PIVOT TALK FOOTBALL
DAZN Japanの笹本CEOを質問攻め(後編)
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2025年6月15日

DAZN Japanは今後どんな戦略を描いているのか?どうJリーグの価値を上げようとしているのか?CEOの笹本裕CEOをPIVOTレギュラーメンバーが質問攻めした。 <ゲスト> 笹本裕|DAZN JAPAN CEO兼アジア事業開発 1988年獨協大学法学部卒業後リクルートに入社、その後MTVジャパ...
DAZN JAPAN CEOに聞く、スポーツ産業の未来とJリーグ価値向上の秘策
サッカー視聴者が野球よりも多いDAZNジャパン。日本のスポーツ産業を拡大し、Jリーグの価値を高めるために、どのような施策を展開しているのか。DAZN JAPAN CEOの笹本裕氏に話を聞いた。

Q. Jリーグの価値をDAZNとJリーグでどう高めていく考えか
Jリーグの価値向上については、クラブワールドカップが一つの転機になることを期待している。我々のゴールはJリーグと共通しており、Jリーグのファンベースを増やし、Jリーグの質を向上させ、世界的に日本のサッカーがさらに進化していくことだ。

そのための起点はJリーグで作られるべきだと考えている。それが結果的に私たちのビジネスにも還元される。クラブワールドカップは優勝すると176億円、出場するだけでも14億円が入る計算になるため、クラブ経営として有効に使える資金になる。
DAZNでそれを配信する意義は、世界で戦うJリーグのレッズが活躍し、優勝して資金を獲得することで、より良い選手を日本に連れてきたり、日本の育成に力を入れたりできること。さらに映像の見せ方など様々な部分に循環していく可能性がある。
Q. DAZNジャパンでは野球とサッカー、どちらのユーザー比率が高いか
サッカーの視聴者が多い。DAZNにとってサッカーはホームであり、サッカーにとってDAZNがホームであってほしいと考えている。
日本でサッカーは根付いており、私たちの主張としても非常に大きなウェイトを占めている。日本ローカルで見ても必要不可欠な存在だ。

Q. DAZNの月額値上げについて、どう考えているか
日本のスポーツ産業は約13兆円と言われているが、アメリカは76兆円の産業になっている。人口比率で考えると全然差がある。
日本のスポーツ産業を17兆円、20兆円と成長させるポテンシャルがあるなら、お金の循環をどう作っていくかが重要だ。私たちはJリーグに投資し、野球にも投資している。他にもこれから投資していく。それも先行投資だ。

この投資は選手や球団経営に使われ、それがさらにファンを増やしていく循環するものだと考えている。もちろん、それが4,200円という月額料金に転嫁されているという見方もあるかもしれないが、日本のスポーツ産業が成長することでファンにとっても様々な選手が入ってきて、より豊かな質と量で見られるようになっていく。少しマクロで見ていただけると、その背景をご理解いただける部分もあると思う。
Q. 野球パックはあるのに、なぜサッカーパックがないのか
サッカーパックについては検討している。様々な検証が必要で、まず野球パックを始めたのは、本丸のサッカーをどう扱っていくかを考えた時に、データを取るために良いスタートだったからだ。
ただ、最近のドコモとの提携でドコモマックスの中に入ってくるなど、様々な要素が重なってくるため、どれが本当に良い選択肢になるのかシミュレーションをもう少し行う必要がある。

サッカーは各リーグごとに権利が分かれているため、なかなか難しい面もある。プレミアリーグなども権利料が高騰しており、本当の意味でのフルサッカーパック提供は容易ではない。
Q. サッカーパック導入のビジネス的な課題は何か
サッカーパックを作れば、現在高額プランに入っている人がサッカーパックに移る可能性があり、それは減収になる。一方で、サッカーパックがあれば現在加入していない人たちが入ってくるため増収になる。どちらが大きいかは実際にやってみないと分からず、経営判断として慎重にならざるを得ない。
また、サッカーのAFCとの契約がワールドカップ予選で言えば今大会で終わるため、次のAFCだけでなく様々なサッカー関連の権利をアグレッシブに取得する必要がある。そうした権利が増えてくれば、サッカーパックを作らなくても全体で見るとリーズナブルに感じてもらえる可能性もある。
Q. UIが変わって使いづらくなったという声があるが
ユーザーから「お気に入り登録していたチームが一番上に出てこなくなった」という声がある。アプリには星マークがあり、それをクリックするとお気に入りが表示される仕組みになっているが、より分かりやすくする必要がある。
究極的には、ユーザーの行動履歴からお気に入りを判断して適切に表示できるようにすることを想定しているが、まだキャッチアップできていない。これは日本のローカルだけでは解決できない課題でもある。
ただ、DAZNはグローバルでプロダクトを出している会社の中でも非常に柔軟性が高い。例えば「モーメントブースター」という機能は、AIでゴールシーンやレッドカードのシーンを自動的に抽出してXでシェアできるもので、これは日本発の世界プロダクトだ。
DAZNの中で日本は最も歴史が長く、日本の利用者は非常にギークで意見が世界のプロダクトに参考になることが多い。日本からフィードバックしていくための組織を作りつつあり、そこが機能すれば日本発の改善が世界で使われるようになっていくこともあるだろう。
Q. スポーツ産業全体を拡大するために、スポーツベッティングは核になると思うか
そういう方向性だと思う。スポーツベッティングには様々な報道のされ方があり誤解もあるが、スポーツの見方が全く変わってくる。ベッティングはスタッツの見方一つでスポーツの見方の深みが変わる。
オンラインカジノとスポーツベッティングは違うものだと考えているが、まだ誤解されている部分もある。ただ、お金が動くというだけでなく、それがあるからこそ試合の模様を見たくなり、試合映像のクオリティが上がっていかなければならないなど、様々なところに繋がってくるため、非常に重要な柱だと思う。
Q. Jリーグへの投資から回収を得るための方法は
各クラブチームとファンクラブとセットで年間契約を購入すると割引になる取り組みを行っている。また、「推しかつ」の要素も重要で、特定の選手だけを見たいという映像をどう作り出していくかを機能的に実験している。
試合の中である選手だけのシーンを切り取るのは人的に行うと全試合分は不可能なので、AI技術の力が必要だと考えている。これは現在テスト中だ。また、チームごとのコンテンツという視点も重要だ。
Q. 組織運営として、部署間の連携をどう進めているか
就任してからの1年間は、社内の様々な人間や動き、そして社外のステークホルダーとの関係構築に注力してきた。日本だけでなくアジアも責任範囲にあるため、「人・物・金」の観点から、連携するための仕組み作りと基盤整備を行ってきた。

これからは、私が指示しなくても社員が能動的に自走できる組織にするため、定性的にも定量的にも可視化できる仕組みを導入する準備をしている。各部署の専門性を尊重しながら、全体として協力できる体制を目指している。