PIVOT TALK BUSINESS
プライベートエクイティはどんな仕事なのか?
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2025年5月3日

カーライル、KKR、ベインキャピタルなど日本でもプライベートエクイティ(PE)の存在感が増している。PEとはどんな仕事なのか?どんな報酬体系・キャリアなのか?PEでの勤務経験が長いムーギー・キム氏に話を聞いた。 <ゲスト> ムーギー・キム|ストロングキャリア特別顧問 プライベートエクイティのLP・...
プライベートエクイティの世界:トラストキャピタルとしての役割
プライベートエクイティ(PE)は、世界で最もエリートが目指す職業の一つとして知られている。日本でも、カーライル、KKR、ベインなどの大手PEファンドが注目を集めている。しかし、PEの実態はどのようなものなのか? ミネルバ大学特別顧問であるムーギー・キム氏に、PEの世界について詳しく聞いた。

Q: プライベートエクイティとは一言で言うと何でしょうか?
A: ムーギー・キム氏(以下、キム氏):プライベートエクイティは、トランジショナルキャピタル、つまり変革するための資本と言えます。具体的には以下のような特徴があります。
1. オーナー企業の改革:家族経営で統治が不十分な企業に適切なガバナンスを提供します。
2. 事業の切り出し:大企業の中で埋もれている事業を独立させ、新たな成長機会を創出します。
3. 特殊な状況への対応:オーナー間の争いやスキャンダルなど、特殊な状況下にある企業に解決策を提供します。
キム氏は「一言で言えば、経営を変革する資本という意味で特徴があります」と説明しています。

Q: プライベートエクイティの歴史的な変遷について教えてください。
A: キム氏によると、PEの歴史は以下のように変遷してきました:
1. 1990年代後半〜2000年代初頭:不良債権処理の時代
- バランスシートの再構築が主な目的
- 「ハゲタカファンド」というネガティブなイメージが形成された時期
2. 2000年代中盤〜後半:コスト削減の時代
- 損益計算書(PL)の改善に注力
- 長期的なデフレの影響でコスト削減に限界が見え始める
3. 現在:トップライン成長の時代
- 売上高の拡大が主な目標
- 経営者の能力がより重要になってきている
キム氏は「PEにお金を出す人のニーズに応えるというのが、単にリターンを出すだけじゃなく重要になってきています」と指摘しています。
Q: プライベートエクイティの社会的な認識はどのように変化してきましたか?
A: キム氏によると、PEの社会的認識は以下のように変化してきました:
1. 当初:ネガティブなイメージ
- 「ハゲタカファンド」として批判的に見られていた
- 短期的な利益追求が目立っていた
2. 現在:社会的価値の創出
- 雇用の増加や持続可能性への取り組みなど、社会的インパクトを重視
- 経済的リターンだけでなく、社会的成熟性も求められるようになった
キム氏は「単に経済的なリターンだけじゃなく、ファンドがいくつか出てきたことによって、より社会的成熟性を増していったと言えます」と述べています。
Q: プライベートエクイティの仕事において、人間関係やコミュニケーションはどのような役割を果たしていますか?
A: キム氏は、PEの仕事において人間関係とコミュニケーションが非常に重要だと強調しています。
1. ステークホルダーマネジメント
- 金融機関、オーナー、従業員など、多様なステークホルダーとの良好な関係構築が必要
2. 社会的信頼の獲得
- 長期的な視点でビジネスを成功させるために、社会からの信頼が不可欠
3. ネットワーキングの重要性
- 業界のイベントや総会などで、人脈を広げることが将来のビジネスチャンスにつながる
キム氏は「プライベートエクイティにとって、この社会的成熟性というのが非常に重要です」と述べ、「トラストキャピタル」としての役割を強調しています。
Q: プライベートエクイティの投資プロセスにおいて、どのような要素が重要になりますか?
A: キム氏は、PEの投資プロセスにおいて以下の要素が重要だと指摘しています。
1. ディールソーシング
- 良質な案件を見つけ出す能力
- 個人的なネットワークや信頼関係が重要
2. バリュエーション
- 適切な企業価値評価
- 単に高値をつけるだけでなく、企業の成長可能性を見極める
3. 経営者の選定
- 適切な経営者を見つけ、送り込む能力
- キム氏は「社長選びに成功すると、プライベートエクイティの仕事はものすごく楽になります」と述べている
4. バリューアップ戦略
- 投資後の企業価値向上策の立案と実行
- 業界特性や企業の強みを活かした成長戦略の策定
5. エグジット戦略
- 適切なタイミングと方法での投資回収
- IPOや戦略的売却など、様々な選択肢の中から最適な方法を選択
キム氏は「何をやるかと同時に何をやらないか、そこの選択の目利きを身につけるというのが、やはり長年の経験が効いてくるところです」と述べ、経験の重要性を強調しています。
Q: プライベートエクイティの業界で成功するために必要なスキルや資質は何でしょうか?
A: キム氏によると、PEの業界で成功するために必要なスキルや資質は以下の通りです。
1. 分析力と判断力
- 企業の潜在的な価値を見抜く能力
- リスクとリターンを適切に評価する力
2. コミュニケーション能力
- 多様なステークホルダーと効果的に対話する能力
- 交渉力と説得力
3. リーダーシップ
- 投資先企業の変革をリードする能力
- チームを効果的に管理し、目標達成に導く力
4. ネットワーキング能力
- 業界内外の人脈を構築・維持する能力
- 情報収集と機会創出のためのスキル
5. 倫理観と誠実性
- 長期的な信頼関係を築くための基盤
- 社会的責任を果たす姿勢
6. 柔軟性と適応力
- 市場環境の変化に対応する能力
- 新しい投資機会を見出す創造性
キム氏は「プライベートエクイティは、単にお金を持ってくるだけじゃなくて、経営人材も持ってくる、ガバナンスも効かせる、他のビジネスパートナーも引っ張ってくる、そういったトータルソリューションキャピタルとしての役割が求められます」と述べています。

Q: 日本のプライベートエクイティ市場の特徴や課題について教えてください。

A: キム氏は、日本のPE市場について以下のような特徴と課題を指摘しています:
1. 成長期にある市場
- 投資規模が拡大傾向にある
- カーライルが5000億円規模のファンドを組成するなど、大型化が進んでいる
2. 投資機会の豊富さ
- 低PBR企業が多く、潜在的な投資機会が豊富
- 事業承継や企業再編などのニーズが高まっている
3. 金融環境の優位性
- 低金利環境が継続しており、資金調達が比較的容易
- エグジットの選択肢(IPO、セカンダリー売却など)が増えている
4. 課題:経営人材の不足
- プロ経営者の層が薄い
- 適切な経営者を見つけることが難しい場合がある
5. 社会的認知度の向上
- PEの社会的役割や価値創造について、理解を深める必要がある
キム氏は「日本のプライベートエクイティのオポチュニティが非常に強いのは、他の国と比べた時に、やはり金融マーケットが、エグジットの機会を提供していることです」と指摘しています。
Q: プライベートエクイティの今後の展望について、どのようにお考えでしょうか?
A: キム氏は、PEの今後の展望について以下のように述べています:
1. 市場の拡大
- 日本におけるPE市場は引き続き成長が見込まれる
- 機関投資家や富裕層からの資金流入が増加する可能性がある
2. 社会的役割の重要性の増大
- 単なる財務的リターンだけでなく、社会的価値創造が求められる
- ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みがより重要になる
3. テクノロジーの活用
- デジタル化やAI活用による投資プロセスの効率化
- テクノロジー企業への投資機会の増加
4. グローバル化の進展
- 日本企業の海外展開支援
- クロスボーダー案件の増加
5. 人材育成の重要性
- PEの専門人材の育成が業界の発展に不可欠
- 多様なバックグラウンドを持つ人材の登用
キム氏は「プライベートエクイティは、トランジショナルキャピタル兼トラストキャピタルとしての役割を果たしていくことが重要です」と締めくくっています。
プライベートエクイティは、単なる投資手法を超えて、企業の変革と社会的価値創造を担う重要な役割を果たしています。その責任の重さと同時に、PEがもたらす可能性の大きさも見逃せません。今後、日本経済の活性化と企業の競争力強化において、PEの果たす役割はますます重要になっていくでしょう。