PIVOT TALK FOOTBALL
(149)
5,223回視聴
2025年6月2日

2024-25シーズンが幕を下ろした欧州サッカー。新たなトレンドは何か?注目選手・監督は誰か?そして、日本人選手をどう評価するか?PIVOT FOOTBALLレギュラーメンバーに語ってもらった。 <ゲスト> 木崎伸也|スポーツライター 1975年、東京都生まれ。2002年夏にオランダへ移住。翌20...
「三笘選手は過去最高のパフォーマンスを見せた」「佐野選手はデュエル数でブンデスリーガ6位」「久保選手の移籍先はニューキャッスルがいいのでは」―サッカー界の専門家たちが2023-24シーズンの欧州日本人選手を徹底評価した。

三笘選手のパフォーマンスはこれまでの中で最高と言えるだろう。10ゴールを記録し、安定感と突破力を両立させた。以前は「抜けなくなった」と言われたが、それは2人のディフェンダーにマークされるほど警戒されるようになったためで、そうした状況下でもドリブルを選択肢の一つとして、周りを活かすプレーができるようになった。
守備の貢献度も異常に高い。ヒュルツェラー監督との出会いが三笘選手にとって良い影響を与えた。監督はドイツ人らしく、高い守備意識を求め、中に入ったプレーも増えた。例えばセンターバックが持ち上がった際に、サイドバックとセンターバックの間に走り込むなど、ある意味ストライカーのような動きも見せるようになった。

三笘選手はクリスティアーノ・ロナウド化していくのではないかという見方もある。ロナウドも最初はサイドアタッカーとしてドリブルを駆使していたが、レアルマドリード移籍後はストライカー的な役割が求められた。三笘選手も自分のキャリアを長く高いレベルで維持するために、そういった方向にシフトしていくのは理にかなっている。
また、今シーズンはプレミアリーグで初めて左足のシュートを決めた。右足でプレーすることが多かったが、ブライトンでは左足のクロスの練習も行っており、より完璧な選手を目指している。
アーセナルかバイエルンミュンヘンの噂が出ているが、バイエルンにはひとつ懸念材料がある。アリアンツアレーナの芝がハイブリッドで、過去に多くの選手が腰を痛めている歴史がある。10年前にペップ・グアルディオラの時代にもハイブリッド芝で失敗した経験がある。三笘選手の場合も腰の怪我を考えると、現状では未知数のリスクを取るのは冒険かもしれない。
一方、戦術的な適合性で言えば、バイエルンは右ウイングにレロイ・サネがいるが、左のアウトサイドには新戦力を求めており、そこが最重要補強ポイントとなっている。バイエルンの候補には三笘選手のほか、ラファエル・レオンとレロイ・サネの3人が挙がっている。
アーセナルについては、左ウイングにはすでにマルティネッリという守備にも貢献でき、前にも仕掛けられる選手がいる。トロサールという相手を見ながら中央もサイドでも重要なゴールを取れる選手もいる。このように左が充実している中で三笘を獲得するというのは、試合数の多さを考慮してのことだろう。
まだ報道には上がっていないが、適合しそうなチームはほかにもある。バルセロナはフィットするだろうし、マンチェスター・ユナイテッドも監督のアモリムが日本人選手のコミットメントを評価している。5-2-3のウイングバックで仕掛けられて守備もできる選手は珍しいので、どこに行っても適応できる能力を持っている。
遠藤選手はクローザーとしての地位を確立した。チームを守備的に安定させる新しい形を作り、トロフィーを掲げる価値のある活躍だった。
日本のアンカーに求められる特徴と、リバプールの監督スロットが中盤に求めるキャラクターには違いがある。スロットは圧倒的なボールキープ力を求めるが、遠藤選手の特徴は守備の堅さにある。比較対象がグラベンベルクやマクアリスターになると、そこは遠藤選手の持ち味ではない。
それでも、サッカーのスタイルが変わった中で、本来なら使われないかもしれない選手を「この選手は使うべきだ」とスロットの考えを変えさせたことは評価できる。来シーズンはサイドバックや中盤の役割も期待できるかもしれない。
ただ、遠藤選手の年齢を考えると、今後のことも考える必要がある。年齢を重ねると、試合に出られなくなることで体力が落ちるという悪循環に陥りやすい。試合で鍛える体力は試合でしか培えず、年を取ると怪我の治りが遅くなり、疲れも抜けにくくなる。そういった点を考慮すると、もっと出場機会のあるチームへの移籍も検討すべきだろう。
今シーズンの活躍を考えると、胸を張って移籍できる状況にある。プレミアリーグの中堅クラブが良いだろう。遠藤選手自身もプレミアリーグでプレーすることを夢見ており、監督から直接誘われるチームが理想的だ。
鎌田選手の評価は難しい。シーズン途中の苦しい時期に、他の選手が出た方が良いと自分で考え、チームの役割を意識していた。負けている時はボランチに入ってより攻撃的に、勝っている試合ではツーシャドウの一角に入ってカウンターから2点目3点目を狙うなど、監督からしたら使いやすい選手だった。
最初は期待されてつなぐサッカーで入ったが結果が出ず、サッカーが変わってからはベンチになった。しかし最後には盛り返した。これはウォートンという選手が変わったことが大きい。ウォートンは以前は鎌田と似たタイプの選手だったが、イングランド代表U-21に選出されてから強度を出すようになり、鎌田とのバランスが取れるようになった。
また、前線の選手の運動量も上がり、鎌田は自分の仕事に集中できるようになった。守備の立ち位置を気にしながら、攻撃ではテンポを悪くしないよう配給するというプレーができるようになった。
FAカップでマンチェスター・シティに勝って優勝したことも大きな功績だ。5バックでの守備とカウンター攻撃という、マンチェスター・シティが最も苦手とする戦い方をして勝利した。
レアル・ソシエダで久保選手ができることは高水準でこなしていた。攻撃面では監督の求めるものを満たしているが、守備面では不満があるようだ。守備をまったくしていないわけではないが、絶対的な立ち位置ではなく、試合によって出たり出なかったりしている。
現在の監督はプレスにこだわる人で、久保選手のアレンジ力が気に入らない瞬間があるようだ。右ウイングでありながら、メッシやサラーのように守備の時に2トップの一角だったり前に残っていたりする特別扱いを、久保選手にも与えた方が良いと思われる。それは久保選手からしかチャンスを作れないプレーがあるからだ。

しかし監督は久保選手にも徹底して戻ってサイドバックをサポートするよう守備を求めている。久保選手は数字を残すという義務があるからこそ、攻撃に力を残そうとした側面もある。
これに関しては、久保選手は移籍を望んでいると思われる。代理人事務所を変えたことからも窺える。しかし、行きたいクラブであるレアル・マドリードは厳しく、レアル出身選手はバルセロナに行けない契約になっているため、プレミアリーグが次の選択肢となる。しかし、5ゴール0アシストという成績では引き手が限られる可能性がある。
ニューキャッスルは適合性が高いチームだろう。ニューキャッスルには左利きの右ウイングが求められており、三笘選手と似たような特徴を持つ久保選手はフィットするだろう。
ドルトムント戦の評価は非常に高い。34試合全て出場し、10ゴールを記録した。シーズン全試合出場は、1982-83シーズンの奥寺以降、多くの選手が挑戦しても達成できなかった偉業で、ドルトムント戦はビアレフェルト時代に続いて2度目の達成となる。

攻撃のポジションながらデュエル数・勝利数でブンデスリーガ6位という驚異的な守備の貢献度を見せた。さらに今シーズンからパーソナルトレーナーを変え、裏に飛び出す動きが増えた。そのため相手も裏を警戒するようになり、ボールを持つ際の優位性が変わった。その結果、ゴール数が10、アシストも8と倍増し、ゴールに絡む回数が圧倒的に増えた。
彼の特徴は、分かりやすい穴がないことだ。試合を見ると、サイドバックのように下がって守備することもあり、そのハードワークぶりが監督に評価されている。ハードワークをしながらも攻撃でパフォーマンスを出す両立ができている。
移籍先としては、ドルトムントの線がアデミの契約延長でほぼなくなったと思われる。フランクフルトが有力候補だろう。