PIVOT CAREER
育児で3人に1人が退職検討
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2025年7月4日

マイナビ転職の最新調査を元に、育児とキャリアの両立のリアルを深掘り。働き方の制度は整いつつあるのに、なぜ「続けられない」と考える人がいるのか?夫との協力のギャップ、「名もなき家事」の負担、育休中の収入減やキャリアへの不安、さらに企業に潜むアンコンシャスバイアスまで。マイナビ転職編集長・瀧川さおり氏が...
育児とキャリアの両立、3人に1人が悩む現実と変わりゆく制度
子育てと仕事の両立に悩んだことはないだろうか。今回はマイナビ転職編集長の瀧川さおり氏に、最新の「育児離職と育休の男女差実態調査」のデータから見える実態と対策について語ってもらった。

Q. 育児が原因で退職や転職を考えたことがある人はどのくらいいる?
現在、育児が原因で退職・転職を考えたことがある人は全体の約3人に1人。実際に行動に移すかどうかは別として、悩む人はさらに多いと考えられる。
約20年前は育児を理由に退職する人が約4割いたが、現在は2割程度に減少している。時代とともに改善はしているものの、まだ多くの人が悩んでいる現状がある。
また、年齢別のデータでは20代後半から性別比率に差が出始め、30代以降は女性の就業率が減少していく傾向がある。マイナビ転職の会員データでも20代は男女比が同等かむしろ女性が多いが、30代以降は女性会員が減少していく。
興味深いことに、男性でも育児を理由に転職を検討する人が一定数存在する。最近は共に育児をする男性が増えており、産後うつになった妻のサポートや、特に2人目以降の子育てでは父親の協力が必須となるケースもある。
Q. 育児と仕事の両立をサポートする企業の制度はどうなっている?
企業側の支援制度としては、時短勤務や時差出勤を導入している職場が多く、コロナ禍をきっかけに在宅勤務可能な企業も増加した。ただし、フルリモートワークを導入している企業はまだ少なく、マイナビ転職の掲載データでは在宅勤務可能な企業は全体の約16%にとどまる。

時短勤務の利用率は女性で約5割だが、男性では7.6%と低い。2023年4月からは「育児時短就業給付金」が新設され、時短勤務によって減少した給与の一部が補填される仕組みができた。例えば、時短勤務で月給18万円になった場合、その10%にあたる1万8千円が給付される。
また、男性の育休取得についても制度が整備されつつある。2023年までは従業員1000人以上の企業に義務化されていたが、2024年からは300人以上の企業も対象となった。
さらに、育児中の社員をサポートするための「両立支援等助成金」も用意されており、時短勤務者をカバーする同僚がいる場合に支給される。この助成金は従業員300人以下の企業が対象で、短期的な派遣社員の雇用など人員補充にも使用できる。
Q. 制度はあっても利用しづらい現状はある?
制度自体は整っていても、実際に利用しづらい環境があるのも事実だ。「会社に産休を取っている人を見たことがない」「時短勤務を使っている前例がない」といった状況では、制度があっても利用しづらく感じる人が多い。
また、人手不足の職場では時短勤務ですら難しく、仕事量が回らなくなることへの懸念から制度利用を躊躇するケースもある。さらに、時短勤務によって給与が減少することへの経済的不安から、あえて時短を選ばない人もいる。
一方で企業側も対応に苦慮している。男性育休義務化に伴い、人材を追加採用する企業も増えている。特に300人以下の中小企業では、育休取得者をカバーするための人員計画が追いついていない場合も多い。
Q. 女性のキャリア継続に対する男女の意識の差はある?
調査によると、子供の保育園入園後に正社員としてキャリアを継続したいと考える女性は約9割いるのに対し、妻に正社員としてのキャリア継続を望む男性は約7割と差がある。
この差が生じる背景には地域差もあり、地方では伝統的な性別役割分担の意識が残っていることや、都市部では夫のハードワークにより家事・育児の負担が妻に集中する傾向がある。また、地方では女性向けの正社員の仕事が少ないため、非正規雇用率が高くなっている地域もある。

無償労働時間の男女差も大きな問題だ。スウェーデンなど両立支援が進んでいる国では女性の家事・育児時間は男性の1.28倍だが、日本では4.5倍もの差がある。アメリカでも1.5倍程度なので、日本の女性の家事・育児負担は突出して大きい。
共働き妻の無償労働時間を年収換算すると約194万円相当になるという試算もある。子育て期の男女の収入差が約200万円と言われるが、無償労働を考慮すると実質的には妻の方が「働いている」とも言える。
Q. 育休取得で不安なことは何か?
育休取得に関する不安の第一位は「収入減少」だ。2024年4月から「出生時育児支援給付金」が新設され、両親それぞれが14日以上の育児休業を取得した場合、通常の67%の給付に加えて13%が追加支給される。社会保険料免除と合わせると、実質的に手取り額の100%がカバーされる計算だ。ただしこの制度は最長28日間のため、それ以降は給付率が下がる。
また、保育園に入れない「待機児童」問題もあり、想定より長期間の育休を余儀なくされるケースもある。その場合、収入減少期間が延びることへの不安は大きい。
育休取得者の世帯年収を見ると、約7割が800万円以上となっている。ある程度の経済的余裕がないと育休取得が難しいと感じている人が多いことがうかがえる。大学生向け調査でも7割が「片方の収入だけでは生活できないから」という理由で共働きを希望しており、若い世代から経済的不安を抱えている実態がある。
Q. 育休に対する満足度は男女で差があるの?
パートナーの育休に対する満足度調査では、男性の方が女性より高い満足度を示している。
その理由として、男性の育休期間が短いことが挙げられる。半数が1ヶ月未満、約3割が2週間程度の取得に留まっているため、妻側の負担が大きくなりがちだ。また、育休中の過ごし方にも差があり、男性がキャンプやゴルフなど休暇的に使うケースもある。

出産後の女性の体は「全治2〜6ヶ月の交通事故」に相当すると言われるほど負担が大きい。そのような状態でも、普段通りの家事や育児をせざるを得ない状況が生じている。特に睡眠不足の問題は深刻で、授乳は2〜3時間おきにあるため、夜間の睡眠が分断されることも多い。
産後1年未満の女性の死亡原因として自殺の割合が高いことからも、産後うつなどの精神的負担の大きさがうかがえる。夫の育休期間の短さは、こうした妻の心身の負担を理解する機会の少なさにもつながっている。