
家賃高騰は続く/賃貸より持ち家がお得な時代に/年収別の住宅購入戦略
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2025年6月20日
実家が大家業を営む三四郎・小宮が不動産をイチから学ぶ「不動産SkillSet」。第3回のテーマは「家の買い時」。後編では、年収別の住宅購入戦略を紹介。 <ゲスト> 三四郎 小宮浩信|実家が大家さん 沖有人|スタイルアクト代表取締役 https://www.sumai-surfin.com/
「家賃高騰は続く」賃貸より持ち家がお得な時代に
不動産は、人生最大の買い物と言われるが、その資産価値は時代によって大きく変動する。持ち家か賃貸か、いつ買うべきか、どこに買うべきかなど、悩ましい判断を迫られる問題だ。そこで不動産の専門家である沖有人氏に、現在の不動産市場の状況と資産形成戦略について伺った。

Q. 持ち家と賃貸、生涯でどれくらいの資産格差が生まれるのでしょうか?
持ち家と賃貸の選択で生じる資産格差は、驚くことに1億円にも達することがある。これは単なる理論値ではなく、実際のデータに基づいた数字だ。
不動産を購入する際、例えば1億円の物件を頭金1000万円、住宅ローン9000万円で購入したとする。近年は金融緩和の影響で不動産価格が上昇傾向にあり、元本返済と価格上昇の相乗効果で大きな含み益が生まれる。

実際に不動産所有者のデータを分析すると、平均12年の所有で7000万円以上の含み益が発生している。一方、その期間賃貸に住み続けた場合は約3000万円の家賃を支払うことになる。この差額だけで1億円近い資産格差が生まれているのだ。
また、日本の高齢者の持ち家率は85%と非常に高い。これは戦後の住宅政策で持ち家を推進してきた結果だが、彼らが資産を築けた理由でもある。
Q. 賃貸は「かけ捨て」と言われますが、本当ですか?
賃貸が「かけ捨て」と言われる理由は明確だ。マンションの利回りは3〜4%程度なので、例えば利回り4%の物件なら、25年間家賃を払い続けると物件価格と同額を支払うことになる。しかし、その間に資産は何も残らない。
一方、持ち家なら同じ25年間の支払いで、物件の半分程度は資産として残る。例えば1億円の物件なら、5000万円ほどの資産価値がある状態になる。
持ち家と賃貸で単純比較すると、月々の支払いが同じでも得られる住居の質が大きく異なる。現在の住宅ローン金利は約0.5%だが、賃貸物件のオーナーが融資を受ける金利は約2%。この金利差が大家の収益となり、賃貸料に反映される。結果として、同じ月額支払いでも持ち家の方が倍近い広さの住居に住める計算になる。
Q. 家賃上昇率が10%と聞きましたが、今後はどうなりますか?
現在、家賃は過去最大のペースで上昇している。不動産投資信託(Jリート)のデータによると、直近の家賃上昇率は11.2%に達している。平均入居期間が4年程度なので、年率換算で2〜3%上昇していることになる。
この上昇トレンドは今後も続く見込みだ。家賃上昇は賃貸物件の稼働率(入居率)と連動しており、現在の稼働率上昇は今後も継続すると予測されている。人口動態や世帯数の予測、住宅ストックの減少などを計算すると、空室率はさらに下がり、在庫も減少する傾向にある。
これは全国的な傾向で、政令指定都市のほとんどで家賃は上昇している(名古屋だけは供給過剰のため例外)。特に人気のあるタワーマンションや新築・築浅物件、駅近物件は家賃の上昇幅が大きくなる傾向がある。
Q. マンションの資産価値を保つための法則はありますか?
マンションの資産価値に関する法則は意外にもシンプルだ。「いつ」「どこに」「どんな物件を」「いくらで」買うかという要素だけで決まる。間取りの細かな違いなどはほとんど影響しない。
現在は価格上昇局面なので、購入するなら「今」がベストなタイミング。3年後には現在検討している物件が買えなくなっている可能性が高い。

「どこに」については、都心部や駅近の方が資産価値は高まりやすい。「どんな物件」については、以下の点に注意するとよい:
1. 大規模マンションの方が有利:新築時に価格が抑えられ、中古になった時に価格が上がりやすい。また管理費や修繕積立金も1戸あたりの負担が少なくなる。
2. タワーマンションの方が有利:低層よりも高層の方が資産価値は上がりやすい。タワーマンションが建てられる立地は価値が高い傾向にある。
3. 面積は標準的なものを選ぶ:ワンルームは投資用と見なされ価格が下がりやすい。一方で4LDKなど大きすぎる物件も需要が限られる。最も需要が多いのは3LDKで70平米前後の物件(全体の約70%を占める)。
「いくらで」については、周辺相場を見極めて適正価格で購入することが重要。新築物件のモデルルームに魅了されて割高な価格で購入することは避けるべきだ。
Q. 年収別に見た住宅購入戦略を教えてください
年収400万円の場合
分譲戸建てがおすすめ。価格は約4000万円で、国道16号線沿いエリア(柏など)が候補になる。月々の返済額は賃貸と同程度(約10万円)だが、住める面積は倍近い(100平米程度)。10年程度住めば資産価値も維持され、必要に応じて住み替えも可能になる。
年収800万円の場合
マンション購入がおすすめ。年収の8倍程度(約6400万円)の物件が購入可能で、23区の外周部(世田谷、杉並、練馬、板橋、足立、葛飾、江戸川など)で70平米程度の物件が選べる。新築にこだわらず、築25年程度の中古物件でも資産価値は十分維持される。
年収1500万円以上の場合
年収の8倍で約1億2000万円の物件が購入可能。23区内の文京区、品川区、目黒区などの準都心エリアを狙える。神田・八丁堀間や山手通り沿いなど、立地のよい場所を選ぶことで資産価値の上昇が期待できる。
Q. 持ち家は住み替えしにくいのではないですか?
多くの人は「持ち家を買ったら35年ローンを払い続ける」と考えがちだが、実際には資産性のある物件なら住み替えは容易だ。ライフステージの変化に合わせて住み替えていくことが理想的で、例えば以下のような流れが考えられる:

1. 独身時代に物件を購入
2. 結婚を機に売却して夫婦向けの物件に住み替え
3. 子どもが生まれたら広い物件に住み替え
4. 子どもが独立したらダウンサイジング
このように10年おきくらいの住み替えが理想的で、実は賃貸と同じくらい柔軟に対応できる。不動産仲介会社に3%の手数料を支払えばほとんどの手続きは代行してもらえる。
住み替え戦略のリスクとしては、不動産価格の下落よりも家族関係の悪化(離婚など)の方が確率的に高いことに注意すべきだ。マンションの値下がりリスクは1割以下だが、離婚率は約3割ある。
Q. 不動産購入を検討している人へのアドバイスはありますか?
不動産、特に自宅を資産として考えることで、生涯で1億円以上の資産格差が生まれる可能性がある。現在は価格上昇局面の最終段階にあり、3年後には現在検討している物件が買えなくなる可能性が高い。
市場がいつ下降局面に入るかについては、引き締め政策などの兆候から3〜6ヶ月前には予測可能なので、適切な情報源があれば資産価値を守ることができる。
結局のところ、住居は誰もが必要とするものであり、それを資産として活用できるかどうかが重要だ。持ち家を選ぶことで、住まいとしての価値と資産としての価値の両方を得られる可能性が高い。
