TOP TALK
三菱地所は世界一になれるか?
(487)
1.1万回視聴
2025年5月30日

世界一のディベロッパーを目指して、「2030年の事業利益4000億円、ROE10%」を宣言した三菱地所。お膝元の丸の内をどう進化させるのか?米国を軸とした海外事業でどう稼ぐのか?成長戦略について中島篤社長に聞いた。 <ゲスト> 中島 篤|三菱地所 社長 1986年 東京大学法学部卒業後 三菱地所に...
「丸の内を100年先も世界トップの街に」三菱地所・中島篤社長が描く未来構想
過去20年で大きな変貌を遂げてきた丸の内。
三菱地所の中島篤社長が、東京の中心地区をどのように進化させていくのか、ビジョンを語った。
世界一のデベロッパーを目指す同社が考える都市開発の未来像とは?

Q. 丸の内エリアは今後どのように進化していくのでしょうか?
これまで丸の内は大企業の街というイメージが強かったかもしれませんが、
今後はそれだけではなく、イノベーションを生み出していく場所になっていきます。
大企業とスタートアップの融合を促進し、街全体での魅力向上を図っていきます。
カルチャーやアートといった側面も含めて楽しんでいただける街、そして世界に向けて東京、日本の魅力を発信していける街にしていきたいと考えています。
Q. 丸の内に現在求められているオフィスニーズはどのようなものですか?
企業が成長志向を強めていることを実感しています。
オフィスへの投資は、新しい事業を伸ばしていくための投資であり、
そこで生産性を上げて新しいビジネスを生み出していくためのツールだと考えられるようになってきました。
高機能のオフィスに関しては非常に需要が高い状況です。
背景には、企業が人材確保に苦心している中で、
イノベーションを起こして成長していかなければならないという考えが広がっていることがあります。
オフィスはかつてコスト削減の対象でしたが、今は人材獲得や新しいビジネス創出のための投資と捉えられるようになっています。
Q. 丸の内のビジネス環境はどのように変わってきていますか?
街全体をワークプレイスとして捉え、エリア全体で価値を生み出していくことを目指しています。
その一環として、フレキシブルオフィスやスタートアップ向けの施設を増やしてきました。
現在、丸の内エリアには約200社のスタートアップが入居しています。
これまでとは異なり、カジュアルな服装での勤務も広がっています。
三菱地所の社員の中でもTシャツやスニーカーを履く人が増えてきました。
丸の内といえば堅いイメージがありましたが、そうした固定観念も変わりつつあります。
Q. スタートアップ誘致に力を入れる理由は何ですか?
イノベーションを生み出す力があるからです。
日本経済が変わり始めている兆候の一つが、大企業もイノベーションを起こさなければならないという意識の高まりです。
コスト圧縮で利益を出す局面から、新しいものを生み出していく段階に変わってきています。

スタートアップ誘致は単にスタートアップに来てもらうことが目的ではなく、
それによって既存の企業のイノベーションを促進したり、大企業とスタートアップの融合を図ったりすることで、
日本全体として新しい動きを作りたいと考えています。街の価値も上がり、日本経済全体の活性化にもつながるでしょう。
Q. 丸の内エリアはスタートアップには敷居が高いのではないですか?
実際にはスタートアップ向けの施設を用意し、スタートアップのニーズに合わせた面積や価格設定をしています。
価格面での障壁はそれほど大きくないと考えています。
むしろ課題は丸の内のイメージです。丸の内は大企業の街、成熟した街というイメージがあり、
成長途上のスタートアップには縁遠い場所と思われがちです。
渋谷などがスタートアップの街として認識されているのに対し、丸の内はまだそうしたイメージ転換の途上にあります。
しかし大企業もイノベーションを求めており、スタートアップとの連携を望んでいるため、
そうした魅力を発信していくことで、徐々にイメージも変わっていくでしょう。
Q. 三菱地所が推進するクロスリンクシリーズはどのような施設ですか?
クロスリンクはフレキシブルオフィスと呼んでいるもので、従来の定期借家契約とは異なり、
小規模面積での利用や短期間での利用が可能な施設です。現在丸の内で7件目を展開しています。
スタートアップをターゲットにした施設も別途用意しており、いくつかのテーマに分けて施設を増やしています。
こうした施設にはカジュアルな服装で利用できるなど、従来の丸の内のイメージとは異なる柔軟性を持たせています。
Q. 東京駅前の常盤橋タワーにはどのようなビジョンを込めていますか?
常盤橋タワーは、大手町・丸の内・有楽町エリアの中でも特に規模感のある開発です。
オフィスを中心としながらも、賃貸住宅やホテル、ホール、低層部には商業施設なども入れて、街として魅力ある施設にしていきたいと考えています。
また、東京という立地ながら、地方との連携によって地方の魅力も発信していくことを目指しています。
世界に向けて東京・日本の魅力を発信できる街にしていきたいと考えています。
Q. グラングリーン大阪の設計思想はどのようなものですか?
グラングリーン大阪は「緑とイノベーションの融合拠点」をテーマにしています。
公園といった人が集まれる場所、そして緑といった要素と、イノベーションの要素を組み合わせて、様々な社会的価値に応えられるものを作ることを目指しました。

結果として、企業の方々にも評価されています。緑が視界に入る環境や、中央の広場でイベントができることなど、様々な魅力があります。
デベロッパーとしては容積率を上げて建物を増やす方が経済効率は良いのですが、オープンなエリアも作ることで全体の価値を高めています。
このバランスが重要だと考えています。
Q. 丸の内の強みは何ですか?
最大の強みは皇居があることです。この借景は最強の資産です。東京駅と皇居に挟まれたエリアという立地は非常に恵まれています。
さらに今後は有楽町側の開発も進めていく予定です。有楽町は文化やアートの要素も強く、銀座エリアや日比谷とつながるエリアでもあるため、
これまでとは少し異なる切り口で開発を進めていくことになるでしょう。
Q. 海外事業については今後どのような戦略で臨みますか?
現在の主軸は米国です。社会経済や不動産業を行う上での制度、投資市場の整備度合いを考えると、
米国は先進国でありながら人口も増加している魅力的な市場です。
2030年には海外事業の営業利益として900億円を目指しており、これは全社目標4000億円の約4分の1を占める規模です。

また、不動産投資マネジメント事業も拡大していきます。
米国、欧州、アジアの3拠点でファンドビジネスを展開しており、これらを有機的に結びつけて、
デベロッパー出身の不動産ファンドとしては世界一を目指しています。
2030年までに運用資産10兆円という目標を掲げており、これが実現すれば世界トップ10〜20には入れるでしょう。
Q. 世界一のデベロッパーを目指す上で最も重要なことは何ですか?
利益や時価総額といった数字も重要ですが、世界各地でリスペクトされる不動産会社になることが目標です。
何かあった時には三菱地所に関わってほしい、参加してほしいと思われるような存在になりたいと考えています。
そのために最も重要なのは人材です。自分をきちんと育てられて、かつ他の人たちを巻き込む力を持った人材が必要です。
日本で圧倒的なナンバーワンになるためにも、こうした人材の育成が不可欠だと考えています。