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円安時代の終焉。150円超えはもうない
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2025年4月23日

トランプ政権発足後、急速に進む円高。なぜトレンドの転換が起きたのか?この流れは今後も続くのか?マネックス証券の吉田恒チーフ・FXコンサルタントに聞いた。 <ゲスト> 吉田恒|マネックス証券チーフ・FXコンサルタント 1962年青森県生まれ。大手の投資情報ベンダーの編集長、社長などを歴任するとともに...
円相場の行方を専門家が解説 — 「140円の先にあるのは130円、でも100円割れはない理由」
外国為替(FX)市場での長年の経験から、今後の円相場の展望を専門家が語る。今回はマネックス証券の吉田恒チーフ・FXコンサルタントに、近年の為替相場の変動について掘り下げて解説してもらった。40年にわたる為替分析の知見から、現在の円高傾向は継続するものの、100円を割り込む可能性は低いとの見方を示した。

Q: 現在の為替相場についてどう見ていますか?
まず結論から言うと、円ドル相場が再び150円に戻ることはないと考えている。ただし、140円を割れてすぐに大幅な円高になるかというと、一旦は足踏みする可能性もあるが、その後は130円を割るあたりまで円高が進む可能性が高い。ただし、100円を割り込むようなことはないだろう。
Q: 最近の円高傾向はなぜ起きているのですか?
今年4月に入ってから、円高の性質が大きく変わった。それ以前は、日米の金利差に連動する形で円安・円高が進んでいた。しかし4月以降、日米の金利差は拡大しているにもかかわらず円高が進んでいるという「逆相関」の状態になっている。
これは単なる円高ではなく「ドル安」と表現すべき現象だ。トランプ大統領が関税政策を発表した4月2日以降、ドルが対円だけでなく対ユーロなどの主要通貨に対しても下落している。
Q: なぜドルは売られているのですか?
ドイツとアメリカの国債利回りの動きを見ると興味深い現象が起きている。通常、先進国の長期金利は互いに連動するものだが、4月以降は米国の金利が上昇する一方で、ドイツの金利は下落している。これは対米投資の引き上げが起きていることを示唆している。
つまり、アメリカの政策に対する懸念から、世界中の投資家がアメリカ国債を売却し、自国や他の安全資産に資金を移している可能性がある。これはいわば「対米投資からの逃避」であり、この動きがドル安・円高の根本的な原因となっている。
Q: このドル売りの傾向はどれくらい続くのでしょうか?
トランプ政権の1期目でも、同様のことが起きた。2018年初頭には、金利が上昇しているにもかかわらずドルが売られるという「悪い金利上昇」と呼ばれる現象が2〜3カ月続いた。株式も債券もドルも同時に下落する「トリプル安」の状態だった。
このような「アメリカ売り」が始まると、簡単には収まらないのが通常だ。現在もこの状態が2〜3カ月程度は続く可能性がある。さらに懸念されるのは、5月に予定されている米国債の大量償還だ。通常なら償還された資金は再び米国債に投資されるが、現在の市場心理では資金が米国から流出する可能性もある。

Q: トランプ政権1期目との違いは何ですか?
今回の特徴は、トランプ政権1期目よりもさらに状況が深刻化している点だ。1期目では政権発足から1年経った2018年に関税政策が本格化したが、今回は就任直後から関税政策を打ち出している。また、1期目よりも圧倒的な勝利で当選したため、周囲の意見を聞かない可能性も高い。
さらに、1期目の時には利下げで状況が収まったが、今回はインフレリスクも残っているため、簡単に利下げできない状況にある。「スタグフレーション」(景気停滞とインフレの同時発生)の懸念も出ており、FRB(連邦準備制度理事会)も対応が難しい状況にある。
Q: 円相場はどこまで円高になる可能性がありますか?
過去40年以上のドル円相場を5年移動平均線からの乖離率で見ると、興味深いパターンがある。ドル高円安は5年平均から上に30%以上乖離すると止まる傾向がある。一方、ドル安円高は徐々に限定的になってきている。
1980年代は5年平均から40%も下回ることがあったが、1990年代は30%、2010年代は20%程度しか下回らなくなった。これは日本の貿易収支が黒字から赤字に転落してきた構造変化と連動している。
現在の5年移動平均は約130円なので、過去のパターンから考えると、円高は130円を割り込んで、おそらく104円程度(5年平均から20%下回る水準)までが限界だろう。100円割れは、日本経済の状況を考えると可能性が低い。

Q: なぜ円は以前ほど強くならないのですか?
日本は以前、世界最大の貿易黒字国だったが、状況は変わった。2022年には過去最大の貿易赤字を記録した。ただ、最近は赤字が大幅に縮小しているにもかかわらず、2023年には161円という円安になった。
つまり、円相場は単純に貿易収支だけで決まるわけではなく、日本経済の長期的な構造変化が、円の上値(円高方向)を抑える要因となっている。しかし、これは必ずしも悪いことではない。極端な円高は日本経済にとって大きな負担となり、以前の75円や80円といった水準は「強すぎる円」だった。
適度な円安は、インバウンド観光などでプラスの面もある。円高にも円安にもメリット・デメリットがあり、どちらか一方が良いというわけではない。
Q: 今後の為替相場の見通しをまとめると?
短期的には円高トレンドが続き、130円を割り込む可能性が高い。ただし、100円割れのような極端な円高には至らないだろう。
中長期的には、日本経済の構造変化により、過去のような極端な円高(80円や75円)になる可能性は低下している。円相場の変動幅は以前より小さくなってきており、この傾向は今後も続くと予想される。
