
異例の大抜擢!カリスマ41歳社長の決断
41歳社長が語る、音楽業界の復活と未来
「レコード産業は20年前に死ぬんじゃないかと言われていた」と語るワーナーミュージック・ジャパン会長の北谷賢司氏。しかし今や世界で73億人が有償で音楽ストリーミングを利用し、レコード産業は44兆円規模に成長した。そんな成長産業の日本法人トップに抜擢された41歳の岡田武士社長。彼が見据える音楽業界の未来とは?

Q. 41歳という若さでワーナーミュージック・ジャパンの社長に就任しました。音楽業界では今何が起きているのでしょうか?
このオファーをいただいた時は自分自身も驚きました。ワーナーミュージックのグローバル本社から直接オファーがあり、まさか自分が選ばれるとは思っていませんでした。
その背景には、私がデジタル領域のマーケティングを一貫して担当してきたこと、そしてアーティスト育成や人材開発、レーベル運営などの経験を積んできたことがあります。こうした強みをワーナーミュージックで活かしてほしいというのが、オファーの内容でした。
Q. 社長就任から半年以上経ちましたが、新しい環境には慣れましたか?
環境には慣れてきたと思います。ワーナーミュージックには元々アットホームな雰囲気があり、日本だけでなく世界的にもそうした社風があります。世界のワーナーミュージックの方々とオンラインや対面でミーティングする機会もあり、非常にウェルカムしてくれています。外部から来た身としては、このような受け入れ態勢にとても感謝しています。
Q. 日常のルーティンを教えてください
朝は6時頃に起きます。これは早起きしようと決めているわけではなく、子供がいるので自然と起こされるという感じです。起きたらまず、コロナ前から続けている習慣として、SNSを確認します。特にTikTokを毎朝チェックするようにしています。歯を磨くようにTikTokでアーティストの投稿や、楽曲がどのように使われているかをチェックするのです。
どのような楽曲が使われ、どんな投稿が行われているかを流し見ることで、トレンドの流れが見えてくると思っています。これは仕事というよりも、自分自身も楽しみながら新しい情報を得る時間です。朝の「ながら」作業として取り入れています。
その後は出社して会議などをこなします。オフの時間には、リフレッシュのためにPlayStationでサッカーゲームをすることが多いです。これが自分の頭をリセットしたり、リラックスしたりする瞬間になっています。しかも一人でやるのではなく、オンラインでチームを組んで行います。そこにはミュージシャンや芸人さんなど、様々な職種の方がいて、仕事とは違った刺激を得られる時間になっています。
私はお酒が飲めないので、週末の夜に飲みに行く代わりに、家でゲームをしながらいろんな人とわいわい話すのが楽しいです。飲み会の良さは会話だと思うので、それが家にいながらできて、終わったらすぐ寝られるというのは最高だと感じています。時間がない中でできるリセット方法の一つです。
Q. 学生時代はどのような生活を送っていましたか?
中学・高校時代はテニス部に所属し、365日テニスをやっていたような生活でした。でもその合間に、好きなアーティストのコンサートに行くために部活を休んだりすることもありました。ごく普通の学生生活だったと思いますが、何でもやってみようというノリがあったかもしれません。男子校だったので、そのノリも楽しかったですね。
Q. 初めて見たライブは誰のものですか?
マイケル・ジャクソンです。5歳の時に親に連れて行ってもらいました。当時は半分くらいしか理解していなかったと思いますが、家にあったVHSのマイケル・ジャクソンのミュージックビデオ集をよく見ていました。子供ながらに、「デンジャラス」や「ビート・イット」などの映像が仮面ライダーのような感じに見え、大勢を引き連れて戦うような構図に魅了されていました。それが音楽の世界に触れるきっかけになりました。
Q. いつから音楽業界を目指すようになったのですか?
最初から音楽業界に行きたいと決めていたわけではありません。他の業界も視野に入れていましたし、自分で起業してみたいという思いもありました。ただ、親からは「一度は会社に入って勉強した方がいい」と言われました。
好きなことを仕事にした方がいいと考え、特に音楽は人に勧める楽しさがあります。学生時代に友達に「この曲いいから聴いてみて」と言うような、その楽しさを仕事にできたらいいなと思いました。
Q. ユニバーサルミュージックでのキャリアについて教えてください
ちょうど着うたが始まった時期にユニバーサルミュージックに入社しました。当時はまだCDの時代で、着うたからヒットが生まれるようになり始めた頃です。iTunesが登場するかしないかというタイミングでした。

入社2年目くらいでこうした仕事に携わることができ、自分自身もまだリスナー側の気持ちに近い、「ギリギリ若者」だったことが良かったのだと思います。
Q. 社長になることは考えていましたか?
全く考えていませんでした。どのくらいこの仕事が続けられるかも考えていなかったですし、将来のことを計画的に考えるタイプではなかったです。新卒で入社した時も、トップを目指すというような思いはなく、他の仕事の可能性や自分で何かをやる可能性も含め、選択肢を多く持ちたいと考えていました。
Q. 北谷会長から見て、なぜ岡田氏が社長に選ばれたのでしょうか?
ワーナーミュージックジャパンは過去10年間あまり成長できず、日本の新人アーティスト開発も遅れがちで、マーケットシェアが下がっていました。そんな中、若い経営者が必要だったのです。

音楽はやはり若い人たちをターゲットとした産業です。そのターゲットに近い距離にいる人が、音楽のクリエイティブな部分や制作の部分、特にデジタルに関しては経営者であるべきです。我々のような年配者は会社全体のコーポレートな部分は見られますが、今の音楽を消費している大半のオーディエンスに近くないので、音楽の特性が読めないのです。
岡田氏はすでにユニバーサル時代から業界内で高く評価されていました。我々が探していた若手で将来の大きな経営者になれそうな人材は、日本のレコード業界にはそう多くありません。幸いなことに来ていただけたので、これから大きく飛躍していただけると信じています。
Q. レコード産業が復活した今、音楽業界の未来はどうなるでしょうか?
これからも伸びるのはデジタルのストリーミングとそれに関連する新しい事業だと思います。またライブの分野もかなり伸びていくでしょう。

日本はまだ会場が限られているため、特にワーナーの海外アーティストが十分に公演できない状況ですが、これから徐々にアリーナも新設されて増えていきます。グローバルツアーで今まで日本に来なかったワーナーのアーティストが今後はかなり来てくれるようになれば、様々な意味で事業は活性化していくと思います。
Q. 岡田社長が描く音楽業界の未来像は?
音楽業界というより、ワーナーミュージックとしては、日本のアーティストが世界で活躍している姿をたくさん見たいと思っています。それに向けて邁進していきたいです。
Q. 若手ビジネスパーソンへのアドバイスをお願いします
北谷会長:自分をさらに強くし、将来の経営者として成長するためには、アカウンティング、ファイナンス、そして法律の3つの基礎知識のレベルを常に上げて更新していくことが非常に重要です。
岡田社長:私自身がこのようなトップトークで話すとは思っていなかったので、今いろんな仕事をされている方々の将来の可能性は今決まっているわけではなく、いくらでもチャンスがあると思います。北谷会長がおっしゃったように、自分でしっかり磨くべきところを磨いて備えながら日々仕事をしていくことが、結果的に将来にとって重要なことだと思います。
