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【自公過半数割れなら株価はどう動くか?】参院選後の株価の動きを予想
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2025年7月18日

参院選後の日経平均株価の動きはどうなるのか。自公過半数割れが起こると市場にどのような影響を及ぼすのか。そしてトランプの思惑とは。選挙後の株価の動き、世界マーケットの展望などを糸島孝俊氏に聞いた。 <ゲスト> 糸島孝俊|ピクテ・ジャパン シニア・ストラテジスト 証券系シンクタンクを経て、日系大手運用...
参院選の結果は株価にどう影響する?関税交渉の行方も気になる中での市場展望
参議院選挙を目前に控え、投資家の間では選挙結果が株式市場にどのような影響をもたらすのか関心が高まっている。選挙と株価の関係、日米の関税交渉、そして今後の市場の見通しについて、ピクテ・ジャパン シニア・ストラテジストの糸島孝俊氏に聞いた。

Q. 過去の参議院選挙の結果は株価にどのような影響を与えてきましたか?
参議院選挙の前後で株価がどう動くかを1992年から2022年までのデータで見ると、明確な傾向はない。選挙前は若干下がり気味で、選挙後は結果がまちまちだ。
例えば2022年は選挙前半は株価が上昇し、選挙後も高値を維持した。2019年は選挙前に株価が上昇し、選挙後に一度下落した後に戻すという動きだった。

結論としては、参院選の結果よりも日本株はアメリカ株の影響を強く受ける傾向がある。日経平均とS&P500の動きを比較すると、ほぼ同じような動きをするが、特に2000年以降は、選挙後1ヶ月間の平均でみると日経平均はマイナス0.74%に対し、S&P500は2.14%上昇しており、約3%の差がついている。
Q. 今回の参院選は過去と異なる特徴がありますか?
今回の参院選には過去とは異なる特徴がある。通常、アメリカ株が上昇すれば日本株も連動して上昇するはずだが、最近の日本株はアメリカ株が上昇しているにもかかわらず横ばいで推移している。
これは日本固有の要因が働いていると考えられる。長期金利は上昇し、円安も進行していることから、「トリプル安」(株・債券・円)の兆しが出ており、「日本売り」の流れが見え始めている可能性もある。
また、今回の選挙では自民党と公明党が50議席を獲得して過半数を確保できるかどうかが焦点となっているが、市場は与党が苦戦するシナリオを一部織り込み始めている。特に債券市場や為替市場はその懸念を敏感に反映している。
Q. 米国との関税交渉はどのような状況で、市場にどう影響しますか?
現在、日本はトランプ政権との関税交渉が難航している。4月から6月にかけて7回の交渉が行われたが、決着していない。8月1日には中国以外の国に対する追加関税の発動期限が迫っており、日本の自動車産業などへの影響が懸念される。

アメリカはすでに鉄・アルミニウムに25%の関税をかけ、6月4日には50%に引き上げた。8月1日からは同関連製品も50%に引き上げられる予定だ。日本が仮に25%の関税を課されれば、輸出産業には大きな打撃となる。
ただし、現在の円安(148円台から149円台)は輸出企業にとってはプラスに働くため、関税の影響をある程度相殺する可能性もある。将来的に円安が155円や160円まで進めば、関税の影響は限定的になるかもしれない。
Q. 与党が過半数割れした場合、市場はどう反応すると予想されますか?
与党が過半数割れした場合の市場の反応は、敗北の程度と連立を組む政党によって異なる。
小幅な敗北であれば何らかの政党と連立を組むことで政権運営は可能だが、大幅な敗北の場合は連立相手の政党の政策に譲歩せざるを得なくなる。特に消費税減税などの財政拡張的な政策を主張する政党と連立を組む場合、財政規律の低下が懸念され、債券市場や為替市場に悪影響を及ぼす可能性がある。
連立相手としては、立憲民主党や日本維新の会は消費税減税を主張しており、自民党の方針と合わないため連立は難しいと予想される。国民民主党は自民党の考え方に比較的近く、連立を組む可能性が高い。国民民主党が政権に入ることは市場にとって相対的にポジティブと考えられる。
Q. 物色対象はどのように変化すると予想されますか?
選挙結果により物色対象は変化する可能性がある。
1. エネルギーセクター:自民党と国民民主党は原子力発電を容認する立場であり、原子力関連銘柄にはポジティブとなる可能性がある。一方、再生可能エネルギー関連銘柄は政策支援が弱まる懸念がある。
2. 金融セクター:健全な金利上昇は銀行株にプラスだが、財政拡張による「悪い金利上昇」の場合はネガティブとなる。
3. 防衛・重工業セクター:国民民主党も防衛力強化を主張しており、防衛予算の増加が見込まれるためポジティブ。
なお、投資判断において最も重要なのは、米国経済の動向とトランプ政権の通商政策の行方だ。アメリカ経済が悪化すれば選挙結果に関わらず売りが優勢となり、逆にアメリカ経済が好調を維持すれば政治が不安定化しても株価は持ち直す可能性がある。
Q. 参院選以外に注目すべき市場の重要イベントは何ですか?
参院選以外にも市場に影響を与える重要なイベントがいくつかある。
1. 8月1日:中国以外の国への関税交渉期限。日本にとって重要な局面となる。
2. 8月12日:米中間の関税軽減措置の期限。5月12日に両国が互いに関税を15%引き下げたことで株式市場は好転したが、この措置が継続されるかが注目点。
3. 10月下旬:APEC(アジア太平洋経済協力)での米中首脳会談の可能性。トランプ大統領と習近平国家主席の会談が実現すれば、市場にとってポジティブとなる可能性がある。
特に米中関係の改善は日本株にとって重要だ。日本企業は中国とアメリカの両方と取引している企業が多く、世界経済の景気敏感株として位置づけられている。米中が良好な関係を築けば日本株も恩恵を受ける。
Q. 現在の日本株の評価水準はどうですか?
日本株(TOPIX)のPER(株価収益率)は現在約14倍程度で、11〜16倍のレンジで推移している。一方、アメリカ株(S&P500)は22〜23倍と高い水準にある。

日本株はバリュエーション面では割高ではなく、むしろ割安な水準にある。ただし、今後の企業業績の動向に注意が必要だ。直近では企業の1年先予想EPSが伸び悩み始めており、これが継続するか一時的なものかが重要なポイントとなる。
2022年から2023年にかけては一時的にEPSが下落したものの、その後回復した。今回も同様のパターンとなれば株価は調整後に上昇に転じる可能性がある。
Q. 今後の相場見通しはどうですか?
今後1ヶ月間は、参院選の結果、関税交渉の行方、米中関係の動向などにより相場は大きく揺れる可能性がある。上下双方の動きが予想される。
下落した場合、日経平均は38,000円台まで下落する可能性があり、与党が敗北した場合は1,000円程度の下落もあり得る。しかし、前述のように日本株のバリュエーションは割高ではなく、米中関係が改善すれば42,000円台(2023年の高値)に回帰する可能性もある。
米国の来年11月の中間選挙に向けて、トランプ政権は株価上昇を望んでおり、最終的には中国との関係改善に舵を切る可能性が高い。そうなれば日本株も恩恵を受けるだろう。
総じて言えば、短期的には不確実性が高いものの、米中関係の改善と世界経済の回復が進めば、中長期的には日本株は上昇する余地があると考えられる。