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グロース市場に明日はあるのか?5年100億円ルールの波紋
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2025年4月30日

東証がグロース市場維持基準として「5年で時価総額100億円以上」という新ルールを発表した。この改革によってグロース市場はどう変わるのか?スタートアップ冬の時代が来るのか?スタートアップ政策の中心人物である自民党の小林史明衆議院議員と、グロース・キャピタルの嶺井政人CEOに議論してもらった。 <ゲス...
グロース市場改革とスタートアップの成長戦略 - 小林茂樹×嶺井政人
グロース市場改革の真の狙いとは何か?上場維持基準引き上げの背景にあるビジョンと、日本のスタートアップエコシステム強化に向けた取り組みについて、自民党衆議院議員の小林茂樹氏とグロスキャピタルCEOの嶺井政人氏が語り合った対談をQ&A形式でまとめた。


Q: グロース市場改革の具体的な内容は?
東証市場改革の流れを受けて議論が始まったグロース市場改革。この改革では、上場維持基準が大きく見直された。具体的には「上場10年経過後から時価総額40億円以上」という基準が「上場5年経過後から時価総額100億円以上」へと変更される。期間短縮と基準額引き上げの両方が行われたため、多くの驚きの声が聞かれている。

Q: なぜこのような引き上げが必要と判断されたのか?
小林氏によれば、スタートアップ市場には「真空地帯」が存在していると指摘する。上場して時価総額が300億円に到達するまでの間、投資をしてくれる人がほとんど存在しない状況だ。この区間では個人投資家が中心となり、機関投資家の参入が少ないために「真空地帯」となっている。
多くの企業がこの真空地帯に留まってしまうと成長できずに苦しむことになる。そのため、上場前からこの真空地帯を駆け抜けられるプランを持って上場してもらうためのメッセージとして、基準の引き上げを行ったと説明している。
Q: 小規模で成長可能性のある企業の上場機会を奪うことにならないか?
これは嶺井氏が強く懸念する点だ。上場維持基準の引き上げが実質的に上場の難易度も引き上げてしまっている現状がある。大手証券会社が「時価総額200億円、300億円が見える会社しか引き受けない」状態になり、グロース市場を活用して成長にチャレンジしたい企業の機会を奪っているという問題だ。
小林氏はこの点について、上場の障壁を高くすることが目的ではなく、むしろ「小粒でもIPOできるところ」は日本のグロース市場の良いところだと指摘。上場基準の暗黙の引き上げは本来の狙いではないと強調した。
Q: スタートアップがIPO一辺倒になっている現状をどう変えるべきか?
日本では現在、スタートアップの出口戦略として、IPOが9割でM&Aは1割という状況になっている。両氏とも、この比率を変えていく必要があると考えている。
小林氏は「大きくなればより成長する」という考え方に対して、嶺井氏が示したデータから「時価総額が大きいほど成長率は低い」という事実を指摘。スタートアップには多様な選択肢が必要で、未上場を継続する、M&Aを活用するなど、IPO以外の選択肢も充実させていくべきだと話し合った。
Q: グロース市場の本来の魅力とは何か?
グロース市場の魅力は「大きく伸びる会社がある」ことだと嶺井氏は指摘する。シフトやトリドールのように、上場時は数十億円の時価総額だったが、その後100倍近く成長した企業の例を挙げた。
こうした可能性を持つ企業が多く打席に立てる環境を維持しつつ、成長のためのサポート体制を強化することが重要だと両氏は合意している。
Q: グロース市場改革と並行してどのような取り組みが進められているのか?
小林氏は上場維持基準の引き上げだけでなく、スタートアップの成長を支える包括的な環境整備を進めていると説明した:
1. セカンダリー市場の整備 - 上場前の株式売買市場を整えることで、VC(ベンチャーキャピタル)のイグジット機会を増やし、上場までの時間的余裕を作る
2. M&A促進のための「のれん」償却制度の見直し - 今年中に方針を決定し、1年から1年半で決着させたいと表明
3. グロースファンドの育成 - GPIFなどの公的資金を活用し、レイターステージから上場前後を見るファンドを増やす方針
4. 大企業とスタートアップのM&A促進 - 大企業からのカーブアウトや税制優遇を通じて、M&A市場を活性化
5. スタンダード市場へのディープテック企業の上場促進 - 赤字でも上場できる道を開く検討

Q: 日本のスタートアップ環境はどう変わるべきか?
両氏は「スタートアップ」という言葉自体のイメージ向上と、多様な成長経路の確立が重要だと強調した。小林氏は「イーロン・マスクだって何度も起業してバイアウトしながら徐々に大きくなっていった」と指摘し、一度の起業で巨大企業を目指すよりも、複数回チャレンジできる環境作りが重要だと述べた。
また、日本の強みとして、「成長できる資源と人材と技術を持った大企業がある」点を挙げ、大企業に眠る技術や人材、資本をスタートアップ側に流し込む仕組みづくりも課題だと語った。
Q: 多くのスタートアップが懸念しているタイミングの問題についてはどう考えるか?
嶺井氏はこの改革のタイミングに懸念を示していた。スタートアップ業界が逆風を受けている時期に、さらにM&Aやセカンダリー市場など代替手段が十分整っていない状況での改革に不安を表明した。
これに対し小林氏は「タイミングについて言っているといつまでもできない」と反論。むしろ「今だからこそ」という観点から、アメリカ市場の不透明感が高まる中、日本市場に注目が集まっていることを好機と捉え、「2030年までに必要な環境を整える」と強い決意を示した。
Q: 改革後のグロース市場はどうなるのか?
両氏は、グロース市場を「高い成長が期待できる市場」として明確に位置づける必要性に合意した。また、必ずしもすべての企業が成長するわけではないという現実も認識している。ハイリスク・ハイリターンの市場として、成長しない企業も当然出てくることを前提に、どれだけ「100倍になるような会社」を増やせるかが重要だと議論された。
小林氏は最後に「IPOしてから300億円までの間は大変だということをちゃんと伝えて、準備して一緒に駆け抜ける環境をみんなで作り、日本の経済成長を実現しよう」とメッセージを送った。