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実践!どこでもできるイス坐禅
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2025年6月12日

多くの有名経営者が禅やマインドフルネスの考え方を日常に取り入れている。なぜ、ビジネスパーソンは禅が必要なのか? 740年以上の歴史を持つ臨済宗円覚寺派のトップである横田南嶺氏に、どこでもできるイス坐禅について話を聞いた。 <ゲスト> 横田南嶺|臨済宗円覚寺派管長/花園大学総長 1964年和歌山県生...
忙しい現代人にイス坐禅のススメ 横田南嶺管長に聞く「心と体を整える」秘訣
忙しい現代社会に生きる私たちにとって、日常の中で心と体のバランスを保つことは容易ではありません。スマートフォンやパソコンに向かう時間が増え、肩こりや腰痛などの身体的不調を抱える人も少なくありません。そんな現代人に向けて、臨済宗円覚寺派管長の横田南嶺氏が「イス坐禅」を提唱しています。禅の世界で長年修行を重ねてきた横田氏に、イス坐禅の魅力や実践法について聞きました。

Q. イス坐禅とは何ですか?
椅子に座って行う座禅です。一般的な座禅では足を組みますが、慣れないうちは足が痛くなることがあります。座禅の本質は日常の暮らしの中にあります。全の修行の特徴として、日常の暮らしそのものが修行だという考え方があります。
現代人の姿勢を見ると、パソコンやスマートフォンを使用することで肩が前に巻き、首が前に出てしまいがちです。そうした姿勢だけでも首や肩が凝ってしまいます。姿勢を整えるだけで気持ちよく仕事ができるようになります。姿勢を変えることで感情や心も変わってくるのです。
Q. 横田さんはどのようにして禅と出会ったのですか?
私はお寺の生まれではなく、和歌山県新宮市で育ちました。座禅を始めたのは10歳の頃です。子どもの頃からお寺に行って座禅をして、「これだ」と思いました。
その背景には、2歳の時に身内を亡くし、お葬式に出るという体験がありました。また、小学生の時には同級生が白血病であっけなく亡くなるという出来事もありました。死の問題が身近にあったのに、学校では教えてくれませんでした。座禅に行って禅のお坊さんを見た時、この人は死の問題を解決しているような感じがしたのです。これをやっていけば問題が解決するのではないかと思いました。
Q. 現代のビジネスパーソンにとって座禅がなぜ必要なのでしょうか?
現代人は多くのことを同時に処理する「マルチタスク」をこなすことで、頭だけが空回りしてしまいがちです。そうすると体の感覚が鈍くなってしまいます。生きているということは体が生きているということです。単純に言えば、息を吐いて吸っているだけです。人間はそれだけで生きています。

しかし現代人は「あれもしなければ、これもしなければ」と追い回されている感じがします。そんな時に座禅は、ただ呼吸をすることに集中します。「これで十分生きている」という大きな安心感になり、自分を支えてくれるものになるでしょう。
Q. マインドフルネスと座禅の違いは何ですか?
マインドフルネスはジョン・カバットジンさんが仏教や禅を学び、その体験をもとに宗教色を排除して作り出した方法です。共通している部分はかなりあります。禅でも「今ここ」を見つめる訓練をします。
しかし、人間は「今ここ」だけでは生きられません。過去にあった人のことを覚えていないと、次に会った時に「この前はありがとう」と言えません。未来のことも考えないと困ります。「今ここ」に集中することは心の整理として大事なことですが、それにとどまることはありません。過去があっての今の自分であり、今の自分が未来を作っていきます。過去も未来も繋がりの中に自分を考えていくことが大事だと思います。
Q. 忙しいビジネスパーソンが日常生活にイス坐禅を取り入れるコツはありますか?
基本的にはどこでもできます。しかし最初は場所を考えた方がよいでしょう。椅子さえあれば、どんな場所でも、静かな時間があればできます。

私がイス坐禅を研究して一番助かったのは、移動が楽になったことです。新幹線や飛行機、バスなどの移動時の姿勢、椅子の座り方を研究したことで、長時間の移動でも全く苦痛がなくなりました。新幹線で東京から京都まで2時間乗っても苦痛がありません。インドを旅行した時も、バスで7〜8時間乗っても疲れませんでした。
また、ある講演会で厳しい質問をされた時も、自分の体を整えることで取り乱さずに済みました。感情をコントロールするのは難しいですが、体からアプローチして土台が安定していれば心も落ち着きます。椅子に座って瞬時にできるのはとても便利です。
Q. イス坐禅の実践方法を教えてください
イス坐禅の基本的な流れは4つのステップからなります。
1. 首と肩を整える:現代人はデスクワークが多いため、肩が前に出て首が落ちてしまっていることが多いです。まずは首と肩を整えます。
2. 足の裏を刺激する:足は体の土台になります。革靴を履いて仕事をしていると足の感覚がなくなりがちなので、足の裏を刺激します。
3. 呼吸筋を調整する:呼吸は肺に空気が入り、肺から空気が出ていく運動です。肺は自分で動かせないので、周りの筋肉を使って肺を膨らませたり縮めたりします。
4. 腰を立てる:仙骨を意識して腰を立てます。
準備が大事で、これらのステップを踏むことで、単に椅子に座っているだけではなく、心身ともに整った状態になれます。

実際の座禅では、両足はしっかりと床を踏み、手は膝の上に置き、目は軽く開いた状態で自分の呼吸に集中します。呼吸を操作しようとするのではなく、ただ空気が入ってくる感覚、出ていく感覚を味わいます。
生きているということは呼吸をしていることです。この呼吸をしているだけで十分自分は生きているのだと、単純なことを感じる時間を作ります。
このイス坐禅の実践を通じて、心と体のバランスを整え、日常生活をより穏やかに過ごせるようになるでしょう。