PIVOT CAREER
子連れ転職の戦い方
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2025年7月4日

マイナビ転職の最新調査を元に、育児とキャリアの両立のリアルを深掘り。働き方の制度は整いつつあるのに、なぜ「続けられない」と考える人がいるのか?夫との協力のギャップ、「名もなき家事」の負担、育休中の収入減やキャリアへの不安、さらに企業に潜むアンコンシャスバイアスまで。マイナビ転職編集長・瀧川さおり氏が...
子育てと転職の両立はどうする?専門家に聞く小さな子どもがいる親の転職活動の現実
育児と仕事の両立は多くの親にとって大きな課題です。特に転職を考える際、小さな子どもがいることでどのような影響があるのか気になる人も多いでしょう。マイナビ転職編集長の瀧川さおりさんに、子育てしながらの転職活動の実態や、両立のためのポイントについて聞きました。

Q. 子どもが小さいと転職活動にどのような影響がありますか?
企業側は子どもが小さい場合、急なお迎えが必要になるなどの状況を想定しています。ただし、採用面接で企業から「お子さんは何歳ですか」「家族構成はどうなっていますか」といった質問をすることは基本的に禁止されているため、聞かれることはほとんどありません。
職種によって影響度は異なります。業務が属人化しやすい職種(コンサルタント、営業、社内SE、クリエイティブ職など)では、企業側が不安を持つケースがあります。一方で、仕組みがしっかり整っている会社、チームで仕事を分担できる体制がある職場、両立支援制度が充実している企業、すでに子育て中の社員が活躍している環境であれば、むしろ積極的に採用したいと考えている企業も多くあります。
Q. 男性と女性で、子育てしながらの転職活動に違いはありますか?
最も大きな違いはキャリアのブランク有無です。男性は育児休暇を取得していても短期間のケースが多いのに対し、女性は半年から1年、あるいはそれ以上の育児休暇を取得するケースが多く、このブランクが企業側の懸念材料になることがあります。

ブランクが2〜3年程度なら企業側もそれほど気にしませんが、10年など長期間のブランクがあると「大丈夫だろうか」と思われてしまうことがあります。ただし、ブランク期間中の経験をどう伝えるかによって印象は変わります。
また、女性は男性と比べてワークライフバランスを重視した転職活動をせざるを得ないケースが多いです。例えば「家の近くで働きたい」というニーズが非常に強く、時間的制約や家事・育児との両立を考慮すると、自分の適性や希望とは異なる仕事を選ぶ場合もあります。通勤時間、給与、職場環境などの条件で選択肢が狭まりがちです。
Q. 育休中に転職活動を始める人はいますか?
保育園に入れるかどうかという問題があるため、実際に面接まで進む人は少ないのが現状です。ただし、2人目の子どもができたタイミングで将来の不安から情報収集を始める人は少なくありません。「このまま今の職場に戻っても働き続けられるだろうか」という不安から転職サイトを見たり、知人に相談したりする程度の活動をする人はいます。
妊娠中の転職活動は非常に難しいケースが多いです。出産後いつから保育園に預けられるかという課題があるため、配偶者が長期の育児休暇を取得できるなどの特別な事情がない限り、現実的ではありません。
Q. 子育てしながら転職を有利に進めるための秘訣はありますか?
無理に転職を進めるよりも、自分に合った職場を見つけることが最も重要です。不安要素を払拭するために、面接時に以下のような質問をするとよいでしょう:

「子育て中の社員はいますか?」
「子育て中の社員はどのような働き方をしていますか?」
「子育てしながらどのようなキャリアプランで昇進していますか?」
場合によっては、子育て中の社員と直接話す機会を設けてもらうよう依頼するのも効果的です。これにより入社後のギャップを減らすことができます。
また、目の前の状況だけでなく、子どもが大きくなった時のキャリアについても考慮することが大切です。将来自分がやりたい仕事に挑戦できる環境かどうかも転職先選びの重要なポイントです。
Q. 子育てと両立しやすい職場環境には、どのような特徴がありますか?
会社によって大きな差があります。主に会社自体の課題と組織の課題の2つがあります。
会社全体としては、トップダウンで明確な方針を打ち出している企業が優れています。「男女ともに働きやすい環境を整える」「家庭も大切にしながら仕事も頑張ってほしい」という方針を具体的な制度として実現している企業は、両立支援が充実しています。
一方、実際の働きやすさは配属される組織や上司によっても大きく変わります。上司の仕事の振り方や組織の人員配置によって、同じ会社でも部署によって働きやすさが異なることは珍しくありません。
また、企業規模も影響します。従業員50人以下の企業では育児を理由に退職する人が約4割いますが、1000人以上の大企業では16%まで減少します。大企業ほど両立支援制度が充実している傾向があります。
Q. 子育てしていることで評価にバイアスがかかることはありますか?
明らかなバイアスをかける企業も一部存在します。しかし多くの場合、時短勤務などで使える時間が限られることによる成果への影響の方が大きい問題です。「あと30分残業できれば完成したのに」「もう1時間あれば急ぎの提案ができたのに」など、以前は頑張れていたことができなくなったというジレンマを感じる人は多いです。
企業によっては「子どもがいるから管理職は無理」などのアンコンシャスバイアスが残っているところもあります。これが女性の年収にも影響し、大卒女性の36%が年収200万円以下である一方、大卒男性では2%しかいないという大きな差につながっています。男性を100とした場合の女性の賃金は75.8%であり、この差は大きな社会課題となっています。
Q. 上司はどのように子育て中の社員に仕事を任せるべきですか?
子どもがいるという理由だけで責任ある仕事を任せないというのは問題です。本人の希望を聞かずに「子育て中だから無理だろう」と判断して仕事を制限することは育児ハラスメントになりかねません。
大切なのは、その人の能力を信頼し、どのように仕事を任せれば成果を出せるかを考えることです。例えば、「明日までに」という短納期の仕事は避け、余裕を持ったスケジュールで任せる、プロジェクト全体の中で担当範囲を明確にするなどの工夫が重要です。
また、本人の希望や状況は時期によって変わります。「今年は控えめな仕事で」と思っていても、子どもの成長に合わせて「もっと挑戦したい」と考えるようになることもあります。定期的に本人と話し合い、希望や状況に合わせて柔軟に対応することが望ましいです。
管理職としての働き方も課題です。管理職の中で子どもがいる割合は男性が8割なのに対し、女性は3割しかいません。女性が管理職として働くハードルはまだ高いのが現状です。従来型の強いリーダーシップではなく、チームメンバーと目標や方向性を共有し、互いに支え合う「サーバントリーダーシップ」のようなスタイルが、子育てしながら管理職を務める上で効果的です。
Q. 育休中や職場を離れている間にリスキリングは必要ですか?
無理にする必要はありませんが、子どもが手を離れて時間が取れるようになったときに、自分の希望に合わせて学ぶことは良いでしょう。特に在宅勤務を希望する場合は、オンラインツールやパソコンスキルなど、最低限のデジタルスキルを身につけておくと企業側も安心します。
現在特に需要が高いのはAI関連のスキルです。プログラムを1から書くようなエンジニアだけでなく、AIを活用して業務効率化を図れる人材へのニーズが高まっています。
Q. 子育てと仕事の両立に悩む人へのメッセージをお願いします
責任感が強く仕事熱心な方ほど、自分を責めてしまったり退職を考えてしまったりすることがあります。まずは会社内の育児経験者や上司に相談して解決策を見つけることが大切です。それが難しい場合は転職も選択肢の一つです。

男性だから、女性だからという区別なく、誰もが安心して働ける職場を目指している企業は数多くあります。今後はそういった企業でなければ生き残れない時代になってきています。
育児だけでなく、介護や病気など、人生には様々なライフイベントがあります。そのような中でも自分らしく働ける環境を大切にしてください。
育児経験のある方は判断力が磨かれるなど、様々な能力が向上します。自信を持って自分らしいキャリアを歩んでいってほしいと思います。