マネー新常識
日本企業の給料最前線【中村天江】
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2025年4月21日

三田友梨佳と後藤達也がタッグを組み投資だけでなく「教育資金」「老後資金」など日々の生活にまつわる正しいお金の知識を専門家が提唱する「新常識」を基に学んでいくトーク番組。今回は「日本企業の給料の現在地」をテーマに世間で囁かれる賃上げ4つの言説を連合総研・中村主幹研究員がデータを用いて検証 <ゲスト>...
「声なきところに賃上げなし」連合総研・中村氏が明かす給与交渉の新常識
日本企業の賃金は30年近く上がっておらず、主要先進国との差は拡大する一方だ。このような状況下で「声を上げること」がなぜ重要なのか。連合総研主幹研究員の中村明恵氏に賃上げの実態と効果的な給与交渉の方法について聞いた。

Q.「賃上げを実感できている人はわずか8%」日本企業の給料は本当に上がっているのか?
中村氏によれば、日本企業の給料上昇は「まだら模様」だという。春闘における平均賃上げ率は5.46%と2年連続で5%台を記録しているものの、実際に賃上げを実感できている人は連合総研の調査でわずか8%に過ぎない。
その背景には実質賃金が3年間マイナスとなっている現実がある。多くの人にとって、賃上げの恩恵よりも物価上昇の影響の方が大きく感じられているのだ。
企業規模別に見ると、大企業の平均賃上げ率は5.3%、中企業は3.8%、小企業では1.8%という差がある。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によれば、大企業と中小企業の間には明確な格差が存在している。
また、年齢別の特徴も浮かび上がっている。特に19歳以下の賃上げ率が高い傾向にあるのは、高卒人材の獲得競争が激化していることを反映している。一方で50代前半の賃上げ率は低く、いわゆる「ミドルエイジクライシス」が数値にも表れている。

Q. 賃上げで得する人、損する人の格差はどこにある?
賃上げの恩恵を受けやすいのは、主に次のグループだ:
1. これまで不利な立場にあった人々(女性や非正規雇用者など)
2. 企業が採用に苦労している若い世代
3. エンジニアなど需要の高い職種の人材
特に女性の賃上げ率は男性よりも高い傾向にある。大企業では女性の賃上げ率が8.0%であるのに対し、男性は4.3%だ。ただし元々の賃金水準が男性より低いため、金額ベースでは男性の方が大きい場合も多い。
雇用形態別では、正規・非正規ともに大企業では賃上げ傾向が見られるが、中小企業の非正規雇用者は厳しい状況が続いている。特に小企業では非正規男性の賃金がマイナス0.8%となっており、人材の流出につながっている可能性がある。
Q. 転職時の給与交渉、成功のコツは?
転職によって賃金アップを目指す人が増えており、2023年には転職希望者数が初めて1000万人を超えた。しかし、希望しても行動に移せない人は7〜8割にのぼる。
中村氏は効果的な給与交渉のポイントとして、以下を挙げている:
1. 情報収集が重要。同業他社の水準を把握する
2. 自身の市場価値を理解し、貢献できる価値を明確にする
3. 年収だけでなく、働き方や評価制度など総合的に交渉する
企業への転職前の質問としては「評価制度はどうなっているか」「業績が良い時は賃金にどう反映されるか」などを尋ねることで、将来の賃金上昇の見通しを立てることができる。
「声を上げる」ことが賃上げの鍵

中村氏は「ボイス・オア・イグジット」という考え方を紹介している。これは「不満がある時には声を上げて伝えるか、そこから移るかのどちらか」という理論だ。日本では長らく「イグジット(退出・転職)」のハードルが高く、同時に「ボイス(声を上げる)」も難しい環境があった。
「日本は欲しがりません、勝つまでは」「和を持って良しとする」という文化的背景もあり、賃金についても声を上げにくい環境だった。しかし近年の人手不足により、企業側も人材確保のために賃上げの必要性を認識し始めている。

「その仕事の本質的な価値と成果をきちんと可視化して、自分の貢献がどれだけあったかをしっかり伝えることが大事です」と中村氏は強調する。適切なタイミングで声を上げることが、今後の賃上げにつながるポイントになるだろう。
賃上げを実感できる人はわずか8%