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仕事の天敵『梅雨の頭痛』に要注意
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2025年6月12日

梅雨の到来で、頭痛や倦怠感、いわゆる「天気痛」を訴えるビジネスパーソンが急増している。なぜ天候で体調は左右されるのか、そのメカニズムと具体的な対策を、天気痛ドクターの佐藤純氏に聞いた。 <ゲスト> 佐藤 純|天気痛ドクター 東海大学医学部を卒業後、名古屋大学大学院で疼痛生理学・環境生理学の研究、そ...
梅雨時期の天気痛、正体は「気圧の変化」?仕事のパフォーマンスにも影響する体調不良の原因と対策
頭痛、めまい、肩こり...梅雨の時期になると体調が優れない日が増えてしまう。これは「天気痛」かもしれない。女性の85%、男性の50%が経験するという天気痛の正体と対策法を専門家が解説する。

Q. 天気痛とは何ですか?
天気痛とは、天気の影響を受ける痛み全般を指します。頭痛、めまい、首や肩の痛み、腰痛、膝痛など様々な症状が含まれます。昔から「気象病」という言い方もありましたが、より馴染みやすい名前として「天気痛」と呼ばれるようになりました。
天気痛は雨が降っている時だけでなく、雨が降る1〜2日前から症状が現れることが特徴です。多くの人が「晴れているのに頭が痛い」と言われても理解されないことに悩んでいますが、実際には前触れとして症状が出ていることが多いのです。
歴史的に見ると、卑弥呼は偏頭痛持ちだったという説があります。彼女は次の日に雨が降ることを事前に察知し、前日に雨乞いを行って雨が降ると、神秘的な力を持つと信じられていたとも言われています。
Q. 最近天気痛が増えていると言われていますが、その理由は何ですか?
天気痛が近年増加している理由はいくつか考えられます。一つは異常気象の増加です。また、コロナ禍での自宅待機によって私たちの自律神経が気温や気圧の変化に適応しにくくなっていることも要因です。
統計では、日本人の10%以上、場合によっては半数の人が天気の影響を受けていると言われています。特に女性は感受性が高く、自分は天気痛かもしれないと考えている人は約85%、男性でも約50%います。さらに2020年から2025年にかけての調査では、天気痛に悩む人は増加傾向にあります。
Q. 職種や年齢によって天気痛の発症率に違いはありますか?

天気痛は外で働く人より、オフィスワーカーに多いという特徴があります。外で働く人は自然環境に順応していますが、室内で過ごす時間が長い事務職や専門職の人は、空調で温度や湿度がコントロールされた環境に慣れているため、自律神経が弱まっています。一度外に出ると、急激な環境変化に体が対応できなくなるのです。
年齢別では20代、30代、40代に多く、ビジネスマンや事務職、専門職など、いわゆるホワイトカラーに多い傾向があります。特にパソコンやスマートフォンを長時間見続ける仕事は頭痛を引き起こしやすいです。
また、東京などの大都市で高層ビルで働く人は注意が必要です。高層階では風の振動が窓に当たり、それによって気圧が微妙に変動することで体調不良を起こすことがあります。高層ビルで働き始めてから体調が悪くなり、退職する人もいるほどです。さらに、高層ビルで働き、地下鉄で通勤し、タワーマンションに住む生活では、一日の中で気圧の変化を何度も経験することになり、敏感な人には負担となります。
Q. 自分が天気痛かどうか、どうやって判断できますか?

天気痛のチェックリストは、「感受性に関する項目」と「体質に関する項目」の2つに分かれています。
【感受性に関する項目】
雨が降る前や降っている時に頭痛やめまいなど体調が悪くなる
もうすぐ雨が降りそうという天候の変化を肌で感じる
梅雨の季節になり、頭痛、めまい、気分の落ち込みなど体調不良の日が増えた
梅雨と湿気が苦手、冷え性である
梅雨の晴れ間で日差しが強かったり気温が急に高くなると体調が悪くなる
【体質に関する項目】
運動不足気味で湿気が苦手である
いつも前傾姿勢や猫背になりがち
元々頭痛持ち、首こり、肩こりがある
顔や足がむくみやすい
日差しが強い屋外で頭痛やめまいが出た経験がある
左側は天気の影響を受けやすい「感受性」についての項目、右側は自律神経の乱れや生活習慣に関する「体質」を示しています。両方の要素が揃った時に天気痛が発生しやすくなります。体質改善によって、感受性があっても症状を軽減できる可能性があります。
Q. なぜ低気圧で体調不良になるのですか?
実は、低気圧そのものよりも「気圧の変化」が重要です。私たちの体は一定の状態には適応しますが、変化に弱いのです。例えば梅雨が1ヶ月続けば、その間に体は慣れていきます。
研究によると、天気痛の人は気圧の大きな変化だけでなく、小さな気圧の「ブレ」に反応していることがわかっています。例えば、台風が南で発生した時点で、小さな気圧の揺れが電波のように日本列島に伝わってきます。これを敏感な人は感じ取っているのです。
また、気温の変化も関係しています。気圧と温度は連動しており、寒暖差が大きい日は気圧も大きく揺れます。この1日の中での気圧変動を感じ取って体調が悪くなる人も多いのです。
Q. 人間だけでなく動物も気圧を感じるのですか?
動物や昆虫も気圧の変化を感知する能力を持っています。鳥は耳の奥の中耳に気圧を感じるセンサーがあり、飛行高度を維持するためにこれを使っています。渡り鳥が集団で移動する際も、天気が崩れる前に察知して行動を開始します。
昆虫の中でも、アリは雨が降る前に巣の入口に砂をかぶせて浸水を防ぐ行動を取ります。これも耳で気圧の変化を感じているからだと言われています。カエルが梅雨時期に鳴くのも、気圧の変化を感じて雨が降ることを予測し、乾燥から身を守るために地上に出てくるためです。
このように、動物や昆虫が気圧を感じる能力を持っているのに、同じ生物である人間だけがそれを持っていないというのは生物学的に考えにくいことです。
Q. 耳と天気痛にはどのような関係がありますか?
人間の耳の構造は天気痛と密接に関係しています。耳の奥には鼓膜があり、その後ろには中耳という空気の層があります。この中耳は耳管を通じて喉の奥につながっています。
鼓膜は外からの音波を振動に変え、耳小骨を通して内耳に伝えています。飛行機に乗った時や高速エレベーターで上昇した時に耳がツーンとなるのは、この仕組みが関係しています。
気圧の変化は鼓膜を通して内耳に伝わります。内耳は側頭骨という骨の中に埋まっているため、気圧の変化が伝わるルートは中耳側からしかありません。この内耳での気圧変化の感知が天気痛のメカニズムの一部となっています。
Q. 頭痛にはどのような種類がありますか?
頭痛には主に「偏頭痛」と「緊張型頭痛」があります。
偏頭痛は血管性の痛みで、ドクンドクン、ズキズキという脳の血管が拡張することによって痛みが出ます。三叉神経という顔や口、鼻、耳などに分布する神経に刺激が入ることでこのメカニズムが作動します。光、音、匂い、味などの刺激も偏頭痛の引き金になります。
偏頭痛持ちの人は朝調子が悪いことが多く、暗い部屋で目を閉じてじっとしているのが一番楽だと感じます。コーヒーなどに含まれるカフェインは血管の拡張を抑える効果があり、痛みを和らげることもあります。市販の痛み止めにカフェインが含まれていることもあるのはこのためです。
一方、緊張型頭痛は筋肉の緊張によって起こる頭痛で、肩こり頭痛や首の後ろの痛みとして現れます。仕事をしているうちに肩が凝り、徐々に頭痛が出てくるタイプで、夕方や夜に痛みを感じることが多いです。

Q. 天気痛の3大要素とは何ですか?
天気痛の3大要素は「内耳」「脳の過敏性」「自律神経」です。
内耳には気圧を感じるセンサーがあり、これが気圧の変化を捉えます。内耳が興奮すると三叉神経が刺激され、頭痛が生じるだけでなく、肩こりや腰痛などの症状も出ることがあります。
脳の過敏性は、繰り返し天気の影響を受けることで脳が過敏になり、より症状が出やすくなる状態です。頭痛薬を頻繁に飲む人は、1ヶ月に10日以上薬を飲むと、どのような薬も効かない頭痛が作られてしまうことがあります。これを「脳過敏症候群」と呼ぶこともあります。
自律神経は体を活発にする交感神経と、休息時に活躍する副交感神経のバランスで成り立っています。本来は昼間は交感神経優位、夜は副交感神経優位というサイクルがありますが、現代人はストレスが多く、交感神経が高まりがちです。このバランスの乱れが天気痛の症状を悪化させます。
Q. 天気痛を軽減するためにはどうすればいいですか?
天気痛を軽減するためには、以下の対策が有効です:
1. 梅雨の始まり2週間くらいは、意識的に汗をかく練習をしましょう。お風呂に入って湯船でゆっくり温まったり、サウナを利用したりするのも効果的です。
2. 姿勢を改善し、首や肩のこりを軽減するために適度な運動を行いましょう。
3. 偏頭痛の人は、朝食を摂り、午前中に日光を浴びてセロトニンを増やすことが重要です。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、体を活性化させます。夜になるとメラトニンに変化して眠りを促すので、生活リズムを整えるのに役立ちます。
4. ブルーライトカットメガネの使用も検討しましょう。パソコンやスマートフォンから発せられるブルーライトは頭痛の原因になります。
5. 頭痛薬の過剰使用に注意しましょう。頻繁に薬を飲むと逆に効かなくなることがあります。
天気痛は感受性と体質の両方が関係しているので、体質改善に取り組むことで症状を軽減できる可能性があります。