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亡国のコメ政策。「関税撤廃=減反廃止」でコメ価格は激落する
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2025年4月20日

日米関税交渉の大きなテーマの一つが「コメ関税」。なぜ日本はコメに高い関税をかけ、減反を推進してきたのか?なぜコメ価格が下がらないのか?亡国のコメ政策の全てを元農水官僚の山下一仁氏が語り尽くす。 <ゲスト> 山下 一仁|キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹 東京大学法学部卒業後、農林省入省。農林水...
日本の農政は「米価高騰」で大転換できるか?元農水官僚が暴露する農業政策の闇
最近の米価高騰は、日本の農業政策を見直す絶好のチャンスになるかもしれない。元農水官僚の山下一仁氏が日本の農業政策の問題点と、その解決策について語った。
米価高騰が続く中、農水省の対応に疑問が残る

Q: なぜ今、米が高騰しているのでしょうか?
昨年の猛暑と減反政策で2023年産米の供給が前年比で40万トン少なくなりました。通常、1年分の米を1年かけて消費しますが、供給不足で新米の収穫前から先食いが始まり、在庫が大幅に減少しています。2024年2月時点でも前年比40万トン不足しており、不足量の割合は時間とともに加速度的に増えています。
Q: 農水省は備蓄米を放出しましたが、なぜ価格が下がらないのですか?
農水省は備蓄米放出に際して2つの「トリック」を仕掛けました。1つ目は、JA農協に売り出したことです。法律上は集荷業者と販売業者に売ることができるのに、敢えてJA農協に販売しました。JA農協は備蓄米の供給に元々反対していたので、彼らが市場に流す量をコントロールし、価格を下げないよう操作しています。
2つ目は、1年後に同量の米を政府が買い戻すという条件をつけたことです。これは、今年の米作付けが増えて価格が下がることを防ぐ狙いがあります。放出した備蓄米と同量を買い戻せば、市場から隔離することになり、供給が少なくなって米価が上がるのです。
Q: 日本の農業政策の根本的な問題は何ですか?
最大の問題は「減反政策」です。米の生産を減らして価格を高く維持する政策を50年以上続けています。1961年に世界の米生産が3.6倍に増える中、日本は補助金を出して4割も生産を減らしました。水田を水田として利用することで食料安全保障や多面的機能を確保できるはずなのに、逆のことをしているのです。
水田面積は4割減少し、米の生産量は1967年の1445万トンから今では700万トン以下に半減しています。しかも減反には3500億円もの補助金が使われており、消費者は高い米を買わされ、税金も払わされるという二重の負担を強いられています。

Q: なぜそのような非合理的な政策が長く続いているのですか?
農業票の影響が大きいからです。農家の数は減っていますが、小選挙区制では組織された票が重要になります。農家票が2%でも、それが対立候補に流れると4%の差になります。実際、米価が下がった際の選挙では与党が大敗した例もあります。
また、農協(JA)の存在も大きいです。JAは銀行業務、保険業務、米の買い入れなど様々な事業ができる特権的な組織で、高い米価のもとで引退した農家の預金が集まり、今では108兆円もの預金を持つ巨大な組織になっています。
そして農水省自身も、食料自給率が向上すると予算が減ると考え、あえて自給率を上げない政策を続けています。食料自給率38%という数字を「プロパガンダ」として利用し、危機感を煽ることで予算を確保しているのです。
Q: 本来あるべき農業政策とは何ですか?
減反政策を廃止し、米の関税を撤廃することです。関税撤廃によって減反カルテルが維持できなくなり、米の生産が増え、価格が下がります。それにより消費者負担が軽減され、減反補助金3500億円も不要になります。影響を受ける専業農家には1500億円程度の直接支払いで対応すれば、財政負担も軽減されます。
大規模な専業農家に農地が集積され、規模が拡大すればコストも下がります。秋田県大潟村のように20ヘクタール規模の農家なら年間1400万円の所得を得られ、後継者不足の問題も解消できます。
さらに、減反をやめて水田を十分に活用すれば、米の生産量を1700万トンまで増やせます。国内で700万トン消費し、1000万トンを輸出すれば、食料安全保障にもなります。万一、輸入が途絶えても、輸出分を国内に回せばよいのです。
Q: 日本のコメは国際競争力がありますか?
日本の米は「ロールスロイス」のように高品質で、世界で人気があります。中国では日本産米が現地米の10〜20倍の価格で取引されています。中国ではジャポニカ米の消費が急増し、巨大市場が形成されつつあります。
減反をやめてコストを下げれば、寿司や和食ブームに乗った米の輸出で穀物の貿易収支も黒字になる可能性があります。米を1000万トン輸出すれば、2兆円の売上になり、現在小麦やトウモロコシの輸入に使っている1兆5000億円を上回ります。
Q: 農業改革を進めるにはどうすればいいですか?
政治改革が必要です。特に予備選制度の導入が有効でしょう。現在の候補者選びはブラックボックスで、特定の利益団体の声が大きく反映されています。予備選を導入すれば、消費者全体の利益を代表する候補者が選ばれやすくなります。
また、党議拘束を緩和し、議員個人の判断で投票できるようにすれば、農家や農協のためではなく国民全体のための政策を訴える政治家が増えるでしょう。米価問題を通じて農業政策を見直す機会は、戦後80年の節目として今こそ最適なタイミングです。

柳田国男は「国民に食料を安定的に安く供給してこそ農本主義だ」と説きました。現在の日本の農政はその理念から大きく逸脱しています。米価高騰という「危機」を、日本の農業政策を抜本的に見直す契機にできるかどうかが問われています。