
夏に習近平失脚か?/健康不安説の信憑性/台湾有事シミュレーション
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2025年7月26日
「政策超分析」では、専門家が政策や国際情勢を徹底解説。今回のテーマは「中国の海洋進出」。後編では、習近平失脚説と台湾有事シミュレーションを取り上げる。 <ゲスト> 磯貝初奈|MC 峯村健司|キヤノングローバル戦略研究所 上席研究員 https://x.com/kenji_minemura 小原凡司...
「台湾を統一できるのは私しかいない」習近平の自負と2027年の危機
2027年が中国による台湾侵攻のターニングポイントとなる可能性が高まっている。習近平国家主席は3期目の最終年にあたる2027年までに台湾統一を成し遂げる意向を示唆していると専門家は分析する。一方で習近平氏の健康不安説も浮上し、中国の動向は予測困難な状況だ。台湾有事の際、日本はどう対応すべきか。専門家3名の見解を紹介する。

Q. なぜ2027年が台湾有事のポイントと言われているのか?
これには複数の理由がある。まず、習近平国家主席の3期目が終わる年であること。中国では国家主席は通常2期で退任するが、習近平氏は憲法まで改正して3期目に突入した。その際、「台湾統一ができるのは私しかいない」と説明し、3期目までに統一を成し遂げると党内で約束したという情報がある。
また2027年は人民解放軍創設100周年という節目の年でもある。アメリカの軍関係者や研究者の間では、この年までに中国が台湾侵攻能力を整える目標を持っていると分析されている。

さらに中国は経済成長が鈍化傾向にあり、「今しかない」という焦りがあると見られる。現状ではアメリカ、日本、台湾の準備が整っていないという認識があり、習近平氏が自ら「行ける」と判断すれば、侵攻が始まる可能性がある。
Q. 台湾侵攻はどのようなシナリオが考えられるのか?
侵攻シナリオにはいくつかのパターンがある。まず「認知戦」から始まる。これは台湾を国際的に孤立させる心理作戦で、すでに行われていると見られる。
実際の軍事行動の前には、大規模な準備が必要となる。侵攻部隊のための医薬品、血液製剤、衛生用品、水、食料、弾薬などの膨大な物資集積が行われる。これには半年以上かかるとされ、この段階で国際社会に察知される可能性が高い。

作戦としては、まず台湾へのサイバー攻撃やハイブリッド戦で混乱を引き起こし、インフラを破壊する。その後、誘導兵器、ドローン、弾道ミサイルを使用した攻撃が行われる。最終的には上陸作戦が実施されるが、台湾の地形は山岳地帯が多く、上陸可能な場所は限られている。
もう一つの可能性として「新型統一戦」と呼ばれる手法もある。海上封鎖などで台湾を締め上げ、エネルギーや物資を遮断するというもの。台湾のエネルギー備蓄は増強中だが依然として十分ではなく、停電などが発生すれば戦闘意欲が低下するという計算がある。
Q. 日本は台湾有事にどう巻き込まれる可能性があるのか?
日本が台湾有事に巻き込まれるシナリオは主に3つある。
1つ目はアメリカの行動によるもの。台湾危機が高まると、アメリカ第7艦隊の艦船が台湾近海に展開し、中国軍との間で偶発的な事故が発生する可能性がある。海上自衛隊も近くにいれば捜索救助活動などで関与することになり、これは日本の安全保障法制上「重要影響事態」に該当する。
2つ目は台湾の行動によるもの。台湾軍の航空機や艦船が戦闘を避けて日本に避難してきた場合、中国が「返還せよ」と要求する可能性がある。日本が返還を拒否した場合、中国が巡航ミサイルで日本国内のその施設を攻撃するという事態も考えられる。
3つ目は中国による直接的な波及。台湾上陸作戦の際、東側からのアプローチが困難なため、日本と台湾の間の海域を通過する可能性がある。また、在日米軍基地からの米軍の介入を阻止するために、日本国内の基地が攻撃対象となる可能性もある。
ただし、中国としては米国の介入を避けることが最優先課題であり、日本への攻撃は当初は控える可能性が高いという見方もある。
Q. 中国は核兵器を使用する可能性はあるのか?
専門家の間では、中国が台湾有事で核兵器を使用する可能性は否定できないとの見方がある。ロシアのウクライナ侵攻と異なり、中国は台湾問題を「国内問題」と位置付けており、核使用のハードルが相対的に低いという分析もある。
例えば、中国軍が台湾に大規模に上陸した後、アメリカが介入して中国軍が全面敗北・降伏する危機に陥った場合、台湾の中枢部に核兵器を使用して停戦を強制するというシナリオも考えられる。
Q. 習近平国家主席の健康不安説と失脚説は本当か?
習近平氏の健康不安説は以前から存在している。心臓病を患っているという情報や、公式の場で特別な飲み物(おそらく薬)を飲んでいる様子、右後頭部の刈り上げた跡が脳梗塞の手術痕ではないかという観測もある。
また、最近は公式報道から姿を消す頻度が増え、遠距離への出張も減少している傾向があるという。
権力面では、中央軍事委員会の人事で習近平氏の側近が更迭されたり、軍内の思想を監督する役目である政治委員が公開批判されるなど、権力基盤が揺らいでいる可能性を示す動きがある。一説には2023年の夏に失脚するという情報もあったが、実現していない。

台湾では習近平氏の失脚を望む声もあるが、専門家は「単純に喜べる話ではない」と警告する。中国共産党の目標自体が台湾統一である以上、習近平氏が失脚しても別の指導者が登場するだけだ。場合によっては、より強硬な指導者が現れたり、権力闘争による混乱で軍が暴走するリスクもある。
特に懸念されるのは、現在の中国では習近平氏が唯一の文民として200万人の人民解放軍を統制している点だ。この統制が失われれば、軍の暴走や核兵器の管理問題など、より予測不能な事態が生じる可能性がある。
中国人民解放軍内部では「戦争をしたくない」という意見もあるとされるが、末端部隊では必ずしも統制が取れておらず、過激な行動に出る可能性も否定できない。
現時点では習近平氏の健康状態や権力基盤の実態は不明であり、今後の動向を注視する必要がある。
