
日本株は8月から上昇トレンドへ/1ドル150円突破、年後半は円安に【木野内栄治×内田稔】
1.3万回視聴
2025年7月16日
月イチで株式相場の解説を行う、「マーケット超分析」の7月回。前編は、木野内栄治の最新相場分析。8月1日の関税実施から株価がリバウンド? <ゲスト> 木野内 栄治|大和証券 チーフテクニカルアナリスト 内田稔|高千穂大学教授 https://www.youtube.com/@professoruch...
日本株は8月から上昇トレンドに/年後半は1ドル150円を突破、円安ドル高へ
このQ&A記事では、高千穂大学教授で元三菱UFJ銀行で外国為替チーフアナリストとして活躍した内田稔氏に、年後半の為替相場や株式市場の見通しについて聞きました。金融専門誌Jマネーの東京外国為替市場調査アナリスト個人ランキングで9年連続1位を獲得した内田氏の見解は、多くの投資家にとって貴重な指針となるでしょう。

Q. 年後半のドル円相場はどうなると予想していますか?
年後半のドル円相場は150円方向に向かう可能性が高いと考えています。現在は147円程度ですが、市場のコンセンサスとは逆の見方です。多くのアナリストはアメリカの利下げと日本の利上げという金融政策の方向性の違いから、140円方向への円高を予想しています。しかし私の分析では、円安圧力が根強く残ると見ています。

Q. トランプ関税が実施された場合、為替相場にどのような影響があるでしょうか?
25%の関税が実施された場合、日本からアメリカへの自動車などの輸出が減少し、日本の貿易赤字が増加します。一方でアメリカは輸入が減ることで貿易赤字が縮小する方向に動きます。これは為替市場ではドル高円安の圧力となります。また、この関税問題によって日本銀行の利上げは年内は絶望的になるでしょう。不確実性が高まる中では金融政策の変更は困難だからです。
Q. アメリカ経済は関税によってどのような影響を受けると予想されますか?
関税によってアメリカの物価は上昇する可能性がありますが、アメリカの個人消費は株式市場の含み益によって強く支えられている面があります。現在のようにアメリカ株が健全に推移していけば、家計への追い風となり、複数回の利下げが必要なほど経済が減速することはないと考えられます。
Q. 参議院選挙の結果は為替相場にどう影響すると思いますか?
選挙結果に関わらず、日本経済はある程度インフレが続くでしょう。輸入インフレは収まってくる部分があるものの、日本の政策金利は中立金利より低い水準が続くため、円相場には一定の弱さが残ります。また、選挙後に財政拡張政策が採用された場合には、インフレが一時的に加速する可能性もあり、これは円安圧力となるでしょう。
Q. 具体的な為替レートの見通しを教えてください
年後半には150円方向に向かうと予想していますが、その前に一旦145円を割り込む可能性があります。特に8月下旬のジャクソンホール会議でFRB議長が9月の利下げを示唆するような発言をした場合、142円程度まで円高が進む場面があるかもしれません。しかし、その後は再び150円方向に戻ると見ています。
ただし、150円を超えてくると日本銀行が輸入インフレを警戒して利上げの姿勢を強める可能性があるため、155円などの極端な円安には至らないでしょう。
Q. アメリカの利下げはいつ頃行われると予想していますか?
9月頃に利下げが行われると予想しています。FRBは政策変更の前に必ず市場に対して何らかのシグナルを送るのが通例ですが、7月の利下げを示唆するようなメッセージは現時点で出ていません。ただし、7月のFOMC(連邦公開市場委員会)で銀行の貸出態度の悪化や雇用情勢の悪化が報告された場合、予想よりも早く利下げに踏み切る可能性も否定できません。

Q. 「円ロング」のポジションが積み上がっていると言われていますが、これはどういう意味でしょうか?
現在、過去最大規模の円ロングポジション(円買いポジション)が市場に積み上がっています。これは、「アメリカが利下げ、日本が利上げ」という金融政策の方向性の違いから円高を見込んで投機的に円を買っている状態です。しかし、円ロングを長期間維持すると金利コスト(円の低い金利を受け取る代わりに高い外貨金利を支払う)がかかるため、実際の円高が十分に進まないと解消される可能性があります。
このポジションが一気に解消されると、大きな円安ショックになる可能性もありますが、現時点では金融政策の方向性への見方は根強く残るため、すぐにそのような事態になるとは考えにくいです。
Q. マーケット全体の見通しについてはどうでしょうか?
アメリカ株は基本的に強い展開が続くと見ています。テクノロジー関連株を中心に、AIサーバーなどへの投資が続いており、これが株価を下支えしています。また、トランプ政権下での設備投資の即時償却措置なども企業にとって追い風となっています。

日本株についても、テクノロジー関連の恩恵が徐々に波及してくると期待されます。特に、半導体からデータセンター、サーバー関連の電子部品へと物色の動きが広がりつつあり、こうした分野の日本企業にも注目が集まるでしょう。
Q. 今後の金融市場で特に注目すべきポイントは何ですか?
8月初めに発表される7月の米雇用統計は特に重要です。雇用市場が予想以上に悪化していれば、FRBの利下げ時期が早まる可能性があります。また、8月下旬のジャクソンホール会議でのFRB議長の発言も、今後の金融政策の方向性を知る上で重要な手がかりとなるでしょう。
また、日本の参議院選挙の結果によっては、財政政策の方向性に変化が生じる可能性があります。財政拡張政策が採用されればインフレ圧力が強まり、円安要因となる可能性があります。
円相場については、季節性の観点からも7月から8月にかけては円高になりやすい傾向があります。これはアメリカの企業幹部が夏休みを取る時期に社債発行が減少し、長期金利が低下しやすいためです。しかし、その後は再び円安方向に動く可能性が高いと見ています。
