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【経済政策を問う④国民民主党】2035年に1000兆円のGDPを目指す
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2025年6月29日

7月20日の参院選で最大の争点の一つになるのが、経済政策。物価高、トランプ関税、人口減少などの試練を乗り越えて、いかに日本経済を成長させていくのか?賃上げを実現するのか?経済同友会の新浪剛史代表幹事が各党のトップ・政策担当者に経済政策を問う。 <ゲスト> 玉木雄一郎|国民民主党 代表 香川2区(高...
国民民主党・玉木代表が語る「人づくりこそ国づくり」とGDP1000兆円構想
「人づくりこそ国づくり」—これは国民民主党・玉木雄一郎代表が掲げる経済政策の根幹だ。玉木氏はインタビューで「教育、科学技術への投資」を強調。GDPを1000兆円に引き上げ、働き方改革の再改革や労働市場の変化にも切り込んだ。同党が描く日本経済のビジョンとは。

Q. 国民民主党が考える最も重要な経済政策の柱は何ですか?
短期的には「手取りを増やす」ことが重要だと考えています。持続的な賃上げには不可欠だからです。現在、民間企業の努力で賃上げが実現していますが、物価上昇による「ブラケットクリープ現象」が起きています。これは国民所得の増加率以上に税収が増えることを意味します。
せっかく賃金が増えても、税負担と社会保険料負担が同時に、あるいはそれ以上に上がっているため、インフレ調整をしながら手元に残るお金を増やすことが重要です。そうすれば次の消費に回り、企業業績の向上につながり、来期の賃上げにもつながる好循環を作れます。
中長期的には「人づくりこそ国づくり」です。特に科学技術力の低下を懸念しています。スイスのIMD(国際経営開発研究所)が毎年発表している国際競争力ランキングでは、かつて日本は4年連続1位でしたが、現在は大きく順位を下げています。
時間はかかりますが、だからこそ今すぐ行動が必要です。企業だけでなく国家全体として人材育成、教育、科学技術にしっかり投資するというメッセージを出すことが必要です。
Q. 「GDP1000兆円」構想について具体的にお聞かせください
私たちは2035年に1000兆円のGDPを目指すという中期目標を掲げています。GDP1000兆円を達成すると、GDPの12〜13%が税収となるため、120〜130兆円の税収が見込めます。税外収入が約15兆円程度なので、合計140兆円ほどになります。そうなれば、プライマリーバランスや財政赤字のGDP比率も急速に改善します。
ただし、単に規模を拡大するだけではいけません。「ワンイン・ツーアウト」というルールを法定化したいと考えています。これは、新たな規制や予算を1つ作る際には、2つを廃止するというルールです。政治家が「あれを削れ、これを削れ」と言うよりも、予算編成を担当する官僚が優先順位をつけて判断するのが最も効果的です。
成長は3つの要素でしか成り立ちません。「レイバーインプット(労働力の投入)」「資本の蓄積」そして「イノベーション」です。この3つの成長要素をいかに増やしていくかが重要です。
Q. 具体的な成長戦略についてはどのようにお考えですか?
まず「レイバーインプット」については、103万円の壁を引き上げることを提案しています。これは減税政策というよりもサプライサイド政策です。30年前の税制のままでは、働きたいのに働けない、稼ぎたいのに稼げない、雇いたいのに雇えないという状況を生み出しています。人手不足と言いながら外国人労働者を入れるのは本末転倒です。今まで働いていた人が次月も働くなら、リスキリングは不要ですから。

次に「資本蓄積」については、「ハイパー償却税制」を提案しています。100億円投資したら160億円まで償却を認めるものです。つまり投資額以上の減税を認め、投資を徹底的に応援します。国が特定分野を指定すると失敗するケースが多いので、投資先は民間が市場原理の中で決め、それを税制で応援するという形が望ましいです。
「イノベーション」については人への投資が重要です。特に博士課程の学生や研究施設への投資に力を入れるべきです。高校の無償化に使う財源を、高度人材育成や基礎研究に回すべきではないかと考えています。国家として明確なビジョンを示し、基礎研究に徹底的に投資していくべきです。
Q. 長期金利の上昇についてはどうお考えですか?
日米ともに長期金利は上昇していますが、理由が異なります。アメリカはトランプ政権の経済政策への懸念から特に30年債が上昇しています。
日本の40年債については、生命保険会社など機関投資家の需要減少が影響しています。生命保険会社は長期の負債を抱えるため、以前は同じく長期の40年債を資産として保有していました。しかし超低金利が上がり始めている現在、長期債の保有はリスクになるため、投資家として需要が減っているのです。
日本の40年債市場は規模が小さいため、この需要減少が金利上昇に影響しています。財政状況への懸念もありますが、必要であれば財務省が債券を買い戻すという選択肢もあります。売却の検討を表明するだけでも市場は落ち着くでしょう。
Q. 働き方改革についてはどのような課題があると思いますか?
現在の労働市場では、資本市場からではなく労働市場からの強い圧力が生じています。一定の賃金や良好な労働環境(ハラスメントがないなど)を提供できない企業には人が集まらなくなっています。日本市場がこれほど労働市場からの圧力を受けるのは初めてのことです。

一方で、残業時間規制には課題もあります。残業代を前提にローンを組んでいた人が、収入減少により副業を始めるケースがあります。本来は主たる雇用先が労働時間を管理すべきですが、それができていないと、かえって労働強化につながる可能性があります。
インターバル規制(勤務間の休息時間確保)は必要だと思います。たとえば朝4時まで働いた場合、次は昼過ぎからの出勤にするなど、体を休める時間を確保することが重要です。
ただし、働き方改革で注意すべきは、「のんびりすればいい」と考える人と「とにかく働かなければならない」と考える人の間で分断が生じる可能性があることです。この意図しない格差が将来生まれることが最も懸念されます。
Q. 貧困の連鎖をどう止めるべきだとお考えですか?
貧困の連鎖は絶対に止めなければなりません。アメリカでは「ビシャスサイクル(悪循環)」として親の貧困が子に引き継がれていく現象がありますが、日本でも同様の問題が起き始めています。
校長先生などの教育関係者の話を聞くと、学力と家庭の経済力の相関関係が明確になってきています。悪循環が日本でも定着し始めていると言えるでしょう。

共生社会では結果の平等は保証できませんが、人生のスタートラインは整えるべきです。生まれる地域や家庭は選べないのですから、ここは政治が責任を持つべき領域です。
明治維新の頃、地方の下級武士であっても優秀な人材は登用され、それが明治政府の強さを作りました。教育は生きていく力であり、社会や国家を成り立たせる重要な要素です。今こそ「人づくりこそ国づくり」という原点に立ち返り、特に初等教育に力を入れるべきです。
Q. 年金制度の課題についてはどうお考えですか?
今回の年金改革には複数の問題があります。平均寿命が伸びているのに、保険料の納付期間を45年に伸ばすべきだったと思います。寿命が延びているのですから、保険料を納める期間も一定程度延ばすのが合理的です。
また、106万円の壁をなくす代わりに週20時間という新たな壁を作ってしまいました。適用拡大自体には賛成ですが、10年かけて実施するのは遅すぎます。就職氷河期世代の上の年齢層は現在55歳くらいですが、10年後には65歳になってしまいます。
基礎年金については、高所得者への支給を見直すべきです。例えば基礎年金が7万円なら、その半分の3万5千円は税金から支出されています。高所得者への基礎年金を低所得者の基礎年金アップに回せば、世代内再分配が進みます。
Q. 最後に日本経済の課題をどう捉えていますか?
世界経済のあり方が変わりつつあります。自由貿易や多国間主義と民主主義の相性が悪くなっているように感じます。リカードの比較優位論のように自由貿易は世界全体の経済厚生を高めますが、勝ち組と負け組、繁栄する地域と衰退する地域を生み出します。
アメリカではラストベルト(錆びた地帯)と呼ばれる地域で自動車産業や鉄鋼業が衰退し、「忘れられた人々」が生まれました。彼らに寄り添う国内政策がなければ、選挙を通じて反動が起きます。
自由貿易の恩恵と影の部分を丁寧に扱い、弱い立場にある人々にもきちんと光を当て続けることが政治の役割です。そうしなければ、民主主義のプロセスを通じて大きな反動を受けることになるでしょう。