自動的にカルテを作成するシステムが普及し始めています。医療現場は事務作業の負担が大きく、医師の多くの時間がこうした作業に費やされているため、AIによる自動化は大きなメリットをもたらします。
患者対応も変わります。病院の予約取得や変更、保険確認などの事務業務をAIが代行します。特に小規模クリニックでは受付担当者が1人で対応しきれず、電話が繋がらないなどの理由で機会損失が発生しています。AIがこうした業務を担うことで、病院の売上向上にも貢献します。

医療画像診断もAIの重要な応用分野です。レントゲンやCTスキャンの画像をAIが分析し、がんなどの異常を検出します。経験豊富な医師の知見をAIに学習させることで、専門医が不在の病院でも高度な診断が可能になります。
Q. フィジカルAI(ロボット×AI)の可能性について教えてください
フィジカルAIは非常に興味深い分野です。汎用ヒューマノイドロボット開発はまだ研究段階ですが、用途特化型のロボットはすでに実用化が進んでいます。
例えば、ゴミ処理場で使用されるロボットがあります。ペットボトル回収ラインで、ベルトコンベア上を流れるゴミの中からペットボトル以外のものを検出し、取り除く作業をAIロボットが行います。この仕事は人材不足で、あまり人気のない職種ですが、生成AIのマルチモーダル機能が発達したことで自動化が可能になりました。
製造業では、部品の不良品検知にAIカメラが活用されています。特に自動車産業では、部品に問題があるとリコールとなり多額のコストが発生するため、早期の不良検知が重要です。熟練技術者でも難しい部品の微細な割れ目などをAIが検出します。
このようにAIと連携したロボットは、特に労働環境が厳しく、かつ学習データが十分にある分野から普及していくでしょう。
Q. 日本企業がAI×ロボット分野で勝機があるとすれば、どのような領域でしょうか?
最も興味深いのはロボット分野です。アメリカは製造業を国内回帰させようとしていますが、物づくりの基盤が弱いです。そのため、ハードウェア(動くもの)とAIが組み合わさった領域は日本企業にとって大きなチャンスとなるでしょう。
自動運転はアメリカと中国が先行していますが、これはフィジカルAIの中で最も進んでいる分野の一つです。車の運転は実は非常に複雑なタスクで、18歳以上でなければ運転できないのには理由があります。このような高度な処理を必要とする作業をAIが担えるようになった今、より単純な作業(ゴミの分別など)は容易に自動化できます。
日本は今後10年で労働人口の激減に直面します。その中で、人手不足で困っている現場に、生成AIのマルチモーダル機能を搭載したロボットを導入することで多くの問題が解決できるでしょう。これにより、移民問題や労働人口減少などの課題への対応も可能になります。
日本企業とAIは相性が良く、この分野に力を入れることで大きな成果が期待できます。
