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ハーバード・イェール。世界トップ大学生の最新就職事情
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2025年5月18日

米国でも若年層の失業率が上昇する中で、ハーバード、イェールなどトップ大学生の就職はどう変化しているのか?どの業界が人気なのか?日本での就職を狙う学生が増えているのはなぜか?トップ大学の就職に詳しいJelper Clubの光澤大智社長に聞いた。 <ゲスト> 光澤大智|Jelper Club 代表取締...
世界トップ大学生の就職先が激変、リーマン後の就職率に匹敵する厳しさ
かつてハーバード大学やイェール大学といった世界のトップ大学を卒業すれば、引く手あまたと思われてきた。しかし現在、その常識が覆されつつある。米国では若手大学卒業者の失業率が5.8%に達し、全労働者平均の4.0%を上回るという異常事態が起きている。これはリーマンショック後の水準に匹敵する数字だ。
世界トップ大学の学生と日本企業をマッチングする採用プラットフォーム「Jelper Club」代表取締役の光澤大智氏に、最新の就職事情について聞いた。

Q: 世界トップ大学の就職率はどうなっていますか?
過去10年間でハーバード大学とイェール大学の学部卒業生の就職率は、どちらも最低水準になっている。2014年にはハーバード大学が70%、イェール大学が61.6%だったのに対し、2024年はハーバード大学が56%、イェール大学が58.7%まで下落した。
これは一般的なイメージと大きく異なる現実だ。現在、ハーバード生も就職に苦労しており、厳しい学業と並行しての就職活動にプレッシャーを感じている学生が多い。また、内定が決まっても後に取り消しになるケースも報告されている。
就職していない残りの学生のほとんどは大学院へ進学するが、一部はギャップイヤーを取って再度就職活動をしたり、自分探しの旅に出たりする傾向もある。特に最近はロースクールへの入学者が増加しており、ビジネス志向の学生がロースクールに進む現象も見られる。
Q: 米国における失業率はどうなっていますか?
2025年3月時点で、米国の若手大学卒業者の失業率は5.8%となっており、全労働者の失業率4.0%を上回っている。この数値はリーマンショック後の2009年2月の水準に匹敵する。
コロナ以降、この傾向が続いており、単純に言えば「大学に入るコスパが悪い」状況になっている。過去25年でも、若手労働者と若手大学卒業者の失業率の差が最も縮まっているのが現状だ。

この背景には複数の要因がある。まず、コロナ後にベビーブーマー世代の大量退職が起き、慢性的な人手不足が生まれた。その一方で、若手が好むIT業界や金融業界はコロナ後に急拡大し、多くの新卒を採用した。しかし通常の経済状態に戻る中で人員過剰となり、新卒採用が縮小している。さらに最近では生成AIの影響で、特にテック業界やコンサルティング業界での新卒需要が減少している傾向がある。
Q: 留学生の就労ビザ事情はどうなっていますか?
米国のトップ大学には約20%の正規留学生がいるが、彼らの就職状況はさらに厳しい。大学卒業後に米国で働くために必要なH-1Bビザの取得が年々難しくなっている。
H-1Bビザは大学卒業後の実務訓練期間(OPT)を経て申請できる就労ビザだが、その申請に向けた抽選の当選率は年々低下している。申請者数が増加する中、当選率は減少傾向にあり、2025年度も改善幅はわずかだ。

また、前トランプ政権時(2017-2020年)のH-1Bビザの審査却下率は平均11.6%で、バイデン政権時(2021-2024年)の平均2.4%より9.2ポイント高かった。トランプが再び大統領になることで、この却下率が再び上昇する可能性が高い。
特に新政権では、イーロン・マスクのようなH-1Bビザ支持派が政権から離れ、強硬な反対派が中枢を握っている。そのため、H-1Bビザの審査却下率は前回のトランプ政権時よりもさらに上昇する可能性がある。
企業側もH-1Bビザの取得が前提の採用には慎重になっており、同等のレベルであれば現地学生が優先される傾向がある。そのため、アメリカの大学に通う正規留学生、特にアジアからの学生は今後アメリカから出ていく可能性が高い。
Q: トップ大学生の人気就職先はどう変化していますか?
トップ大学生に人気の就職先は主に金融、コンサルティング、テックの3業界だが、その割合に変化が見られる。最も顕著な変化はコンサルティング業界の縮小で、ハーバード大学もイェール大学も2016年以降で最低の就職割合となっている。
この背景には、M&A減少による採用縮小と、生成AIによる業務代替への不安がある。多くの学生が生成AIを活用しており、特に裕福な家庭の留学生はChatGPTの上位プランを利用している。彼らはコンサルティング業務が生成AIに代替されるのではないかという不安を抱えている。

一方、金融業界、特にヘッジファンドやプライベートエクイティは、最近の為替や株価のボラティリティによって利益機会が増え、採用を増やす傾向にある。新卒でもヘッジファンドやPEファンドに採用される可能性があり、特にアナリスト職は顧客対応能力が重視される傾向にある。
また、新興分野としてはバイオ業界や製造業が台頭している。特に軍事産業やディフェンステック関連の採用が増えており、これはトランプ政権の政策方針とも一致している。
Q: アメリカの学生が就職先を選ぶ際に重視することは何ですか?
アメリカの学生が就職先を決める際に最も重視しているのは「雇用の安定性」だ。これは従来の「ガツガツした」アメリカの学生像とは大きく異なる傾向である。
コロナ以前までは自信に満ちた学生が多かったが、コロナ後は雇用の安定性を求める保守的な思考の学生が増えている。特に2024年卒や2025年卒の学生は、大学入学準備中にコロナの影響を受け、計画変更を余儀なくされた経験から、安定志向が強くなっている。
また、「勤務地が家族の近くにあること」も重要視されている要素だ。これは政治的な不安定さも背景にあり、少なくともトランプ政権下の2028年までは、安定性を重視する傾向が続くと予想される。
この傾向は特にアジアからの留学生にとって重要で、家族との地理的距離が近く、雇用の安定性が高い日本は魅力的な選択肢になり得る。特に中国からの留学生は、アメリカで働けない場合に母国に戻ることに抵抗を感じる傾向があるため、日本での就職を検討する学生が増えている。
日本のメンバーシップ型雇用は、実は世界トップ学生の就職ニーズにマッチしている可能性がある。日本企業は世界トップ学生の採用により積極的になれば、優秀な人材を獲得するチャンスがあるだろう。