
【早稲田VS慶應】経営が優秀なのは?
有名大学の生存戦略Q&A:早稲田大学は学部生数を減らしている?
早稲田大学が学部生数を減らす方針を打ち出している背景と、名門大学の生存戦略について、教育分野の専門家に話を聞いた。

Q. 早稲田大学は現在どのような改革を行っているのでしょうか?
早稲田大学は約10年前から学部生数を減らす方針を打ち出している。2012年度には約4万4000人いた学部生数が、2024年度には約3万8000人まで減少している。さらに2032年(早稲田大学創立150周年)までに3万5000人まで縮小する目標を立てている。
これは単なる縮小ではなく、国内のライバル校との競争より世界で戦える大学になるための戦略的な方針転換だ。学部生数を減らすことで教育の質を高め、研究に力を入れ、グローバルな競争力を強化しようとしている。
Q. 早稲田大学の内部進学のハードルはどのように変化していますか?
付属校からの内部進学のハードルが上昇している。特に政治経済学部や国際教養学部、社会科学部、文学部などの人気学部では、内部進学するためには一定以上の英語外部試験(TOEFLなど)のスコアが必要になるなど、基準が厳格化されている。
これは「付属校からなら楽に看板学部に入れる」という状況を変え、内部進学者の質を担保する狙いがある。安心せずに一定の学力を身につける必要があるというメッセージでもある。
Q. 早稲田大学の入試はどのように変わりましたか?
2021年から入試制度が大きく変わった。特に政治経済学部では、従来の英語・国語・数学または社会の3科目のペーパーテスト方式から、共通テストと数学1Aを含む2次試験での総合問題方式に変更された。これにより東大などの国立大学を志望する受験生との併願が増えている。

また、政治経済学部だけでなく、社会科学部や人間科学部なども共通テストが必須になるなど、文系学部の約半分が共通テスト+総合問題型のスタイルに切り替わっている。志願者数は減少しているものの、質の高い受験生を獲得する狙いがある。
Q. 早稲田大学と慶應義塾大学の人気はどのように変化していますか?
以前は慶應義塾大学が優勢だった早慶の関係だが、現在は早稲田大学が盛り返してきている。特に、両大学の看板学部である早稲田の政治経済学部と慶應の経済学部の両方に合格した場合、以前は慶應を選ぶ人が多かったが、2021年以降は早稲田を選ぶ人が増えている。
慶應もこれに対抗して、2027年度から経済学部の入試から小論文試験を廃止し、英語と数学の2科目入試に変更する予定だ。これにより東大受験者がより慶應に流れることを見込んでいるとみられる。
Q. 早稲田大学の財務状況はどうなっていますか?
学部生数と志願者数を減らしているにもかかわらず、早稲田大学の経常収入は増加している。2018年と2023年を比較すると、学生生徒等納付金の比率は64.3%から60.7%に減少しているが、全体の収入額は増えている。

これは寄付金収入の増加(2.8%から4.0%へ)や資産運用、研究関連の収入などを増やしていることが要因だ。早稲田大学は2032年までに寄付金の比率を10%程度まで高める目標を持っている。
また、専任教員1人あたりの学生数も2010年頃の約40人から現在は約30人に減少しており、教育の質を高める方向に進んでいる。
Q. 早稲田大学の付属校の特徴は何ですか?
早稲田大学の主な付属校としては、早稲田高等学院(男子校、1学年500人)、早稲田実業学校(男女共学)、早稲田本庄高等学院(男女共学)などがある。これらの学校からは基本的に全員が早稲田大学に進学できる。
また、早稲田高校は「早稲田保証付き進学校」と呼ばれ、約半数は早稲田大学への内部進学枠があるが、東大などを目指す新興進学校としての側面も持つ。その結果、早稲田大学以上の大学に進学する生徒の割合が7〜8割になる。
さらに、佐賀県には早稲田佐賀高校があり、九州の生徒だけでなく、本州から早稲田大学への進学を目指して入学する生徒も多い。
Q. 早稲田大学は共学化にどのように取り組んでいますか?
早稲田大学の付属校は従来男子校が多かったが、この20年で大きく変化している。早稲田実業学校や早稲田本庄高等学院は共学化し、早稲田佐賀高校やシンガポール校も女子を受け入れている。早稲田高等学院は現在も男子校だが、全体として「付属校は女子は入れない」という流れは変わってきている。
さらに、早稲田実業学校は今年から男女半々で学生を募集するようになり、早稲田本庄高等学院も同様の方針に変わる予定だ。早稲田大学自体も学生の男女比は約6:4と男子が多いが、徐々に女子の比率が高まっている。
Q. 早稲田大学は慶應義塾大学と比較してどのような強みや弱みがありますか?
慶應義塾大学は医学部を持っているという大きな強みがある。医学部があることで研究論文の数や世界ランキングで有利になり、また病院経営による収入も得られる。実際、大学の経営収入ランキングでは、早稲田大学は6位だが、上位5校(日本大学、慶應義塾大学、近畿大学、東海大学、学習院)はすべて医学部を持っている。

一方、早稲田大学はカオスな校風や多様性を重視する文化があり、「外部生に優しい」という特徴がある。内部進学者よりも、実力で大学から入学した学生が評価される傾向がある。また、寄付金収入を増やし、研究にも力を入れるなど、医学部がなくても世界で戦えるよう様々な改革を進めている。
しかし、早稲田大学には「医学東門会」という医師になった卒業生のコミュニティがあり、早稲田大学を卒業後に医学部に入り直した「仮面浪人」出身の医師も多いという特徴もある。


