マネー新常識
転職で給料UPさせるコツ【中村天江】
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2025年4月28日

三田友梨佳と後藤達也がタッグを組み投資だけでなく「教育資金」「老後資金」など日々の生活にまつわる正しいお金の知識を専門家が提唱する「新常識」を基に学んでいくトーク番組。後編では「転職時に給料を上げるコツ」をテーマに三田友梨佳&後藤達也が連合総研・中村主幹研究員と議論を交わす。 <ゲスト> 中村天江...
転職で給料は上がる?エージェントや交渉術、今後の経済動向を解説
日本の賃上げ傾向が変わりつつある今、転職によるキャリアアップと賃金アップの可能性が広がっています。最近では企業の業績だけでなく、人材確保や世間相場を理由に賃金が引き上げられるケースが増加。三田友梨佳&後藤達也が連合総研・中村主幹研究員に聞いた、転職時の賃金交渉のコツや今後の展望を紹介します。

「最強の人事権は従業員側が持つ」転職を検討する今がチャンス?
Q: 最近の賃上げ推進力となっている要因は何ですか?
過去25年ほどのデータを見ると、かつては「企業の業績」が賃上げの最大の理由でしたが、現在は「労働力の確保・定着」や「雇用の維持」といった人材確保の観点が大きくなっています。物価動向や世間相場も重要な要因になってきました。
特に新卒採用においては、初任給を引き上げる企業の割合が急増しています。少子化の影響で若い人材が減少する中、年齢に関わらず人材を活用する理屈はあるものの、実態としては若い人材を確保するために賃金を引き上げる企業が多くなっています。

Q: 日本人の転職に対する意識は変わってきていますか?
興味深いことに、「できるだけ転職せずに同じ職場で働きたい」と考える日本人の割合は2013年から2018年にかけて減少傾向にあります。一方で、アメリカやイギリス、ドイツ、フランスなど、一般的に流動的な労働市場があると思われる国々では、同じ職場で働き続けたいという安定志向が高まっています。
これは一種のパラドックスで、海外の労働市場が流動的すぎるがゆえに安定を求める傾向があるのです。特に海外のジョブ型市場では、スキルや経験がないと仕事に就けないため、若い世代にとっては不利な面があります。
日本では若年層の転職志向が明らかに強まっており、政府統計でも正社員の若年層における転職希望者が増加しています。ただし、「安定」の概念も変化しており、単に一つの会社に長く勤めることだけでなく、子育てとの両立やテレワークの可能性、上司のサポートや成長実感など、多様な要素が満たされることを求める傾向があります。

転職で賃金は本当に上がるのか?データが示す現実
Q: 転職によって実際に賃金は上がっていますか?
2014年頃からコロナ前までの期間は、転職による賃金増加率が現象より高くなる傾向がありました。コロナでいったん状況が変わりましたが、2023年には転職によって賃金が増加する割合が37.2%まで回復しています。以前は「増える人3割、変わらない人3割、減る人3割」という状況でしたが、徐々に賃金が増える人の割合が4割近くに増えてきました。
これは企業側の雇用観も変化してきたためです。エンジニアや国際経験者、管理職経験者など、特定のスキルや経験を持つ人材を積極的に求める企業が増えています。
Q: 転職時の給与交渉にはどのような特徴がありますか?
日本と海外で大きな違いがあります。国際比較調査によると、日本では転職時に「会社から提示された額でそのまま合意した」人が約6割もいます。一方、アメリカやフランスなどでは、自分から希望額を伝えるか、会社の提示額に対して交渉するケースが多くなっています。
興味深いのは、転職時に賃金が5%以上上がった人の特徴です。アメリカやフランスでは「個人が自分で声を上げること」が有効である一方、日本では「民間職業紹介(エージェント)」を通じた交渉が効果的です。日本の場合、自分で直接交渉するよりも、第三者を通じて「この人はこういう経験があり、市場ではこのくらいの評価」と代弁してもらう方が賃上げに繋がりやすい傾向があります。
Q: 自分のスキルの価値がわからない場合、どうすれば良いですか?
日本の労働市場の流動性が低かったことで、労働条件の情報があまり出回っておらず、相場感をつかみにくいという問題があります。しかし最近では、企業の実態や給与情報を登録して閲覧できるサービスが増えています。
また、転職エージェントに登録して相談することで、自分のスキルや経験がどのくらいの価値を持つのか把握できます。たとえ希望する企業がなくても、「あなたならこのくらいの職種・給与が見込める」という情報を得ることができます。
最も分かりやすい基準は、前職の給与です。転職市場では前職の給与に対して5〜6%程度の賃上げが一般的なので、それを参考に交渉することができます。

キャリアアップに役立つスキルと今後の賃金動向
Q: 転職でキャリアアップにつなげるための有利なスキルはありますか?
管理職経験、特にチームマネジメントの経験は企業が評価しやすいポイントです。キャリアの選択肢を広げるためには、チームマネジメントのスキルを積極的に身につけることが有効です。採用側は面接で「マネジメントをしていた」という単純な事実だけでなく、うまくいかなかったことをどう乗り越えたかなど、具体的な経験やアプローチも評価します。
社内での評価だけでなく、外部からの評価も意識することが、どのようなポジションにいる人にとっても重要です。
Q: トランプ政権が再び誕生した場合など、経済が混乱した際の賃金動向はどうなりますか?
日本はようやく30年続いたデフレを脱却する入口に立っています。賃上げと価格上昇の好循環が始まりかけた今、経済的な不透明感が高まることは懸念材料です。
日本の賃金水準は国際比較でまだ低く、毎年5%の賃上げが5年、10年と続いてようやく実感できるレベルになります。まだ実質賃金がプラスになっていない現状では、これからが本当のスタート地点です。
企業業績の見込みが厳しくなっても賃上げを続けられるかどうかが重要なポイントです。特に安心して将来設計ができるよう、単年度ではなく複数年にわたって賃上げを約束する企業が増えれば良いでしょう。例えば「3年間毎年5%の賃上げを行う」と確約できれば、消費行動も変わり経済活性化につながる可能性があります。
最近の春闘では「満額回答」が当たり前になりつつあり、満額に届かない企業は賃上げに消極的と見られる時代になってきました。経済環境が悪化しても、特に大企業は十分な内部留保があり、賃上げの余力はあるはずです。従業員側が声を上げ続け、企業側がそれに耳を傾けることが重要です。
「声なきところに賃上げなし」が今の時代の新常識と言えるでしょう。