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イラン・イスラエル情勢:アメリカ参戦で今後は
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2025年6月23日

イランとイスラエルの攻撃の応酬が続く中、イランの核施設を攻撃したアメリカ。なぜこのタイミングでアメリカは攻撃に参加したのか?施設の被害状況は?中東の米軍施設への攻撃やホルムズ海峡封鎖など、イランは報復に出るのか?さらに、イラン国内の体制転換はあり得るのか?慶應義塾大学の田中浩一郎教授とともに、混迷を...
アメリカ、イラン核施設攻撃の衝撃 - イスラエル参戦の深層と中東の行方
イランの核施設に対するアメリカの電撃的な攻撃。この衝撃的な出来事について、中東情勢に詳しい慶応義塾大学大学院の田中浩一郎教授に詳しく解説していただきました。

Q. アメリカによるイランの核施設攻撃とは何ですか?
アメリカのトランプ大統領は日本時間の日曜午前、イランの核施設を攻撃したと発表しました。これはイスラエルが6月13日から開始した攻撃の流れに沿ったものです。
アメリカが参戦せざるを得なくなった背景には、イスラエルが掲げた目標があります。その目標は2つ。一つはイランからウラン濃縮能力を完全に奪うこと、もう一つはイランからイスラエルへの脅威を排除することです。特に2つ目の目標については、当初よりも拡大し、体制転換(レジームチェンジ)も視野に入れる方向へと変化しています。
問題は、イスラエルだけでは攻撃できない核施設の存在でした。山の中をくり抜いて作られた地下施設「フォルドゥ」は、イスラエルが保有する爆弾や地中貫通弾(バンカーバスター)では破壊できません。この施設を破壊できる通常兵器と、それを運搬する能力を持つのはアメリカだけだったのです。
Q. 攻撃による被害状況はどうなっていますか?
衛星写真によると、岩肌に穴が開き、地下施設への入口となるトンネルが埋もれている様子が確認されています。しかし、地下にある遠心分離機がどの程度破壊されたのか、あるいは高濃縮ウランがどうなったのかについては、外部からは全く分かりません。

アメリカ側の発表では「かなり破壊した」というニュアンスですが、国防長官の発言からは「正直よく分からない」というニュアンスも感じられます。ただし何らかの被害は与えたと考えられます。
重要なのは物理的な被害以上に、アメリカが参戦したという事実です。トランプ大統領は軍事介入に慎重だと言われてきましたが、それにもかかわらずイスラエルが始めた戦争に参加したことの意味は非常に大きく、今後の世界情勢や東アジアの緊張地域にも影響を与えるでしょう。
Q. イスラエルの目的であるイランの核開発断念は達成されましたか?
イラン側の政策に変更はありません。イランは早速、ウラン濃縮を今後も続けていくと表明しており、この方針を譲るつもりはないことを示しています。
物理的に核開発が可能かどうかは、施設がどれだけ残っているのか、必要な機材が手に入るのかといった点に依存します。しかし意思としては継続する方針なので、今回の空爆でイランの核開発意欲をくじくことはできなかったと言えます。
Q. アメリカが参戦した意味とは何ですか?
トランプ大統領は過去、アメリカのアフガニスタンやイラクへの軍事介入を批判してきました。それらの介入がアメリカ経済を衰退させ、国力を下げ、命が失われたと主張していたのです。
しかし今回のイスラエルが起こした戦争へのアメリカの参戦は、イラク戦争以上に問題があります。イラク戦争の際、アメリカは少なくとも国連安全保障理事会での承認を得ようとしました。そのために情報機関が集めた(あるいは捏造した)証拠を持ち出し、イラクが国連安保理決議に違反しているという主張をしたのです。
それに対し今回は、ネタニヤフ首相もトランプ大統領も、国連安保理の場に問題を持ち込むこともなく、個別的自衛権や自己防衛のための要件を満たしていないまま軍事行動に踏み切りました。

さらに、イラク戦争後に教訓として設立された国家情報局は、今年3月の段階で「イランは核兵器を作っていない」と報告していました。この報告すら無視して攻撃に踏み切ったことは、イラク戦争以上に問題だと言えます。
Q. なぜアメリカはここまでして攻撃に踏み切ったのでしょうか?
一つはイスラエルの窮状があります。イスラエルだけではフォルドゥ核施設を破壊できず、この施設が残ればイランのウラン濃縮能力も残ることになります。これはイスラエルにとって受け入れられないリスクでした。
もう一つの理由として、イスラエルが早々にイランの上空の制空権を握り、ミサイル設備も破壊していたため、アメリカが参戦してもイランからの報復攻撃のリスクが低いと判断された可能性があります。
さらに、イスラエルの戦略目標が「体制転換」にまで拡大したことも影響しています。1979年のイラン・イスラム共和体制成立以来、アメリカは多くの場面でイランと敵対してきました。この機会にレジームチェンジまで達成できるのであれば、イスラエルに協力する価値があるとトランプ大統領は判断したのでしょう。
Q. イランはアメリカに報復するでしょうか?
中東にあるアメリカ軍施設への直接攻撃は難しいと考えられます。これらの施設はアメリカの土地ではなく、イランの隣国に置かれているものです。これらを攻撃することは、施設を受け入れている国々への攻撃にもなり、外交関係が非常に険悪になります。
イランは近年、周辺のアラブ諸国との関係を改善しており、これを台無しにするリスクを冒すことは避けるでしょう。

しかし、他の方法での報復はあり得ます。例えば、誰が実行したか明確にならないようなテロ活動や、ホルムズ海峡での船舶攻撃などが考えられます。特に後者は、完全な封鎖ではなく、危険を感じた船舶が自主的に通航を控えるような状況を作り出すことで、石油価格を上昇させアメリカを困らせる効果があります。
Q. イランの体制転換の可能性はどうでしょうか?
イスラエルとアメリカは、イランの現体制がなくならない限り、核開発能力も再び構築されると考えています。また、攻撃を受けたイランがNPT(核拡散防止条約)から脱退し、北朝鮮のように監視のない状態で核開発を進める可能性も懸念しています。
体制転換を実現するためには、民衆蜂起を促すと同時に、体制維持を担っている革命防衛隊や民兵組織、警察組織を弱体化させる必要があります。さらに重要なのは「斬首作戦」、つまり最高指導者を排除することです。
最高指導者が高齢であることや、現在の攻撃状況を考えると、斬首作戦が成功した場合に体制崩壊に至る可能性は高いと考えられます。しかしその場合、2003年のイラク戦争後の混乱をはるかに上回る混乱が予想され、それはイラン国内だけでなく周辺諸国にも波及するでしょう。