
徹底解説:これから進む「6つの医療改革」
3党合意で実現へ:日本の医療改革はここが変わる!

医療制度改革が大きく動き出している。日本維新の会、自民党、公明党の3党協議で病床再編や電子カルテ普及などの合意が成立。この改革は私たちの医療サービスにどんな変化をもたらすのか?日本維新の会 衆議院議員で厚生労働部会長の阿部圭史氏に、改革の内容と今後の展望を聞いた。
Q. 3党合意で医療改革が動き出したそうですが、具体的に何が決まったのでしょうか?
日本維新の会、自民党、公明党の3党で社会保障に関する協議を続けてきた結果、大筋で合意に達し、2つの合意書を締結しました。1つ目は医療法改正に関する3党合意で、余剰病床の削減と電子カルテの普及拡大が柱です。2つ目は骨太方針に関する3党合意で、これは政府の重要政策として位置づけられるものです。
これらの合意は3党の幹事長・政調会長級で署名されており、政府の方針にも反映されています。実現可能性は非常に高いと考えています。
Q. 病床再編とは具体的にどのような改革ですか?
人口減少が進む日本では、多くの病院で使われていないベッドが存在します。そこで余剰病床を11万床削減することで、医療費削減効果として約1兆円を見込んでいます。
病床があれば人員配置が必要となりますが、人材が無駄になっている現状があります。この再編によって、人的リソースをより集中的に活用できるようになります。
なお、感染症対応などの重要な病床はしっかり確保した上で、一般病床を中心に削減していく方針です。
Q. 電子カルテの普及率100%を目指すとのことですが、現状はどうなっていますか?
現在の電子カルテ普及率はわずか50%程度です。デジタル化が進む時代にしては非常に低い水準です。これを5年以内に100%にすることを目指します。
普及が進まない理由としては、パソコン操作が苦手な医師がいることや、中小病院・診療所では導入コストを負担できないケースがあることなどが挙げられます。
電子カルテが普及すれば、医療機関をまたいだ情報共有が可能になり、同じ検査を重複して行うといった無駄がなくなります。これは患者にとっても、医療費の適正化という点でも大きなメリットがあります。
Q. OTC類似薬の保険給付見直しについて、どのような内容ですか?
OTC類似薬とは、市販薬と同様の成分を含む処方薬のことです。現在は約7,000品目以上あり、これらを保険適用から外すか、自己負担を増やす方向で検討しています。
具体的な制度設計はこれからの議論ですが、一律に一定程度の自己負担を増やすアプローチや、個別の薬ごとに保険給付のあり方を見直すアプローチなど、様々な方法が考えられます。
この改革の背景には「小さなリスクは個人で受け止め、大きなリスクは公的に支える」という考え方があります。医療保険制度を持続可能なものにするためには、このような役割分担が必要です。
Q. 地域フォーミュラリーの全国展開とは何ですか?
地域フォーミュラリーとは、地域における薬剤処方の標準化のことです。現状では、医師個人の好みや病院ごとの方針で薬の処方が決まっていることが多く、統一されていません。
地域や全国で処方薬を標準化することで、医療費の適正化効果が期待できます。例えば、「この症状にはこのジェネリック薬を処方する」といったルールを作ることで、医療の効率化が図れます。
現在の導入率は病院で5%以下、診療所で20%以下と極めて低いため、全国展開を目指します。高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病だけでも、地域フォーミュラリーを導入すれば約3,000億円の医療費削減効果があると試算されています。
Q. 金融所得を医療介護保険の負担に反映するとはどういう意味ですか?
現在、窓口負担割合などは給与所得をベースに決められていますが、株式投資などからの金融所得は反映されていません。そのため、給与所得が少なくても金融所得が多い人の中には、本来の経済力に見合わない低い負担となっているケースがあります。
特に高齢者の中には、給与所得はないが金融所得が多い方もいらっしゃいます。そうした方々が現役世代より経済的に余裕があるにもかかわらず、窓口負担が1割になっているようなケースがあります。
この改革により、負担能力のある方には適切に負担していただくという大納得負担の原則を徹底します。
Q. 生活習慣病の重症化予防とデータヘルスの推進について教えてください
多くの病気の基礎に生活習慣病があるため、これを予防することは医療費適正化という観点でも非常に重要です。そして、この予防をDXを活用して効率的に進めるという方針です。
電子カルテの普及と連動して、複数の医療機関にまたがる患者のデータを共有することで、より効果的な生活習慣病管理が可能になります。例えば、糖尿病は一つの病院、高血圧は別の病院と、複数の医療機関にかかっている患者さんのデータを統合的に管理できるようになります。
Q. 今後の医療改革の重要テーマは何でしょうか?
今回の合意に加えて、日本維新の会からは21項目の医療改革提案を議論のテーブルに載せることについて、自民党・公明党の理解を得ています。
特に重要なテーマの一つが、公的保険の持続可能性と民間保険の活用です。高額医療費が増える中で、公的保険でカバーする範囲をどこまでにするのか、民間保険とどう役割分担するのかという議論が必要になっています。
また、医療従事者の賃金問題も重要課題です。現在の医療業界は計画経済的で、2年に1回の診療報酬改定で賃金が決まる仕組みですが、インフレ下ではタイムリーな対応ができていません。医療人材を確保するためにも、この問題に取り組む必要があります。
Q. なぜこれまで医療改革が進まなかったのでしょうか?
様々な利害関係者が存在し、その声に配慮した結果、改革が亀の歩みだったという面があります。また、これまでの自民党・公明党政権では、特定の組織を抱えていることもあり、思い切った改革が難しかった側面もあります。
日本維新の会は特定の組織のしがらみがなく、国民目線で政策を提言できる立場にあります。そうした第三者の視点があったことで、今回の改革が前進したと考えています。
Q. 2040年の高齢者数ピークに向けて、医療制度はどう変わるべきでしょうか?
2040年には高齢者数がピークを迎え、高齢化率は35%に達します。さらに2065年には高齢化率は40%に上昇する見込みです。一方で医療を提供する現役世代は減少していきます。
こうした状況を踏まえると、「小さなリスクは個人で、大きなリスクは公的に」という役割分担を明確にしていく必要があります。また、病床・人材・薬剤などの医療リソースをより効率的に活用する体制を構築していかなければなりません。
保険制度の根幹に関わる議論は、国民会議のような場で正面から取り組むべき時期に来ています。「何でもかんでも保険で見る」という現在の仕組みを見直し、持続可能な医療制度を設計することが、私たちの世代の責任です。