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参院選 問うべき経済政策は? 主要各党の政策を徹底解説
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2025年7月17日

参院選がいよいよ今週末に投開票。争点として目立つのは「物価高対策」。経済的にどの政策が効果的か?財源の現実性は? そして、物価高対策以外に問われる経済政策と効果は? 日本を代表するエコノミストの永濱利廣氏と経済学者の中室牧子氏に、各党の政策の評価を聞いた。 <ゲスト> 中室牧子|慶應義塾大学教授 ...
参院選直前「政党の注目政策徹底解剖」〜物価高対策、社会保障、少子化、成長戦略に関する主要政党の公約を経済学者が分析
参院選を目前に控え、各政党の公約に関する議論が活発化している。特に物価高対策や成長戦略については有権者の関心も高いが、実現可能性や効果については疑問も多い。経済学者の中室牧子氏が各党の政策を徹底解剖した。
Q. 現在の物価高と賃金の状況はどうなっているのか?
全国の消費者物価指数(CPI)のインフレ率は直近で3.7%程度となっている。このうち半分以上が食料品とエネルギーによって押し上げられており、特に食料品の影響が大きい。そのため、食料品関連の対策を求める声が多い。
一方、実質賃金については厳しい状況が続いている。名目賃金は基本給で見ると2%程度上昇しているものの、インフレ率が3%後半であるため、実質賃金のプラスには距離がある。夏のボーナスで一時的に実質賃金がプラスになる可能性はあるが、安定的なプラスには至っていない。
特に中小企業の賃上げが伸び悩んでおり、日本企業全体の大部分を占める中小企業の動向が今後の注目ポイントとなる。
Q. 主要政党の物価高対策にはどのような特徴があるのか?

各党の対策は主に「給付」か「減税」のどちらかに集中している。自民党・公明党は給付を中心に、立憲民主党は給付と減税の両方、国民民主党や維新の会は減税を主張している。また参政党やれいわ新選組は消費税率の引き下げや廃止を掲げている。
これらの対策について専門家からは「帯に短したすきに長し」との評価がある。経済学的に見ると、給付も減税も物価上昇につながる可能性があり、物価高対策と言いながら物価上昇を促進する政策しか提示されていないのは矛盾している。
本質的には供給側の制約によって物価が上昇しているため、供給サイドに対する手当てが必要だが、そうした議論が少ないことが課題として指摘されている。
Q. 消費税率引き下げの実現可能性はどうか?
消費税率の引き下げには複数の課題がある。まず執行上の問題として、過去の税率変更の例では、価格改定や運賃改定などに約1年半かかっている。そのため、足元の物価高対策として消費税率を下げても、実際に効果が出るのは1年半後になる可能性が高い。
また財源の問題もある。現在の消費税収入は幼児教育の無償化など特定の政策に紐づけられているため、税率を下げた場合、これらの政策を縮小するか、別の財源を確保する必要がある。
さらに、一度引き下げた税率を元に戻すことは政治的に困難である点も指摘されている。そのため、食料品に限定した段階的な引き下げなど、より現実的なアプローチが提案されている。
Q. 給付金政策の問題点は何か?
現金給付については、コロナ禍での特別定額給付金(10万円)のデータを見ると、貯蓄に回る割合が高く、消費喚起効果が限定的だった点が指摘されている。また、給付金配布には自治体に大きな負担がかかる。
特別定額給付金(約13兆円)を配布するためのコストは約1500億円かかったとされ、配布自体にもコストがかかっている。さらに、すでに5月末を締め切りとして、住民税非課税世帯に3万円(子供加算で2万円)の給付が行われており、短期間で何度も同様の政策を繰り返すことの非効率性も問題視されている。
代替案としては、期間限定のデジタル商品券の活用などが提案されている。
Q. 各党の社会保障・少子化対策の評価は?

自民党は基礎年金の底上げなど一定の評価はあるものの、少子化対策については「異次元」と称しながらも、若年層の婚姻率低下という根本的な問題に対する対策が不十分との指摘がある。
立憲民主党は年金制度に焦点を当てている点が評価されているが、子育て支援策については、所得に関わらず一律の手当増額より、シングルマザー世帯など特定層への重点的な支援が望ましいとの意見がある。
国民民主党は第3号被保険者の見直しや給付付き税額控除など、これまで議論されなかった問題に言及している点が評価されている。
維新の会は社会保険料の引き下げを主張している点が注目されている。社会保険料は高齢化に伴い上昇が続いているが、無駄な医療費も多いため、見直しの余地は大きい。特に保険適用の見直しやエビデンスに基づく医療費の精査が重要との指摘があった。
Q. 外国人労働者政策についてはどのような議論があるのか?
現在の在留制度と実態のかい離が大きな問題として挙げられている。高度人材獲得を目指していたが、実際には単純労働者が増えており、政策意図と結果が一致していない。
立憲民主党と国民民主党は在留制度全般の見直しを掲げており、この点は評価されている。一方、参政党は外国人労働者に対してやや否定的な姿勢を示しているが、データに基づかない感情的な議論になりがちな点が懸念されている。
専門家によると、国民健康保険の使用率などのデータを見ると、外国人は日本人よりも医療費が低いなど、一般的な認識と実態にはずれがある。今後外国人人口比率が増加することへの不安は理解できるが、データに基づく冷静な議論が必要だ。
Q. 成長戦略において重要なポイントは何か?
選挙では物価高対策や給付・減税の話題が中心だが、日本経済の根本的な課題は国内の供給力不足である。この観点から、国民民主党の科学技術立国化や人材投資などの政策が評価されている。
また、成長には資本投入量と労働時間が重要だが、日本ではこれらが低下傾向にある。そのため、原価償却の即時償却などの税制措置や、働きたい人が働ける環境整備などが提案されている。
自民党の掲げる「2035年に名目GDP1000兆円」という目標は、国民民主党も同様の目標を掲げており、明確な成長目標を示している点では評価できる。ただし、その実現のためのロードマップが重要であり、財源も含めた具体策が求められている。
Q. 投票にあたって有権者が注目すべき点は?

選挙公約の実現可能性と長期的な視点が重要である。実現できない政策を掲げることは有権者に対して誠実とは言えず、マイルストーンなど具体的な実現方法も示す必要がある。
また、短期的な対策だけでなく、長期的な財政健全化や経済成長など持続可能性についての視点も重要である。税収が上振れた時にはそれを使うと言っても、下振れた時の対応も考慮する必要がある。
今回の参院選は、自民党が衆議院で過半数割れしている状況で行われるため、場合によっては政界再編の可能性もある。そのため、各政党の大まかな政策だけでなく、個々の候補者がどの政策に重点を置いているかを見極めることも大切だ。