PIVOT TALK FOOTBALL
菅原由勢が1年目を総括:プレミアリーグは悪魔的だ
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2025年6月21日

サウサンプトンFCの菅原由勢選手をゲストに迎え、プレミア1年目を総括。プレミアと他リーグとの違いや、チーム内でのコミュニケーションの工夫などをPIVOTレギュラーメンバーが聞いた。 <ゲスト> 菅原由勢|サウサンプトンFC サッカー日本代表。愛知県豊川市出身。前所属のAZアルクマール(オランダ)で...
プレミアリーグで戦った菅原由勢選手に聞く「悪魔的リーグ」の真実
プレミアリーグで苦戦した1年目を振り返りながら、その「悪魔的」と表現した理由や、監督との葛藤、クロスの入れ方、フィジカルの差など、日本人選手が経験した世界最高峰リーグの実情を語る。

Q. 1年目の成績(先発16試合、途中出場14試合、1得点1アシスト)をどう振り返りますか?
試合数だけ見れば30試合出場していますが、思い描いていた姿とは違います。先発試合数は30試合を目指していたので、全然納得できていません。得点数、アシスト数も思い描いていたところには到達できませんでした。
Q. プレミアリーグの壁は予想以上に高かったですか?
見て分かる以上に高いです。オランダからプレミアリーグに移籍したので、オランダとプレミアの差をすごく感じました。個人としても、チーム力の差としても、規模も違います。ここが世界最高峰のリーグだと実感しました。
Q. どのような点が特に難しかったですか?
120%というか、全力でプレーしなければ全く歯が立ちませんでした。各局面で最適な判断をし、フィジカル的にも120%でやらないと通用しない感覚でした。スピード感も恐ろしいです。初戦でニューカッスルのゴードン選手とマッチアップしましたが、速すぎて最初は距離感を開けていました。それでも彼の速さには対応できませんでした。
Q. サイドバックやウイングバックの選手としては「悪魔的なリーグ」と表現されていましたが、どういう意味ですか?
試合の2-3日前から相手ウイングの選手の分析をするのですが、どうしたらいいか掴みきれないことが多かったです。どうしたら完璧に止めることができるのかという答えが、今年1年で見つかりませんでした。オランダではある程度対策ができていたのに、プレミアリーグの選手は毎週「どうしたらいいんだろう」と考え続けることになります。

総合的な能力値が高いことに加え、その選手だけを見ていれば良いわけではなく、サイドバックやトップ下との関わりの中で、どう生かされるかも考える必要があります。一人だけケアしていたら、別の場所から攻撃されるような感じです。
Q. チームの戦術に対して葛藤はありましたか?
サウサンプトンではウイングバックが低い位置にいることを求められましたが、そこにいる意味がないと思っていました。ボールを繋ぐことが最優先になっていて、手段が目的になってしまっていた部分があります。監督には言われたことを一応やりつつも、次第に自分のアイデアを持ってプレーするようになりました。ハーフタイムには「ここに張るよりこっちに動いた方がいい」など、自分から意見を言うようにしていました。
Q. クロスを入れる時、どのような点で苦労しましたか?
ディフェンスが大きすぎてスペースがないように見えました。クロスを上げる時も絶対にピンポイントでないと合わないという感覚でした。チームに中に入る選手が少なく、選手が一人しかいない場合はその一人にピンポイントで合わせるしかありませんでした。
代表では違って、ウイングバックがサイドに入り、フォワードが強くニアかファーの動きをし、シャドウの選手も入ってくるので、エリアに入れることが多いです。代表ではクロス練習もしっかりしています。
Q. 一番圧倒された相手選手は誰ですか?
意外かもしれませんが、ボーンマスのセメニオン選手です。フィジカル、技術、勝負強さ、タフさ、すべてが素晴らしい選手でした。ビッグシックスに行くだけの選手だと思います。

チームとしては、チェルシーのサッカーはプレーしていて素晴らしいと感じました。トップクオリティを持った選手たちがチームとして、ユニットとしてサッカーをしてきます。CL(チャンピオンズリーグ)を獲得するだけの実力があると思いました。
アーセナルも嫌なサッカーをしていました。5バックで守っても、相手は4枚とかのユニットでボールを持ち、人数をかけすぎだと思うほど攻めてきます。「どうしよう」というより、後手後手になってしまいました。
Q. 監督から受けた指導で印象に残っていることはありますか?
オランダ時代のアルネ・スロット監督(現リバプール監督)からは細かく指導を受けました。パスを出した後にもう一度ポジションを取り直すことや、取り直す角度についてなど、たくさんのことを言われました。
守備面でも、5人での距離感やウイングとの距離感を詰めること、1対1の対応で相手が右利き左利きかなど特徴を考えることなど、非常に細かく指導されました。当時はキャパオーバーでしたが、それに向き合って自分のキャパシティを広げていくことができました。
Q. 遠藤航選手がリバプールでスロット監督の下で出場機会が減っている理由について、どう思いますか?
個人的な意見としては、遠藤選手にはもっと出場してほしいと思います。あれだけボール奪取を守れて、チームのために走れて、繋ぎ役になれる素晴らしい選手をなぜ使わないのか疑問です。
ただ、グラベンベルヒ選手は若くて、ボックス・トゥ・ボックスでいろんなところに顔を出せて、飛び抜けたスキルを持っています。オランダ出身というのもあるでしょう。リバプールも若い選手を使っていきたい意図があるように見えます。
また、リバプールの3人の中盤は非常に噛み合っていて、それが今の順位につながっています。そういういいチーム状況の中では、スタメンを獲得するのは難しいのかもしれません。
Q. 移籍情報について、事実と違う報道が出た時はどう感じますか?
全然気にしません。そういう世界なので、盛り上がっているなと思うだけです。一つのクラブに長くいる選手もいれば、移籍する選手もいます。一番大事なのは、自分がプレーすると決めた場所で全力を尽くすことです。
3月の代表戦の試合後にナポリ移籍の噂が出た時も、試合後のバスの中でチームメイトから「ナポリ行くのか?」と言われましたが、「知らない」と答えました。ビッグクラブの噂が出るだけの選手になれたのはありがたいことだと思っています。
Q. 今後の目標や課題は何ですか?
プレミアリーグで1年プレーして、多くの課題が見つかりました。守備も攻撃も全部、サッカーの理解度も含めて、まだまだだと強く思わされました。

世界トップレベルの選手と対戦することは最高の経験でした。自分の全てをぶつけて負けたとしても、それは自分の収穫になります。今後はその経験を活かして、さらに成長していきたいと思っています。