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デンマークの働き方を、日本は真似できるのか?
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2025年5月7日

世界最高レベルの生産性を誇るデンマーク。その効率的な働き方を日本は真似ることができるのか?幸福な生活を送るためのヒントは何か?デンマーク研究家の針貝有佳氏と、雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏に対話してもらった。 <ゲスト> 針貝有佳|デンマーク文化研究科 早稲田大学大学院にてデンマークの労働市場政...
デンマークのビジネスカルチャーから日本は何を学べるのか?
デンマークに15年住み、その働き方を研究してきた針貝有佳氏と雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏が、日本のビジネス環境に活かせるデンマーク流の仕事術について語り合った。「やってみなはれ主義」や「さっぱりした人間関係」など、デンマークならではの考え方が日本企業でも応用できるという議論に迫る。


Q: デンマークの働き方を日本に取り入れるのは難しいのでしょうか?
多くの人は「デンマークなんて真似できるわけがない」と考えがちですが、そうとは限りません。もちろん制度をそのまま導入するのは難しいでしょう。しかし、デンマークのマインド自体は応用可能です。経営者や管理職の方々がこういった考え方を取り入れることで、職場のカルチャーを変えていくことができるでしょう。
完全に真似することは不可能でも、要素を分解して取り入れられる部分だけを日本流に加工すれば良いのです。特に若い世代はこうした考え方に共感する人も多く、スタートアップなどでは既に似たような環境が作られています。

Q: デンマークの「やってみなはれ主義」とは何ですか?
デンマークでは「まずはやってみよう」という考え方が根付いています。この特徴は古くからあり、少なくとも1960年代には既に見られました。完璧を求めるドイツ型の仕事の進め方とは対照的です。
デンマーク人は北欧の中では「ラテン系」と言われるほど、アバウトな感覚を持っています。スウェーデン人が約束をきちんと文書で確認する傾向があるのに対し、デンマーク人は「わかった、OK」という感じで進めるのが特徴です。
この「やってみなはれ」の精神は転職市場にも表れています。企業は「まず3ヶ月ほど実習してみて、良ければ採用しよう」という姿勢で人材を受け入れます。この柔軟性によって、人々は次々と新しい仕事に挑戦できるのです。

Q: デンマークの人間関係はどのような特徴がありますか?
デンマークの人間関係は「あっさりしている」のが特徴です。日本では職場の人間関係が「ベタベタ」しているか、逆に「孤立して寂しい」かの二極化が見られますが、デンマークではさっぱりとした関係性が一般的です。
仕事と私生活の境界線がはっきりしており、同僚と飲みに行くといった習慣もあまりありません。これはアメリカの文化とも異なります。オランダの企業では、新入社員が入社するとパーティーを開く習慣があり、「そんなことをするのはアメリカくらいだ」と白い目で見られるほどです。
また、サービス業においても対等な関係性が重視されます。店員と客という上下関係ではなく、サービスの対価は同等であり、双方が「ありがとう」と言い合う関係だという考え方です。
Q: デンマークのフレキシビリティはどのように機能していますか?
デンマークでは「フレキセキュリティモデル」という働き方の仕組みがあります。これは「セキュリティ(安心感)」があるからこそ「フレキシブル(柔軟)」に働けるという考え方です。デンマークの平均勤続年数は約8年で、欧州の中では比較的短く、生涯で平均6回ほど転職するというデータもあります。
この背景には手厚い失業保険制度があります。ただし、失業給付を受ける場合は定期的にジョブセンターに行き、就職活動をしていることを証明する必要があります。
また、新卒一括採用がなく、学生時代からインターンとして働き始め、そのまま継続するケースや、そこでのキャリアを活かして次の職場に移るパターンもあります。職業訓練よりも、実際に企業で実習を行う形が多く、「やってみなはれ」の精神と相まって、柔軟な雇用移動が実現しています。
Q: デンマークではなぜ高い税金を払うことに納得しているのですか?
デンマークでは消費税が25%、所得税も約半分と非常に高いレベルです。しかし、デンマーク人に聞くと「納得して払っている」「もっと払いたい」という人もいます。彼らの考え方は日本とは大きく異なります。
この背景には、税金が具体的なサービスとして返ってくるという実感があります。小学校から大学まで教育費が無料であり、社会全体で子育てをしているという感覚があるのです。また、平均年収は1000万円を超えており、税引き後でも十分な生活水準を維持できることも要因です。
デンマーク人は楽観的な傾向があり、危機的状況になっても「なんとかなる」「なんとかする」という前向きな姿勢を持っています。
Q: デンマークの働き方から日本企業が学べることは何ですか?
経営理論の観点からも、デンマークの成功モデルには既に確立された理論的裏付けがあります。例えば「ダブルダイヤモンド」と呼ばれる理論(野中郁次郎氏が「SECI(セキ)モデル」と呼ぶもの)や、コルブの「学習モデル」などがデンマークでは実践されています。
大企業全体を変えるのは難しくても、部長や課長などミドルマネジメント層が自分の範囲でこれらの考え方を取り入れることは可能です。日本ではビジネス理論を学んでいても実践に結びついていないケースが多いようです。
針貝氏は「デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか」「デンマーク人はなぜ会議より3分の雑談を大切にするのか」などの著書を通じて、日本にもデンマークのビジネス文化のエッセンスを取り入れる可能性を提案しています。
両氏はデンマークの働き方の日本における実現可能性について議論
