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年初から46%上昇。プラチナ急騰の謎。今でもまだ安い
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2025年6月21日

5月半ばより急騰しているプラチナ価格。今年、全投資商品で最高水準の上昇幅を記録しているのはなぜか?今後どこまで伸びるのか?貴金属スペシャリストの池水雄一氏に聞いた。 <ゲスト> 池水雄一|貴金属スペシャリスト 上智大学卒業後、住友商事入社。クレディ・スイス銀行、三井物産を経て、2019年より「日本...
プラチナがなぜ投資商品の中で最も高騰?金・銀の価格との関係
プラチナが2025年に入ってから急激に価格上昇を見せている。年初来46.88%の上昇率を記録し、全ての投資商品の中でも最も高いパフォーマンスを示している。長らく鈍い動きを見せていたプラチナが、なぜ今急騰しているのか?ゴールドの上昇から他の貴金属へ資金が流れ始めている背景を探る。

Q. プラチナの価格が急騰している背景は?

プラチナは年初から46.88%という驚異的な上昇率を見せている。これは全ての投資商品の中で最も高いパフォーマンスだ。ゴールドが29%、シルバーが27%上昇しているのに対し、プラチナの上昇率は際立っている。
5月中旬まで1,000ドルを超えられなかったプラチナ価格だが、「ロンドンプラチナウィーク」というイベントがきっかけとなり急上昇した。このイベントで、ワールドプラチナインベストメントカウンシル(WPIC)が発表した四半期レポートが注目された。WPICは南アフリカのプラチナ鉱山会社がスポンサーとなっている団体で、プラチナの供給不足が続くという見解を示した。
さらに転機となったのは、WPICの上海代表がブルームバーグのインタビューで「中国がプラチナを大量に買っている」と発言したことだ。4月の中国のプラチナ輸入量が通常より大幅に増加し、市場に強いインパクトを与えた。
Q. プラチナ市場で今何が起きているの?
現在、プラチナの貸借金利(リースレート)が1ヶ月物で20%という異常な高さになっている。通貨の金利として考えても、トルコリラ並みの高金利だ。この高いリースレートは、プラチナの現物が極めて逼迫していることを示している。
ロンドンやチューリッヒの貴金属プロフェッショナル間での受け渡しを行うアカウント(ロコロンドン、ロコチューリッヒ)でメタルが不足している状態だ。中国が4月に行った大量購入は、こうした場所からプラチナを引き出して輸入したものと見られる。
このリースレートの高さは1ヶ月以上続いており、長年貴金属市場に関わってきた専門家から見ても前例のない状況だ。この状況を考えると、プラチナの上昇相場はさらに続く可能性が高い。
Q. 中国でプラチナの需要が急増した理由は?
中国でプラチナ需要が急増した第一の理由は、ゴールドの価格上昇だ。ゴールドが高騰する中、プラチナはゴールドの1/3.5程度まで価格が下がっていた。この価格差に投資家や宝飾品メーカーがプラチナに注目し始めた。
特に中国では、この動きが顕著に見られる。上海の貴金属街では、以前はゴールドが中心だったが、現在はプラチナ製品が大幅に増加している。
プラチナはゴールドの1/20程度しか生産されておらず、ゴールドと同様の勢いで需要が増えると、供給不足が価格に直接反映される。特に900ドルを下回ると鉱山会社のコストを割り込むため、長期間の価格低迷でプラチナの採掘が制限されてきた。
現在の価格上昇が続き、1,500ドルや2,000ドルになれば鉱山会社も生産を増やせるようになるが、それには相当の時間がかかる見込みだ。
Q. プラチナとゴールドの価格関係はどうなるの?
歴史的に見ると、かつてはプラチナがゴールドより高価だった時代もある。そのため「プラチナカード」が「ゴールドカード」より上位という認識がある。
現在のゴールド価格が3,500ドル前後であることを考えると、プラチナが2,000ドル程度まで上昇すれば、ゴールドとプラチナの価格バランスが取れるという見方もある。現在のプラチナ価格(1,334ドル)でも、まだ世界の投資家は「プラチナは安い」と見ている可能性が高い。
Q. 銀(シルバー)の価格動向は?
シルバーも最近大きく動き始めている。金と銀の比率(金銀比)は過去50年の平均では65対1程度だが、今年に入って90対1という水準で推移してきた。これは歴史的に見てもシルバーが割安な状態だった。
ゴールドが急騰した際には、この比率が107対1まで拡大したが、最近はシルバーも上昇し、比率は90対1程度に戻っている。シルバーは長年30〜35ドルの価格帯を超えられなかったが、最近では37ドルまで上昇した。
かつての日本では金と銀の比価が5対1程度で、幕末には欧米(15対1)との価格差を利用した裁定取引が行われ、日本から金が流出した歴史もある。
Q. 貴金属投資はどう考えるべき?
今までゴールド一辺倒だった市場が、ゴールドの大幅な上昇を受けて、相対的に割安だったプラチナやシルバーに資金が流れ始めている。投資の観点からは、純金積立だけでなく、プラチナやシルバーも組み合わせて積み立てる方が良いとされる。
プラチナやシルバーは価格が低い分、同じ金額を投資した場合により多くの量を購入できる。これらの貴金属はETFでも購入可能で、パラジウム(プラチナの親戚のような金属)を含めた4種類の貴金属が投資対象として挙げられる。
年初来のパフォーマンスでは、ゴールド、プラチナ、シルバーが他のあらゆる商品や金融商品を上回っており、パラジウムも5〜6番目に位置している。

Q. ゴールドの今後の見通しは?
ゴールドは4月22日に3,500ドルまで上昇し、歴史的高値を記録した。専門家の間では、年末までに3,800ドルや4,000ドルに達するという見方が多い。
年初の2,600ドルから4ヶ月で3,500ドルまで上昇する展開は、ほとんどの専門家の予想を上回るものだった。この上昇の背景には、トランプ政権が世界に不安をもたらす政策を進めていることが加速要因となっている。
イスラエル・イラン紛争も注目されているが、市場はトランプ大統領の予測不能な発言にある程度慣れてきており、発言だけではなく実際の行動やファクトによって動く相場に変化しつつある。