
台湾半導体覇権の終焉?TSMC過去最高益の光と影
台湾はなぜ半導体大国になったのか? シリコン・シールドの戦略と課題
台湾の半導体産業は世界経済の生命線となり、最先端技術の中心地として君臨している。特にTSMCは時価総額1兆ドルを超え、「人類の歴史の中で最も付加価値の高い製造業」と評される。なぜ台湾は半導体産業でこれほどの成功を収めたのか?その戦略と直面する課題について、台湾政府系シンクタンクDSETのCEO、張智程氏に詳しく聞いた。

Q. 台湾はなぜ半導体産業に力を入れてきたのでしょうか?
台湾が半導体産業の発展に本格的に取り組み始めたのは1970年代から80年代にかけてのことです。TSMCが設立されたのは1987年で、約40年の歴史があります。
当時の台湾は国際社会から孤立する危機に直面していました。1970年代、アメリカや日本など多くの国々が中華人民共和国と国交を結び、台湾との外交関係を断絶したのです。この国際的な孤立から生き残るために、台湾は競争力のある産業を育成する必要がありました。しかも単なる競争力だけでなく、重要な国々と密接に結びつく産業でなければなりませんでした。

そこで選ばれたのが半導体産業でした。特に台湾が選んだビジネスモデルは、従来の日本やアメリカ、ヨーロッパの半導体産業とは異なるものでした。台湾はファウンドリー(受託製造)に特化し、設計や最終製品の製造は行わないB2Bビジネスモデルを採用したのです。顧客の注文を受けて製造し、顧客に提供するという効率的なモデルでした。
台湾政府は最初に産業政策に基づき、研究開発組織ITRIを立ち上げ、資金を提供しました。そこからTSMCが誕生し、後に民間企業としてスピンオフしました。この政策の根底には「生き残るためには世界経済、特にアメリカと結びついた産業を作らなければならない」という危機感がありました。
Q. どのようにして台湾は半導体産業で世界最強の地位を確立したのですか?
台湾は限られた国内市場や規模を考慮し、ファウンドリービジネスに特化することを選びました。このアプローチは過去30年間のグローバル化の流れと合致していました。製造と設計を分離する「水平分業」モデルに集中することで効率性を高めたのです。
台湾企業は常に最先端の技術にフォーカスし、最も価値の高い顧客との長期的な信頼関係を構築してきました。例えば、TSMCはAppleのチップ製造を担当しています。iPhoneは世界で最も付加価値の高い製品の一つとなり、Appleは史上最も高い時価総額を達成した企業となりました。
現在ではAIが次世代の主役となり、NVIDIAが3兆ドルの時価総額を超えています。TSMCを含む台湾企業は、AIデータセンターやAIサーバー向けの半導体製造に全力を注いでいます。常に最先端技術の製造を担うという戦略が台湾の強みとなっています。

Q. 台湾の政府はどのような政策で半導体産業を支援してきたのでしょうか?
台湾政府の産業政策は柔軟性が大きな特徴です。経済や技術の変化が激しい中で、5年後にどのような製品が市場で成功するか予測することは困難です。そのため、台湾政府は企業がグローバルサプライチェーンの中で自分の位置を見つけるための支援に重点を置いてきました。
例えばITRIは商業化・応用化できる技術にのみ支援を行い、事業化の段階に達した技術はスピンオフさせて初期資金を提供するというアプローチを取りました。その目的は将来のグローバルサプライチェーンの中でニッチな技術を持つスタートアップを育成することでした。
TSMCだけでなく、UMCやMediaTekなど、現在競争力のある半導体・ICT関連企業のほとんどが、ITRIとの何らかの関わりを持っています。
Q. 現在、台湾の半導体産業はどのくらいのグローバルシェアを持っているのですか?
TSMCは時価総額1兆ドルを超え、世界ランキング上位10社の中で唯一の製造業企業です。他のトップ企業はAmazon、Apple、Google、Meta、NVIDIAなど、無形の技術を駆使したプラットフォーム企業です。
最先端の半導体チップ製造においては、TSMCのマーケットシェアは9割以上に達しています。より先端になればなるほどTSMCの独占状態が強まる傾向があります。半導体製造全体で見ても、台湾のシェアは約6割と非常に高い水準です。
さらに、先端ではないレガシーチップと呼ばれる既存の半導体においても、台湾は約5割のシェアを持っています。
Q. 台湾の半導体産業が直面している課題は何ですか?
台湾の半導体産業は主に3つの課題に直面しています。
1. 同盟国・同志国からの課題:新型コロナウイルスによる半導体不足やAIブームを背景に、多くの国々が自国での半導体製造能力の確保を目指しています。アメリカの「CHIPS and Science Act」(半導体法案)、日本による熊本へのTSMC誘致、欧州の「European Chips Act」など、各国は「リショアリング」(自国回帰)や「フレンドショアリング」(友好国での生産)を推進しています。台湾企業にとって、これらの国々とどうバランスを取りながら自国の経済にも貢献していくかが課題です。
2. 中国からの課題:中国は伝統的なライバルであり、台湾の営業秘密や技術を獲得しようとしています。中国は巨大な市場や人口などの優位性を活かして急速にスケールアップする能力があります。かつて台湾が強みを持っていたパネル技術や太陽光パネルなどの産業は、すでに中国に市場シェアを奪われています。
3. 台湾内部の課題:台湾は西部の平野部に半導体産業のエコシステムが集中していますが、島国としての制約から「5つの不足」に直面しています。電力不足、水不足、土地不足、人材不足、労働力不足です。特に少子高齢化による人材不足は深刻化しており、どこから人材を確保するかが大きな課題となっています。

Q. 「シリコンシールド」とはどういう概念ですか?
「シリコンシールド」という言葉は台湾人が作ったものではなく、アメリカの学者が提唱した概念です。高度な半導体産業を持つことが中国に対する抑止力として機能するという考え方です。半導体はシリコンでできていることから「シリコン」、そして防御の「シールド(盾)」という名前が付けられました。
台湾の半導体産業、特にTSMCは、アメリカや日本、ヨーロッパなどの民主主義国を引きつけ、中国の脅威を抑止する役割を果たしているというわけです。
Q. 将来的に台湾の半導体シェアはどうなると予測されていますか?
SIA(国際半導体工業協会)の報告書によると、台湾が持つ先端半導体のシェアは、2022年の約70%から2032年には約50%に減少すると予測されています。これは台湾企業が海外に生産拠点を分散させることや、各国が自国での半導体製造能力を強化することが要因です。
しかし、半導体市場全体は拡大を続けるため、台湾の製造能力自体は減少しません。TSMCは現在、年間1800万枚の12インチウェハーを生産していますが、2030年には2200万枚に増加する見込みです。シェアの割合としては下がりますが、台湾での製造能力は引き続き成長します。
台湾での半導体製造は最も効率が高く、コスト効率も優れているため、生産拠点としての重要性は今後も変わらないでしょう。

Q. 台湾有事の可能性についてはどのように考えていますか?
サイバー空間や認知戦、フェイクニュース、偽情報などを含めると、台湾はすでに戦争状態にあると言えます。例えば、台湾海峡ケーブルは今年だけでも数回切断されています。
万が一の事態が起きた場合、台湾には逃げる場所がないため、最後まで戦う覚悟を持つ必要があります。防衛においてはドローンが非常に重要な装備となりますが、現在のドローン部品の多くは中国製です。いかに中国に依存しないサプライチェーンを構築し、台湾国内で持続可能な体制を作るかが課題となっています。
※こちらは生成AIによるまとめ記事です。
